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キャンプだホイ  作者: 木苺
にゃんこパラダイスとコッコ王国(17~22話)
22/24

ドゥーリトル先生のお説教タイムとニャン行集団(図あり)

オシャレさん達は、猫をつかまえ終わると、

襲撃されたコカトリスの家に行って、安否をたしかめた。


そして コカトリス一家とオシャレさん達は 再び安らかに眠った。


オシャレさん達は、朝ごはんやら朝の用事をすませたあと、

猫入りの(かめ)は 他の荷物と一緒に台車に積みこみ、

猫入りの袋は 台車の外側にぶら下げて

オショウ達のところへいつもの配達に向かった。


オシャレさん達から、昨夜の一件についての報告とともに

袋や甕に入った状態で猫を渡されたオショウ達。


対応に困ったので、そのままドーリトル先生のもとへと袋入り・甕入りの猫たちを運んで行った。


「困りましたねぇ、

 とりあえず (おり)の中に留置(りゅうち)しましょうか」


ドーリトル先生は 檻を用意して、袋や甕の中から取り出した猫たちをその中に入れた。


檻とは言っても、いわゆる大型の猫ゲージ仕様なので、そんなに居心地は悪くない。

いや やっぱり恥ずかしいから 居心地は悪い。


しかも ドーリトル先生は、「お仕置き中だから」と言って

猫ゲージを、きざはしの下、いわゆる時代劇に出てくる「おしらす」に置いたものだから、猫達は あまりの恥ずかしさに身を丸くして縮こまってしまった。


そのようにして 一連の取り調べが進んだ。


挿絵(By みてみん)

 (※1)



かくして、判決言い渡しの時が来た。


私リリーもついつい悪乗りして、その場に参加した。


 階隠間はしがくしのまに、にしきの縁取りの畳を重ね敷き、そこに鎮座ましますドゥーリトル先生


 その奥に座るのが私

 そのわきに控えるのがフェンリル


 簀子すのこに並んで奏上するオシャレさんと、急遽(きゅうもう)呼び出されたコカ夫婦


 そして お白洲しらすに引き据えられた檻の中の猫


 ここには、オシャレさん達によって現行犯逮捕された猫だけでなく

 襲撃に加わった者、その話に参加したもの(共同謀議・ほう助罪等)、襲撃の話を知りながらオショウさんに報告しなかった猫も「治安維持義務の放棄・犯罪擁護」の罪に価するとして、引き据えられていた。


猫達にとっては、このシーンそのものが屈辱そのもの。

 にゃーにゃーと抗議の声をあげると、

 白洲の脇で番兵よろしく控えていた山伏装束のオショウの一人が、

  「が高い! 控えおろう!」と、

  手に持った錫杖(しゃくじょう)で地面とドンとつく。


  地面から伝わる振動・ジャランと鳴る錫杖

  さらに、ピンポイントで 猫入り檻に吹き寄せる冷気

  (オシャレさんの基本スキル、ノロイの冷気だ)


寒さに弱いニャンコ達は 鼻水垂らしてうずくまった。

 迫りくる冷気で、もはやガクブル状態



挿絵(By みてみん)

 (※1)


挿絵(By みてみん)

 (※3)



沙汰さたを申し渡す」


「襲撃に参加したもの・謀議に加わったもの、その方らは

 職にあぶれ、食っちゃ寝、食っちゃ寝、

 人に媚びを売ることにうつつを抜かし

 怠惰に流れ 傲慢とろくでもない考えを身にまといしあげく、

 勤勉に働き、村落の維持と平和に貢献しているコカトリスとオシャレさん達の集落を襲った。


 その罪 許し難し。


 ゆえに その方らに申し付ける。

 これより猫踊りの修行に励み、

 オシャレさんやコカトリス達を楽しませ

 働き者の心を慰め 庶民の憂いを払い、世を和ませるための遊行ゆぎょうに努めよ」


「同胞の悪しき計画を知りながら、

 仲間をかばいだて・あるいは己には関係の無いことと無関心を貫き

 報告を怠った者ども、そなたたちも同罪じゃ。


 生きるとは、己の稼ぎによりかてを得るとともに

 弱きものを助けることにより、その者が持つ己とは異なる才能を活かし、

 よってこの世を良きものにせんと、社会の一員としての務めをはたすこと。


 社会の一員としての務めとは、

 他者に害なす存在を知れば、それをいさめ、その者の悪しき行ないを阻むために他者と協力することにより、

 我らが住まうこの世そのものを良き方向へと向上させ、安定した生活を維持するものぞ。


 その責務をなまり、あるいはその意義を軽んじるとは 心得違いも(はなは)だしい。


 ゆえにそなたらも、猫踊りを習得し、共同体の一員としての生き方を学び、祭りの時には その音曲・踊りをもって 人々を喜ばせよ」



(遊行とは、本来 修行僧が説法教化と自己修行を目的として諸国を遍歴し修行すること・行脚修行あんぎゃしゅぎょうのことである。(※2)


 しかしドゥーリトル先生は仏教徒ではないし

 ここは異世界なので、もっともっと拡大解釈したお沙汰(さた)が下されました。)



かくして生まれたのが「ニャンぎょう集団」


にゃんにゃん歌いながら、踊ったり 曲芸を見せて人々を楽しませて回る一座である。


 猫の鳴き声は 案外音域が広い

 伸びもよい。

  なので にゃんこ合唱団は 猫達が努力して声をそろえてハモれば、それなりのコーラスになるはずだった。


 しかし マイペース・勝手気ままな生き方になじんだ猫たちにとっては、このハモることそのものが難行苦行で、コーラスに到達するまでは大変だった。


 踊りも同じく。

 手足のふりをそろえて踊るなんて団体行動そのものが 苦痛。


高く飛び上がって輪くぐりをしたり、宙返りをしたり

 これも 勝手気ままに個人でやるなら楽しいのだけど

 合図にあわせて 集団演技・集団行動としてやるとなると・・以下同文


・というわけで、ニャン行修行で協調性やら集団行動を学ぶことそのものが、教化(きょうか)指導・教化(きょうけ)修行なのか(※4)、 もはやタダの罰なのか、

非常に微妙なラインにまでいっちゃったのであるが・・


 それに付き合うオショウさんともども猫達は

 毎日修行三昧(ざんまい)で 疲れ果て、夜はぐっすりと眠りこみ

もう二度と 鳥たちを襲おうとは思わなくなったそうな。


そもそも 毎日毎日 コーラスやら踊りの修行に励んでいたら

アタマが空っぽになって、だれかに嫉妬したり いやがせに行こうなんて発想そのものが浮かばなくなってしまったのだ。



その修行の成果を発表する場が、月に一度の楽市(らくいち)の余興であったり

祭りの時に披露する「音頭おんどと踊り」であった。


 最初の頃は あまりの下手さにお客が逃げ出していたが

 やがて、その出来栄えが認められると

 「がんばったね」と優しい言葉をかけられたり

 マタタビを差し入れしてもらえたり


努力の成果を認めてもらえたことをうれしく思って

さらに修行に励んだ結果、歌や踊りが熟達すると、

(やぐら)の上でご披露することが許され、その晴れがましさに胸がいっぱいに。


しかし そこで うぬぼれてはならぬと「勝って兜の緒を締めよ」と

ドゥーリトル先生からさらなる訓話があった。


そして、野良ネコとは異なる、「旅の一座」としての旅の心得についての座学も学ばされた。



やがて、にゃんこパラダイスの周辺で、歌と踊りを認められた者たちから順番に、

いよいよ遊行の旅に出るときが来た。

 そう ニャン(こう)集団の発足である。


「そこに至るまでの道が たいそう長かった」と

初代ニャン行メンバー達(=コカトリス襲撃にかかわった者たち)が古老となってから 

入門したての若い猫達に語ったそうな。


ちなみに、この時 ニャン行集団の猫たちが、烏帽子(えぼし)(かぶ)っていたのかどうかは(さだ)かではない。

 案外 ピエロの三角帽だったりして。


挿絵(By みてみん) (※5)


この話が出た時に オシャレさん達は言った。

「そりゃ、山野を走る時と、街中をパレードするとき、礼装、舞台衣装、それぞれに装束を変えるのではありませんか」


なるほど、猫が集団で いろいろな服装をしながら旅をする姿を思い浮かべると、愉快な気分になった。


というわけで、この話は とりあえず ここまで。


この続きは いつかまた 今度。



ピンシャンころりん チテチテトン イヤっ !


 テテテテテテ カーン!


(↑琴と三味線に囃され、掛け声を合図に幕が引かれ 最後は拍子木で〆)


(この場合、幕は上から降りてくるのではなく、黒子が幕の端をもって舞台を端から端へと走り抜けて幕が引かれる様子をイメージしていただければ幸いです m(__)m )

※本日 夜8時 「番外編:海の中の露天風呂」を公開します!

   ぜひ 読みに来てください! m(__)m




・図出典


(※1)https://www.iz2.or.jp/kizoku/ 風俗博物館のサイト

  京都にある風俗博物館は古代から近代にいたるまでの日本の風俗・衣裳を実物展示する博物館として昭和49年にオープン。令和5年11月12日から令和6年2月4日まで休館


(※3)

・イラスト

 富山県の有形民俗文化財 立山信仰用具(国指定 立山町)

 https://www.pref.toyama.jp/3009/miryokukankou/bunka/bunkazai/digital/02-gallery_015/02-gallery_015_2.html


・後ろ姿

 https://minasezan.or.jp/blog/20171128-560/


※ もしかしたら、山伏装束は 修行集団により差異があるのかもしれません。

  ただ 正面イラストだけだと後ろ姿がわからないので、山伏の後ろ姿を探して検索した結果が

  大峰山奥駆修行の写真です。こちらも 由緒ある修行場です


※ 厳密に考えれば、寝殿の庭とお白州は 時代の差もあり、そのどちらの場にも山伏がいるとは考えられないのですが、そこは異世界ワールドの住人オショウさんの装束ということでお許しください。僧兵装束とか 平安時代の武人の装束とかも考えたのですが、

「頭巾なしスタイルで錫杖をどんとつく」シーンを入れたかったというのも理由の一つではあります。

(錫杖の使い方としてまちがっていると突っ込まないでくださいませ。(-_-;) m(__)m)



・参考

(※2)https://kotobank.jp/word/%E9%81%8A%E8%A1%8C-145021


(※4)https://kotobank.jp/word/%E6%95%99%E5%8C%96-52446

きょうか(教化):

 人を導いて善に転化させること:礼記由来


 江戸時代になり儒教の立場にたつ徳化を

 明治では 支配層による国民への思想教育をも 教化と称するようになった。


きょうけ(教化):

 同人を導いて善に転化させることを意味する仏教用語、「教導化益」

 転じて 法要に際し仏前で、声明(声明)の節で唱和するモノのことも指すようになる


 その場合「きょうげ」と読むのは、「:句の形式をとり、仏徳の賛嘆や教理を述べたもの」の影響ではなかろうかと 私は考えております。


尚、「」と「かつを入れる」の喝とは、字形が似ているのでご注意くださいませ。



(※5)

・高山寺公式ショップ

https://kyomono-sampo.jp/benrido/item/18824/


栂尾山とがのおさん高山寺こうさんじ公式サイト https://kosanji.com/chojujinbutsugiga/


日本の文化遺産を守るためにも、グッズ購入においては、公式認定マークの付いた商品を、信頼性の高いショップで買いましょう。


 できれば、国立博物館の館内ショップなど、公立の博物館で買ってあげてください

 (ペコリ(o_ _)o))


 現在 公立の博物館はどこも経営難で、このままでは貴重な文化遺産が海外に流出しかねません

 (それを狙って 議員たち・メディアの中には 予算削減と唱えて収蔵品の横流しに加担している売国集団もいるので 要注意です!)

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