グレイシア国到着3
「マクリス、今回の婚約は国同士のものでお前たちが反対しようと、婚約は結ばれる。ならば、私情を挟まずこの婚約をスムーズに進めることが、私達、側近の役目だと思うが?」
おぉー、クーさんの正論には反論できないよね~。
分かる分かる、クーさんのガチ怒りほど怖いものはないよね。反論できなくて、クーさんの息子さんも他の人もなにも言えなくなってるし・・・。
「クーさんも出迎えに来てくれたの?」
とりあえず、他に意識を持っていってみよう。
「あぁ、あまりにも遅いので呼んで来るように陛下から言われて来たのですよ。来て正解でしたね、さ、姫様たちはこちらへ陛下がお待ちです。クライス王子たちには話がございますので、お部屋へお戻りください」
私は姫様を案内してから参ります、と言い私たちをグレイシア国王が待つ部屋へ案内してくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「それでは、私は失礼します」
私たちを案内したクーさんは、クライス王子たちのところに行くんだろうな。説教しに。
大変だぁ~なんて思っていると・・・。
「いや~、息子たちが失礼なことをしたようだね」
玉座についているメガネをかけた優男風の男の人、うちの父様もかなりの美形だけどグレイシア国王であるこの人もかなりの美形だ。
クレイヴ・ヴァーリア・グレイシア
グレイシア国の王で、さっきの黒髪のクライス王子の父親。グレイシア国の王家は、みんな髪の色が黒なのが特徴だ。クライス王子は青っぽい黒の瞳だったけど、国王はサファイアみたいな色だ。
王子とは違い優し気な感じだけど、戦場ではかなりの策士でこの人の作戦が失敗したことがないとか・・・。
まぁ、こういう一見優し気な人が一番危険人物なのはだいたい鉄板かな?
「どうかした?」
「い、いえ」
おっと、じっと見すぎたかな?あと、私の父親であるバーミリア国王と仲がいいのよね。
「マクリス達にも困ったものだね、大丈夫だった?」
昔からこの人の話し方は緩いのよね、これも策士には必要なのかしら?
「はい、大丈夫ですよ。それより、マクリスさん?達の方が大変なのでは?」
「ククッ、確かにね。久しぶりにあんなに怒っているクーを見たよ、ミレイ姫のことになると大変だね。ま、クーに限らずだけどね。さて、それで本題だね」
そういうと、クレイヴ王はさっきまでの雰囲気から一変して、国王の顔になった。
「今回はかなり動いているみたいだね」
用意されていた紅茶を一口飲んで、話し始めた。
「やっぱりそう思います?」
「ミレイは、あまり実感ないだろうけどルイやランは分かるんじゃない?」
話を振られたルイとランは、気まずそうに顔を見合わせて答えた。
「はい、最近ミレイ様の身の回りの世話をする者が僅かにですが、行方不明もしくは何者かに襲われるということが起こっています」
「報告がなかったけど?」
「ノヴァ国王が、姫様には言うなと」
本当に過保護なんだから・・・。
「過保護だねぇ、ノヴァは」
「全くです。どうにかならないものでしょうか?」
「無理だと思うなぁ」
他人事のように言いながら、話を戻そうかと言ってきた。
「で、しばらくの間クライスの婚約者としてグレイシアに滞在してもらうことになったわけだけど、それは表向きで本当は、バーミリア国の次の王が誰か、そろそろちゃんと国民に知ってもらおうと思っているみたいだねノヴァは」
「なるほど、準備が整ったということですか?」
「うん、もうすでに周辺国はそのつもりで動いているし、バーミリア国も一部を除いて動いてるみたいだよ。小さいときからミレイが頑張って働いてくれたおかげだね」
「じゃあ、今回私がこっちに来たのは」
クライヴは、ニコニコとそれはもう上機嫌に言った。
「ミレイ、君の戴冠式の準備のためにノヴァは君をグレイシアに送ったんだよ」