セーフティルームという名の檻
目が覚めると 枕元にフェンリルが 体を伸ばして座っていた。
いわゆる ワンコ風長座りというのだろうか?
前足をそろえて突き出し その上に顎を載せ 後ろ足は折りたたんで体の後部にくっついている座り方だ。
真っ白で スッとした鼻づら 活き活きとした目。ふさふさのしっぽ
私好みの美形さんだ。
「フェンは雌雄どっち?」
「わしは男だ!成獣だ!」
「了解。
ちなみに 人化するの?」
「そんなことを望まないでくれ。
せいぜい 巨大化して背中に乗せろ、くらいのイメージにとどめてほしいな」
「そっかー。
夢の世界 お伽の国にも いろいろご本人様の希望があるのね」
「ノーコメント!」
「それで 眠っている間に いろいろ夢を見たんだけど
送り主は そちら様?」
「ああ」
「今度からは 情報伝達は 起きているときに頼みます」
「わかった。 そもそも 今後そういうことをするのは想定しとらんかった」
「そうなの、 圧縮概念でのテレパシーって便利そうじゃん」
「やめてくれ ますます世の中が不安定になりそうだ。
おぬしは 創造主なんだから 自重してくれ!」
「いや 気に病んで 想像力に縛りをかけられても困るが 奔放すぎるのも困るんだ」
「あーあ ぜいたく言わないで。
人の心の動きに指図したり 利用するなんてひどいわ!」
「すまん」
これ以上言い合いをしていると 不毛な世界に突入しそうなので
とりあえず 外の世界をイメージしてから 収納空間を出ることにした。
まったく 言いたいことはいろいろあれど
このまま 檻の中に閉じ込められるのはごめんだわ
お世話係さん達の懸念は理解したけどね!