彼女の事情2~クライス~
「いやーそれにしても今日は、信じられねぇことばっかりだったな。俺、前にバーミリア国のメイリーン姫見たことあるんだけどさ、全然違ったんだな...」
「女性には常に秘密が付きものだと、父が言ってましたがメイリーン姫のはいささか怖いですね」
ウィンとマクリスが話しているのを聞きながら、俺はヴァイスにも声をかける。
「ヴァイスはどう思った?」
「...ミレイ姫は信用にたるお方かと、自身の事情のことはクレイヴ国王にミレイ姫様に託されていたにも関わらず、こちらに話していたこともですが、私達が巻き込まれることを危惧し黒幕を話さなかったことも含めて、思慮深くも賢い方...。そして、孤児院出身の二人を侍女にしており信頼関係もしっかり築けているのも噂が違うという証明になりますが、私達に色目を使わないことも証明になるでしょう」
確かに、少し話しただけでも分かった。ミレイ姫は本当にいいやつだ、というかあまり自分が大切にしているもの以外に関心がないのだろう。
あの怪我も大変そうだったが、それでもその王子をすぐに処分せずにバーミリア国国王に判断を任せていることからも分かる。
そのまま歩き、部屋へ着きソファに座る。
しかし、噂がすべて違うとなると...。
「ミレイ姫が次のバーミリア国の女王となる...もしかしたら、戴冠が近く行われるかもしれないな...。父上は、まだ情報を持ってるだろうしな」
「親父にも聞いてみるか、ミレイ姫に稽古をつけてたって国王様も言ってたしな」
「私も父に聞いてみましょう、父はミレイ姫様と親しそうでしたし」
「あの宰相様が、クーさんって言われてたしな...」
あの父である国王や、ウィンの父親などのごく一部にしか素を見せないあの宰相がまるで自分の娘かのように親し気に話していたのも驚いたが、その後俺たちのミレイ姫たちへの態度をせめる時の本気度も凄かったからな。
「本当に最初見た時は、父なのか本当に疑いました。ミレイ姫のことを、自分の娘のように大切に思っているようですね」
「とりあえず、もう一度ミレイ姫に関する情報とメイリーン姫に関する情報...。どちらも改めて集めてくれ、マクリス、フェリウス団長はもうすぐ戻るか?」
「はい、早ければ明日の早朝には」
「フェリウス団長に会いたい旨を伝えておいてくれ、ミレイ姫にもその時に同席できるか聞いて来てくれ。団長もその方がいいだろうしな」
さて、これからの対応も考えないといけないな...。俺たちが黒幕の正体を知ったと黒幕が知れば、俺たちを消しに来るのも時間の問題だ。その対応も考えておかないといけない。
「これからは、より身辺に気を付けろ。何かあればその都度報告を」
「かしこまりました」
真剣な顔をして、頷く。
「あーあ、それにしてもメイリーン姫が男好きの頭の悪い姫だとはな...。いまだに信じらんねぇ」
「まぁ、まだその現場を実際に見たわけではないから仕方ないですが、その情報をまわしているのも黒幕の方たちでしょうね」
「そうなると、メイリーン姫が持っている”印”がなんなのか分からんな」
メイリーン姫が持っているのは”王の印”ではない。ならば、”王妃の印”なのか?
「まずは、情報収集が先だ結論はその後にしよう」
そう結論をだし、とりあえず解散して今日の分の残りの仕事を終えて休むことにした。