婚約~グレイシア国~
ミレイたちが御者と会っていたころ・・・。
グレイシア国 王子の執務室。
「今頃、ミレイ姫と合流したころかな?」
「こっちに着くのは二週間後ぐらいですね」
「魔物たちにその姫さんが勝てるならな、勝てなかったならその程度だったってことだろ」
それぞれが好き勝手に発言しているが、共通しているのは全員がバーミリア国から来るという姫を蔑んでいる、ということだ。
「全く、一歩間違えれば国際問題ですよ」
「だから、馬車と御者を送ったんだろ?」
「あれでもギリギリですよ、あちらが問題にすれば負けるのはこちらですからね」
そういってため息を吐きながらメガネの位置を整えているのは、黄色味が強い金髪を丁寧に整えた髪にオレンジが混じった黄色の瞳の神経質そうな男だ。
その男とさっきから話しているのは、白銀の短髪にシルバーの鋭い目の男だ。
「そんときはそんときだろ、マクリスは考えすぎだ」
「ウィンは考えなさ過ぎですよ、国力で言えばあちらの方が大きいのですから」
「へいへい、そうですか」
白銀の短髪の男、ウィン・クルーは興味を無くしたようにバルコニーに出て行った。
それを呆れながらみていた金髪の男、マクリス・モルガンはさっきから一言も発していないこの部屋の主にして、マクリス達の主であるクライス・ヴァーリア・グレイシアがいる。
「クライス様、そろそろ興味を持ってください」
「・・・馬車が戻ってきたら考える」
「全く、少しは私の苦労も分かって下さい」
そんないつもと対して変わらない日常を送っているグレイシア国の王子の執務室。
グレイシア国の王子、クライス。黒髪に青っぽい黒の瞳の容姿も整っている王子だ。その容姿に劣らず、王子としての能力も申し分ない王子だが・・・。欠点としては、何事にも興味がなく意欲的ではないことだ。
コンコン
「失礼します、クライス王子」
「稽古は終わったんですか?ヴァイス」
「あぁ、それとここに来るときに預かった」
「先触れですか?」
ヴァイスからそれを受け取ったマクリスは、差出人を確認する。
「この紋章は・・・」
ドォォォォォォン!!
「なんだ!?」
バルコニーにいたウィンが反応し、外の音のした方を見ると・・・。
「馬車?」
そこには、空を飛んでる馬車と飛んでいる女の子がいた。