コックの眷属:カザンとワム君
念願かなった露天風呂から上がり 気持ちよ~く眠りについた。
翌朝、新しくできたコックの領域を見に行った。フェンと一緒に。
◇
いつの間にか 門長屋に続く油土塀ができていた。
この油土塀は、「最初の家」の敷地をくるりと取り囲んでいるらしい。結界もかねて。
この油土塀に沿って、竹が生えている。
食用になる淡竹と良質な建材となる真竹がメインだ。
◇
竹林の土の中から ひょこりと顔を出したモグラが1匹。
モグラと言っても 子犬ほどの大きさはありそうだ。
目が合うと、ふいと頭が引っ込んだ。
「おはようございます」
前から声がするので、視線を前に戻すと、コックが立っていた。
後ろには、茶色の作務衣を着た男が一人。
「大モグラのカザンです。
主に地中の温度管理をしております」
軽く会釈して 名乗りを上げた。
「初めまして。リリーです。
カザンは、地中の温度管理をするってことは、火山なども管理しているの?」
「そうです。
私は コックの眷属で
私の眷属には、ミミズやモグラなど地中で暮らすものがいます」。
「おー 眷属の眷属。
もしかして さっき 竹林で、目が合ったモグラさんも あなたの配下なの?」
「さよう。
おいしい筍を 土の中で育てるために、
土壌の調整を任せております。
お嬢さんは にょろにょろ系も大丈夫ですかな?」
「ご挨拶だけなら。」
(実は苦手ですなんて言えないもの。
パッと観察する分には良いのだけど
じ~ッと見てると その不思議な動きが不気味に感じられて
実はすごく苦手なのです)
「なら 名前だけお伝えしておきましょう。
大ミミズのワム君もわしの仲間ですじゃ」カザン
「これからお世話になります、
どうぞよろしくお願いします。
とお伝えいただけると幸いです」
「あいさつ しかと承った」
土の中から返事が来た。
「あ ワム君ですか、土の上から失礼します」
リリーは 深く腰を曲げるお辞儀をした。
・油土塀 と言えば 龍安寺。
いつのまにか 世界遺産になっていましたw
・筍といえば、白子筍
かつては 旬の味覚として 地元では庶民にも親しまれていたのですが
いつの間にか 超高級品になってしまった><
竹の子と筍の違いや、筍を育てる土壌については↓をどうぞ
https://www.kyoto-t.net/%E8%BE%B2%E5%9C%92%E6%A1%88%E5%86%85/%E7%99%BD%E5%AD%90%E7%AD%8D%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E4%B8%AD/%E7%99%BD%E5%AD%90%E7%AD%8D%E3%81%A8%E3%81%AF/