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先輩と後輩が駄弁る話

作者: 腹痛

「ねぇ後輩ちゃん」

「なんですか」

「敬語を相手に使うボーダーって、どこなんだろうね」

私の先輩は、よくわからない話をする。


放課後。いつも通る十字路の信号で先輩は急に切り出した。

「知りませんよ、そんなこと」

「敬語ってさ、相手が自分より上の時に使うでしょ。ならさ、自分の方が立場が上で、でも相手は年上っていう時はどうするんだろうね」

私は先輩の隣で今日のニュースを見ながら考える。

確かに、そういう状況なら敬語を使うか否か一考の余地があるだろう。

先輩が切り出す話は大抵気にするほどのことでも無いが言われてみると、という気持ちになる話ばかりだ。

しかしこれまた、少し考えると答えの一つくらいは出てくる質問でもある。

「そんなの、人によるんじゃないですか」

と、私は返した。

先輩は、

「ん………」

と唸っていたが、すぐに確かに、と納得した。


いつもはそこで終わるのだが、今日は少しばかり気になって

「急にどうしたんですか」

と聞いてみることにした。

「いやね、今日たまたま、いやほんとにたまたまなんだけど、留年したって噂の近所の奴と話したんだよ」

「そんな人いましたっけ」

「いるじゃんあの公園の近くの家のさー」

「あぁ」

「それでさ、最近近くにできた美味しいラーメンのお店とかさ、学校にピザ頼んだ話とか色々したんだけど、どうも言葉遣いをどうしたらいいのか全くわかんなくて」

「まあ…たしかに」

「そのときは敬語で通したんだけど、後から考えると別に後輩なんだから敬語はいらなかったんじゃないかなーって」

たしかに、その場面なら言葉遣いに困るのはわかる。

私だったら、早々に話を切り上げてクラスに帰っていただろう。

丁度信号が変わったので、先輩の手を引きつつ歩き出した。

少しばかり暑かったので手が汗ばんでないか心配だったがあまり気にしている様子はなかったので、渡り切ったところで手を離した。

そこからは、特に会話が起きることもなかった

たまに先輩の方を向いてみるが、いつも通り、何かを考えていそうな表情だった。きっと、さっきの話のことでも考えているのだろう。

先輩とは家が通り一つ挟んで向かい合わせなので、私が曲がる角から一つ手前でいつも別れる。

先輩にさようなら、と挨拶をしつつ私は家まで帰った。

今日は夜には雨が降るらしい。

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