出発
「すいませ~ん!バーミリアのミレイ姫ですか?」
馬車の御者をしていた私たちと同じ歳ぐらいの男の子が、御者台から降りて来た。
「私がミレイです。あなたがグレイシア国からの迎えの?」
「はい、実は本当ならクライス王子が迎えに来るはずだったのですが・・・。」
なるほど、王子自身が拒否したか周りの側近が止めたかかな?
どちらにしろ、私がグレイシア国に正式に抗議したら本当に国際問題だけど分かってやってるのかな?
「そちらの王子はちゃんと分かった上で、この対応なのでしょうか?」
ルイも同じことを思ったのかな?
「・・・それが、王子自身はまったくこの婚約について興味を持っておらず王子の側近の皆様が・・・」
私は手を挙げて、話そうとするのを止める。
御者の男の子は、凄く申し訳なさそうにしてるし、ルイは笑顔だけど目が笑ってないし、ランはグレイシア国の側近達をどう始末するか考えてるし・・・。
さて、本格的にちゃんと対応しないといけなくなったな。どうするか・・・。
ま、話をしないことにはどんな人かも分からないしな。
「よし、仕方ないからこっちから会いに行こう!」
「そうこなくちゃね、ミレイ様。じゃ、いつもみたいに飛んでいくの?」
「いや、ちょうど馬車があるし乗って飛んでいこう!」
「きゃあ、凄く楽しそう!」
「はしゃぎすぎよ、ラン。でも、楽しそうなのは否めないですね」
二人とも、私の提案にすごくウキウキしているみたい。ただ、御者の男の子は置いてけぼりで私たちの顔を見比べつつ、不思議そうにしてる。
「さ、そうと決まれば御者さん馬車に乗って下さい。ルイ達も乗ってね」
ルイ達が乗ったのを確認して、私は馬車に手をつく。
馬車に置いた手に魔力を集中させていく、魔力が溜まったところで馬車を浮かしていく。
「うわぁ!馬車が浮いてる!」
「さぁ、出発しますよー!」
馬車を浮かした後、私自身も飛んだ。
「御者さん、案内お願いしますね」
「は、はい」
御者さんは、驚きつつ返事を返してくれた。
さてさて、グレイシア国の人たちはどんな反応するかな?あの人たちにも早く会いたいしね。
そんなこんなで、私たちはバーミリア国を旅立った。