表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キャンプだホイ  作者: 木苺
第一部:はじまり始まり  (1~6話)
4/24

セーフティハウスと収納ボックス

「そうか わしの存在はフェンリルのフェンと決定されたか」

足元の白い狼は満足そうに行った。


「おまえさんは どうも想像力豊かというか 気が多い。

 それゆえ 危なっかしくてしかたない。


 家 一つイメージするにも・・


 それゆえ 一つ忠告させてほしい」

フェンリルが 私の足元にどっかと座り込んで まっすぐ私を見つけながら言った。


「お前が 自分にとって居心地の良い家としてイメージしていたはずのものが

 直前になってログハウスに転じてしまった。

 もちろん おまえにとっては ログハウスもあこがれなのだろうが

 そこでの生活の具体的イメージはないのであろう?」


「雑誌の写真など思い浮かべんでよろしい 今は!」

イメージする途中でさえぎられてしまった。


「結論から 先に言う。

 まず独立した収納ボックスをイメージして その中にこのハウスを「セーフティハウスとして収納して その中に わしと一緒に転移しろ!」


あまりにも真剣に告げるので こっちも真剣に耳を傾けたら あら不思議。

フェンの言葉通りに 私は 収納空間の中に移動させたセーフティハウスであるログハウスの中に フェンと一緒に座っていた。


囲炉裏を囲んで。


「はぁ~ おぬしの想像力と頭の回転の速さは ほんと素晴らしい

 素晴らしいを通り越して凶器だ」


フェンはため息をついた。


ちなみに ログハウスは 2階建てくらいの高さの屋根で四隅にテラスのような2階の床のような回廊がついている。


玄関代わりの土間・上がり框・ついたて、の奥の部屋の中央に 掘りごたつのような囲炉裏があって、私は その囲炉裏ばたに座っていた。


なんとまあ 掘りごたつのふちに座り心地の良いソファが埋め込まれそこにゆったりと座ると、足元は 掘り下げられた空間の中央に据えられた囲炉裏の熱でポカポカと気持ちよく、囲炉裏の上部のふちは幅広で まるでサイドテーブルのように目の前に広がって、たとえていうなら 焼肉屋さんのテーブルを囲むボックス席みたいな感じ(笑)


フェンリルは 向かい合った席からのそりと立って、私の斜め横、つまり掘りごたつの一辺に移動してきた。


ちなみに ソファのように座り心地の良い座椅子が床に埋め込まれているのは 私が座っていた一辺だけだった。


「ん わしが座っておる石の床の部分も 囲炉裏の熱で下から暖められてほんわかと温かいぞ」とフェンリル。


そりゃそうだろう、とっさに彼の座っている部分を下から温められるように、掘りごたつの空間を彼の座っている床の下まで広げてそこに 囲炉裏の熱が届くように願ったら。


「そういう心遣いはありがたい。」


「しかしなぁ わしが セーフティボックスと言ったのは、おぬしの想像力が形にならない空間という意味で言ったのだ」


「ふむ」フェンは少し意識を集中し


「お 空間が固定された」と言った。


「?」な私


「ほらさ 最初に言っただろう。

 先ほどの場所は 人間の想像力によって形ができる世界だと。」


「ええ」


「だから おぬしのように 想像力豊かな人間が来てくれると 創造主として活気づいてよいのだが、お主のように 頭の回転が速いわ 気が多いわ ころころとイメージが切り替わるわだと 世界が混乱してしまうのじゃよ。


たとえば 最初の家というは 言ってみれば おぬしの生活の場になり

おぬしの眷属が集う場所になるのだが

その形が 定まることなクルクル変われば 生まれるはずの生き物たちがくるってしまう」


「最初 遠くから見た家の形が定まらなかったみたいに?」


「そうだ」


「そして なにか一つに定めるときに 寸前のところでよぎったイメージでものが変わってしまうと 困るのはおぬしだろ。」


「農家風の家のはずが ログハウスになったみたいに?」


「そうじゃ そのログハウスも 敷地に出現してから 収納し終えるまでの間に内装イメージが変わってあろうが!」


「あら 見えたの?」


「なんとなくな」


「これでは 世界の混乱だけでなく 世界の創造エネルギーまで無駄遣いされてあっという間に枯渇してしまうわ!」


「ごめん」


「というわけで ある程度 おぬしが 思いを固めるための 言ってみれば おぬしの頭の中のイメージは頭の中だけで納まる空間として セーフティハウスを作れと言ったのだ。


 本来なら 収納ボックスの中は 時空の流れが止まるはずだから

もしくは 外の世界と時空の流れが隔絶されるはずだからな」フェン


「厳密にいうと 中でどれだけ時を過ごしても 中に入った時とほとんと時間差のない外の時点に出れるタイプと、中で経過した時間と同じだけ過ぎた外の時点に出るタイプと 任意の時間点や空間に出れる次元通路タイプがあると思うんですけど」と私。


「おぬしは どのタイプが好みじゃ?」


「ケースバイケースで使い分けたいですね」


「いやはや なんともぜいたくな」


「もちろん そちら様の 物理的制約は 最初に言ってくだされば従いますよ。

 わたしだって 浪費とか 無駄遣いとか 資源やエネルギーの枯渇によるタイムアウトや強制終了は嫌ですから」


「ちょっと お前さんは ここで眠って休憩していてくれ」

フェンリルはそう言って 出て行った。


ふぇ~ この姿勢で寝たら 足がうっ血する。

私は あったかいお布団とベッドをイメージして その中で眠ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ