北の町-ミーレスー味噌ラーメンを食す
とくにてんかいをかんがえてません
ちゅんちゅん......
「ふぁぁぁぁ......」
『おはようございます。朝食は一階で!』と書かれた紙きれがドアの下から入れられていた。
「むにゃむにゃ......」ばしゃばしゃ!
ギーガチャ......てくてく......
「あっ、今日の朝ごはんミーレス名物味噌ラーメンだ!」
子どもが騒ぎ立てている。
「おばちゃん。朝ごはん頂戴。」
「おまちどうさま。熱いうちに胃に流し込みな!」
熱いうちに・・・箸を割る。ぱきーん!
すー--・・・いいにおいだ。すきっ腹にそそられる匂い......例えるなら、少し香辛料のきいたスープといったところだ。
「・・・だめだ!これの正しい食べ方がわからない......。」
ふと隣を確認する。
「はふはふ......ずずー--......ごくごくっ......ずるずる......はむっ......」
なるほど。吸い込む感じか。
「ずずっ!けほっけほっ......。」
咳き込んだ。というかこんな料理に舌鼓を打ってる場合ではないのだが......。
「ずずー--......。」
周りの客を見てみるがみんな同じメニューを食べてるようだ。
暖炉に照らされて少し蒸しばむ。
そういえば外では雪が降っていたようだった。
ちりんちりん。
「?。風鈴?」
雪の中に風鈴がたなびく。風を受ける紙のようなものがゆらゆらと揺れて音を鳴らす。
「おう。今日の野菜は・・・。」
「なに!?この町のアイドルの・・・。」
「そういえばー、昨日ー、騎士学校のー、なんか首席の人がー・・・。」
「ずるずる・・・。ふぅ・・・。」
一息つく。見た目どうり量が多い。女の私では完食できるか怪しい。
「ごくっごくっ......。」
箸休めにスープを堪能する。少しぴりっとした......唐辛子が入ってるようだ。
「お姉さん。残していいんだよ(残されたら洗うのとか面倒だけどね)」
「むっ!残しませんけど。」
「ちゅるちゅる・・・もぐもぐ・・・。」
上に乗っていた細長くて透明なシャキシャキしたものを嚙み潰す。
「もぐ......ずるずる・・・ぷはー--!ごちそうさまでした!」
おなかがメモリで言うところの11分目くらいの満腹感だった。
――――15年13ノ月15日=ミーレス名物みそらあめんをたいらげた!
今日の日記にはみそらあめんの話でも書こうかな?
「なに!?盗まれた!?あれは領主さまへ渡すつもりのお高い奴だぞ!帯剣してた?んなもん関係あるか!!探してこい!」
「へー--。やっぱり都会だなぁ盗みなんて初めて見たよ。うんと?馬車乗り場は街の端っこね。」
一ミリたりとも積もっていない雪道を急いで下っていった。
曲がり角を・・・!?「ドンっ!!」
「すすすすいません!滑ってしまって・・・。」
「いえ。こちらこそ。」
「いやー北に少し来ただけでこんなに寒いもんなんですね......あっ。」
「あっ」
友Aだ(手紙で友達になろうと言っていた奴)。そういえば名前は知らない。
「エナ!!!!!!!!!!」ダキツキー
「ちょっと......スキンシップすな。」
「?。なんか性格変わったっていうか・・・太った?」
「しっ、失礼な......ただ霜焼けでむくんでるのと着膨れとか見間違いとか?」
「いや、やっぱり変わったよ。手紙を丸めてごみ箱に捨てた時と比べて丸くなった。両方の意味で。」
「一言多い!というかここで何やってるの?」
友Aはローブからなにか取り出した。
「?」
「じゃじゃーん。」
一見するとそれは、『丸くて』、『手に乗る大きさ』、『青く光る』それは・・・
「宝石?ではないよね?じゃあ・・・魔道具?」
あてずっぽで言ってみた。
「ぶぶー--!これは地球儀のような何かでーす!不正解のエナにはー10Pです!」
「自分でも何かわかってないんじゃん・・・。なんで何なのかわからないものもってるの?」
友Aはペンライトを取り出して壁と地球儀の間に向かって照らし出した。
ピカッ。壁には何か模様のようなものと文字が浮かんだ。
「ほら。地球儀。」
「私の知ってる地球儀と違う・・・。」
「でもコンパクトで便利だしキレイだし、なにより現在地がわかる!」
たしかに、色がついていない点がある。これが現在地か。
ふと時計を見てみる。
「あっやばい。わたし馬車乗るからまた今度ね!」
しゃりしゃりしゃり......。
「すいませーん!乗ります!」
ぎりぎり間に合ったというところか。
運転手が馬に鞭を打つ。
「ひひー--ん!!」
どうやら相乗りのようだ。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
ふたりきりなのに会話がない。
「目的地は北の国のミーレスから少し南へ行った先のウォレンスの町になります。」
「・・・」
「・・・」
話さなくて済むならそれはそれでいいが・・・。
コンッ!コンッ!ころころ......。
男の荷物から宝石のような何かが転がってきた。
それは『丸い』が角が荒く、ぎりぎりで『手に乗る大きさ』、そして『”紅く光る”』きれいな球。
「あの、落としましたよ・・・?」
「すまないが拾ってくれないか。」
「?。はあ......はい。」
ドンっ!横から蹴りを入れられた。
「!!!。えっ......?」
どしゃー--!!
蹴り落された後ろからなんと馬に乗った貴族の召使いのような人影に
「ごしゃあ!!!!!!」
――――4度目の死亡15年13ノ月15日夕刻4時。馬に乗った誰かに轢かれて死亡。
冒険者『ここからギルドに加入して城砦都市ミーレスで仕事を請け負うことができる訳だ。城砦都市ミーレスは騎士兼魔術師学校があり、貴族様の騎士見習いや魔術師候補生を輩出しているという。どおりで治安がいいわけだ。まあその分、騎士さまと魔術師さんのいがみあいが多いわけだが?』
ギルド組員『だれに説明してるんですか?個々人のいがみ合いに騎士だとか魔術師だとかはあまり関係ないですよ。まあ『若い人は血の気が多い』ってだけのことです。はい。手続きはこれで完了しました。これでギルドから仕事を請け負うことが身分上は可能になりました。ギルドの壁・・・あそこに見えるボードから仕事を選んでクエストペーパーに書いてある英数字を受付に伝えて ください。受付からOKが出ましたら依頼主と会う。というのが大まかな流れです。分かりました?』
冒険者『OKが出ない場合があるのか?』
ギルド組員『依頼主からの条件次第といった感じですね。あくまで冒険者という"身分"になったというだけですので。ここだけの話ギルドカードに隠しステータスとしてC〜Sまでの冒険者ランクが設定されているらしいですよ?依頼者にはその開示がなされるとかなんとか。大きな声では言えないんですがこんなとこに依頼を出す人はそれ相応の身分なので真偽は分からないんですけどね。』
冒険者『ふむ。まあ信用は大事って事だな。』
ギルド組員『そういうことです。では世間話はこの辺で。クエストを選んで来てください。受付は奥ですよ。』
冒険者『了解』
あとがきでした。(長い上に本編に絡まない話の予定ですので読まなくても差し支えありません)