青柳《あおやぎ》と琴音《ことね》
「雨の精 太陽の化身と続けば、次に紹介されるのは、風の精かしら?」
縁側に座って フェンに問いかけるリリー。
そこに響いてきたのは、ぼぇ~ ぼよ~ん ぼわわわわ~ん
尺八の音。
ころりん ころりん しゃしゃりん ちいとん
尺八の音に重なる琴の音色。
背にしたふすまがスス~と開くと、奥座敷で琴を弾く振袖姿の女性が。
そして 縁側とひまわり畑の間にすすッと現れいでしは、尺八を顎に当てた青い水干姿の若者。
(うわ~い 前と後ろから響く立体音響だ~。)リリー
(ステレオとは 左右にスピーカーが並んでおるのではないかの?)フェン
二人が奏で終わり、静かにお辞儀をしたので、
リリーは拍手した。
コックの合図で、クルリがお膳を 座敷に用意した、
二人の奏者も、コックに招かれ、楽器を片付け 席につく。
一同がそろったところで、改めて紹介された。
琴を弾いていたのは、桜の精の琴音さん。
尺八を吹いていたのは、風の精の青柳さん。
お二人は、普段から人型をとることが多いので
その時は、コックさんと一緒に、この草庵に住まうそうだ。
「といっても 風になって過ごすことも多いですけどね」と青柳さん。
お二人が好きな季節は春。
風の精や花の精は、ご自分が好きな季節とともに、姿を現すそうだ。
(ン? ヒマワリって夏の花じゃなかったっけ?)リリー
(深く考えるな。お主が考え込むと 話がややこしくなる)フェン
(いろいろと 注文が多いなぁ・・)リリー
「まぁまぁ 気楽にいきましょうよ」クルリがとりなすように
お茶をついでくれた。
春のイメージの 軽いお食事、おいしゅうございました。
・筍の若芽あえ
・ほんのり紅いろ 淡い香りの梅ごはん
・山菜とお豆腐のすまし汁
・デザートは 小さめの桜餅とおうす(注1)
薄茶は好きな茶わんを使用してよいということなので、
青柳は 若竹模様(柳じゃないところがみそ^^v)
筝音は 桜吹雪
リリーは ひよこ草
コックは れんげ
クルリは つくし
フェンは たんぽぽ
模様の器を使いました。
この世界では、きちんと正座をしても 足がしびれないのが良いわぁ。
これなら 私も 着物を色々 楽しめそう♬
今日のクルリは、割烹着を外して、御寮人らしい、若々しくも華やぎのある落ち着いた若草色の着物姿だった。
(注1)濃茶と薄茶
https://thankyou-cha.com/ousu-okoi/
(参考)
・尺八の吹き方
https://wagakki-hiroba.com/how_to_blow_shakuhati/ (動画あり)
よく尺八は音が出るまでがむつかしいと言いますが、フルートと同じで、毎日フーフーやっていれば、三日~2週間で ちゃんと音が出ます。(音楽クラブでの実体験より)
ピアノやギター同様に、「音が出る」と「弾ける・吹ける」と「演奏する」のとで、違いがあるのは尺八も同様ですが。
今は 尺八も リコーダー同様に プラスチック製のものが手軽に入手できるので、
そんな御大層なものではないと思うのです。
吹き方のコツは、イネ科の雑草の、芯を抜いて、葉が付いた茎の先に息を吹き込んで鳴らす草笛と同じなので、子供の頃にそういう遊びをやっていた人なら 一発で尺八も音が出ます^^
地方により、草笛に使う植物の種類も吹き方も異なりますが、上記の説明で「あーアレ」とわかる人なら
尺八を吹くのは そんなにむつかしくないと思います。
・口譜
https://kotobank.jp/word/%E5%8F%A3%E8%AD%9C-1305026
私が(母のお供で)三味線を習ったときには、チントンシャンの口譜で教わりました。
でもお琴を習ったときは、調弦が洋楽器のドレミと同じだったので、琴柱の置き方だけを教わった後は、すでに暗譜していたピアノ譜の記憶に従って、ポンポン弾いて、先生から嫌われて教室から追い出されました(-_-;)
いやぁ 面白くてついつい弾いてしまったのよ、知っている童謡を。なにしろ小2でしたから(-_-;)、
教室で初めて見た琴が珍しくて、それに先生が説明の後「自由に弾いてごらん」と言ったのを言葉通りに受け取ったら・・「進度を乱す」と叱られてキョトン、
(今ならわかる、お山の大将でなければ気がすまない『非常に嫉妬深く劣等感の強い教師』ゆえの仕打ちだったのだと)
なので 筝に 口譜があるのは知らなかったのですが、念のために調べたら、和楽器にはそれぞれ口譜があったのですね。
だから 昔話にも 「てんつくてんつくててれんてん」なんて書いてあったのだと妙に納得してしまいました。




