北の森ーデビルズフォレストー蜂蜜とバターを添えて
ドドドドドドドドドドドドドドド............。
「滝に行き着いた......?Uターンは今更無理だし・・・。」
水車小屋が脇目にちらりと見えた。
「さいあく、水車小屋で一晩越すことに・・・?」
よくよく見るとおかしな点が見える。
「水車回ってなくない?近づいてみようかな・・・?」
水車は確かに回ってない。注視してみると、
「水を受けるところがところどころ腐って穴が開いてる。」
修理はしないんだろうか?中に入れるのかも心配ではある。
こんこん「お邪魔しまーす・・・。」
中は正常に動いてるようだ。
「張り紙?えぇっと?『この水車小屋は魔導具によって動いてます。お泊り、食事の方は奥の蜂蜜の瓶とバター(水車によって作られたもの)とパンを朝食にお食べください。※この水車小屋の□料は□◇具によって◆■前の●〇に戻ります。』最後の張り紙だけは劣化が激しいなぁ・・・。」
奥の方からいろいろ持ってきた。では食べますか。
俗にいうフランスパンにバター、蜂蜜をバターナイフで塗りたくる。
しゅ!しゅ!こういうのは塗るスピードが大切になる。
「千切るのもありだし、一思いにかじるのも・・・いや!だめだ!顎はずれてしまう。」
ぶちり。フランスパンを千切り口に運ぶ。
「はむっ・・・もぐもぐ・・・ふー。」
喉が渇く。ん?まてよ・・・。張り紙にこの水車で作られたバターって・・・じゃ材料である牛乳もある筈では?
水車の中心にあるなにかをひたすらすりつぶしているところに注目する。おや?すりつぶしているのは・・・牛乳?変な方法でバター作ってるなー。
「ちょろちょろちょろ......。」
水かと思って眺めていたら上から少しづつ牛乳が供給されているようだ。
コップに牛乳を注ぐ。
「ごくごくごくっ!ぷはー!」
いまの私の顔を鏡で見たらきっと『真っ白いおひげだー!』というだろう。
もう一杯飲む。
「ごくっ・・・。ふー。」
フランスパンを千切る。
「もぐもぐ・・・」
蜂蜜とバターの溶けたものが混ざる。
「もぐもぐもぐもぐ......。」
フランスパンはフランスパンでおいしいのだが・・・。
「ごちそうさま!」
――――15年13ノ月18日=魔の森の水車小屋でフランスパンのようなものをたいらげた。
「ん・・・ん~!はぁ・・・。」
水車小屋に寝そべる。天井・・・地図が張ってある。
「ここの現在地が・・・ウォレンスの森ではない・・・??奥地に入ったから魔の森ってこと?ふむふむ。地図によると一番近い町が地図で見ると右だから東か。」
眠い・・・お腹いっぱいになって眠く・・・。
『セーブしますか?』
「うんうん......。」
『セーブポイントを更新しました。』
水車小屋ー約150年前
村長「これでよしっと。水車は壊れたけど魔導具『時間遡行』と『逆の裁定』でなんとか動いてるっと!」
村人A「村長・・・って呼ぶのはやっぱりちょっとおかしい気がしますが・・・まあいいでしょう。奥さんが呼んでますよ。」
村人B「村長(旦那)。私たちの子供知らない?ちょっと目を離したらどっかいっちゃって・・・。」
村長「オレは知らないけど?木登りでもして遊んでるんじゃないか?」
村人C「うちの子供もいない・・・?」
村人D「村長の子供だけじゃない!!村中の子供がいなくなってる!!」
村長「さ、捜せ!魔物が子供を攫っていったのかもしれない・・・!」
村人A「そ、そんちょ・・・う。」
マモノノムレダー!タスケテ―!キャー!
村長「終わりだ・・・村が......焼け落ちる。」
ウ―――カンカンカン!カンカン!ウ―――......。
水車小屋ー50年前
冒険者A『こんな所に水車小屋?』
冒険者B『中に魔導具の魔力があるが・・・探してみるか?』
冒険者A『いや。ここで一晩過ごそう。魔導具はその後で。』
冒険者C『了解!』
ーーー1晩後
冒険者A『便利すぎる・・・。食べたり飲んだものが昨日と変わってない?つまり、魔導具で元通りに戻ってる?ふむふむ・・・。』
冒険者C『リーダー!もう行くよ!』
冒険者A『まっ、待ってくれ!最後にこれだけ・・・張り紙に天井に地図・・・と。これぞ冒険の醍醐味だよな。』
冒険者として在るべきは後世に遺産を残すこと。ー冒険者A
あとがきおわり。(読まなくても大丈夫ですが裏設定ですので読んでも楽しめます)