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規格外のお姫様  作者: セラ
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彼女の事情~クライス~

ミレイ達が、魔物狩りに出かけた少し後...。


「ミレイ姫たちは、いないのか?」


「はい、今日は用事があり一日出かけるとのことでした」


「どこに行ったか分からないのか?」


「はい」


 昨日から来ているバーミリア国の姫、ミリア姫に会いに朝から来てみたのだがどうやらいないらしい。

 今日は、昨日少し話した武器を収納できるブレスレットのことで来たのだが、用事があったらしい。先に約束をしていなかった俺たちが悪い。


「残念だったなウィン」


「いないんならしょうがないな、あの侍女とも手合わせしたかったんだがな」


 確かに、ミレイ姫に仕えている二人の侍女。ルイとランは、ミレイ姫の護衛も務めていることもあり武術の心得があるようだ。

 あの時、ウィンの攻撃を防げたのをみてそこらの騎士よりは強いのだろうと思う。


「しかし、どこに行ったんでしょうか?行先も告げずに出かけるとは...」


 普通、自国ではない城に滞在している際はきちんと行先を告げるのがマナーだが...。


「父上は何か知っているかもしれない」


 さっそく、父上に予定を聞き会いたい旨を伝える。すると、今から会うという返事がきた。

 俺たちは父上の執務室に向かった。



コンコン


「父上、俺です」


「おー入れ」


 いつもの父上の返事がして、執務室に入る。


「失礼します。ミレイ姫のことについて聞きに来ました」


「ミレイのことか、まぁ座れ」


 遠慮なく座らせてもらい、さっそく本題を切り出した。


「で、ミレイのことかなにかあったのか?」


 父はいつもの感じの、何もかも見越していたような感じで俺たちに聞いてきた。

 この人はいつもそうだ、何か問題が起こっても見越していたかのように余裕な感じですべてを処理していくのだ。相手より何手も先をみて行動しているのだ。


「今日、ミレイ姫は出かけているとか...。父上なら何か知っているかと思いまして」


「あぁー、今日から副業を再開するって言ってたな...」


 副業?ミレイ姫はバーミリア国の姫だ。バーミリア国は、周辺国からも一目置かれている国でその国王であるノヴァ国王も、あの父が天才だと言っているほどの方で国力でいってもとても大きい国だ。

 ま、ミレイ姫の評判はすこぶる悪いと聞いていたが...。


「ミレイは、噂のような悪い姫だったか?」


 またこの人は...。


「父上、私の思考を読んで会話しないでください。確かに、噂にあるような姫ではなさそうに見えましたね」


「そりゃそうだろうな。...で?どこまで聞いた?」


 ミレイ姫の噂についても何か、裏があるのか?


「今回の婚姻は、ミレイ姫の保護が目的だとか...。命を狙われているとか」


「お、そこまで言ったのか、じゃあ、ほとんど話しても大丈夫そうだな。ミレイを狙ってる相手のことは?」


「それは、私達の命も危ないため教えられないと...」


「だろうな。とりあえず、俺の話を聞いて覚悟が出来たなら...。お前たちに教えてやるよ、あいつを狙ってる犯人を...。どうする?聞くか?」


 これは、俺たちを試しているな...。それほど今回のミレイ姫に関することが重大すぎるのだろう。


「ま、覚悟うんぬんは後からでもいいが、まずは、ミレイのことだあいつについてどれぐらいの情報を持ってる?」


「...マクリス」


 今回、情報収集していたマクリスに任せる。


「まず、ミレイ姫様はバーミリア国のノヴァ国王と異世界からきた前王妃ミハル様の娘であること。...噂では、相当な男好きでだらしない頭の悪い姫。そして、バーミリア国でもっとも重要とされる”王の印”を持っておらず、それに次ぐ”王妃の印”さえ持っていない出来損ないの姫だとか...」


「で、それを踏まえて昨日話をしてみてどうだった?」


 俺たちが、謝罪だけでなく少し話をしたことも知っているんだろうな。


「そんな感じはしなかった、それに武器を収納するブレスレットを開発したと聞いた。そんな姫が、噂通りの悪い姫とは思わない」


「おぉ、実現できたんだな武器を収納する道具。前に聞いた時は、まだ試作段階だからと見せてもらえなかったんだがなぁ」


 そういえば、父上もそういう道具好きだったな。話が長くなりそうだ。


「父上、話を進めてください」


「お、すまん。でだ、バーミリア国にはもう一人姫がいるのは知ってるだろ?」


 視線でマクリスに、話をするように促す。


「バーミリア国の現王妃であるクリスティーン・フィーリス・バーミリアの娘、メイリーン姫のことでしょうか?」


「そうだ、そっちの噂は?」


「”王の印”持ちで美しく優しい姫だとか、しかし、メイリーン姫が次の王位を継ぐと言っているバーミリアの高位貴族は少ないですね。どちらかというと、低位の貴族の方がメイリーン様を推す声が多く、逆にミレイ姫様を次の王にという声が高位の貴族や、周辺の王族には多いように思います」


「うん、それは追加で調べたのか?」


「ミレイ姫たちと話をしたあと、調べさせました。あまりにも噂と違ったので」


「そうだろう...。その悪い噂がすべて、メイリーン姫のものだと言ったらどうする?」


 悪い噂がすべて、ミレイ姫ではなくメイリーン姫のもの?...ん?噂がすべて...。


「それは...”王の印”についてもですか?」


「そうだ、すべてと言ったろ?」


 この人は、また、すごい作戦を考えた時のような悪い笑みを浮かべて笑っている。たぶん俺は、父上の掌の上で踊らされているのだろう。

 しかし、メイリーン姫が持っていないのだとしたら...。まさか...。


「ミレイ姫が狙われているのは、それが原因ですか?」


「あぁ、そして...。それを一番よく思わないのは?」


 ミレイ姫が”王の印”を持っていて、いずれバーミリア国の女王となる時損をする人物。それは...。


「現、王妃...」


「さすが、俺の息子だ。そう、ミレイを狙っているのは現バーミリア国王妃、クリスティーンだ。だからこそ、ミレイは幼い頃から命を狙われている。大なり小なりな...さて、黒幕が分かったわけだが...どうする?」


 まんまと、父上に踊らされ黒幕を知ってしまったが...。本当に事が大きすぎる。

 マクリス達も悩み始めてしまった。


「ま、お前らに選択肢はないがな。ミレイは巻き込まないようにしたがっていたが、味方は多い方がいいしミレイの味方にミレイと歳の近いものがいる方が、ミレイのためだろうしな」


 はぁーー。

 知らぬうちにため息をはいてしまった。ま、聞いてしまったものはしょうがないし覚悟は決めた。

 まだ少ししか話してはいないが、ミレイ姫は他人のために行動を起こせる姫だろう。それに、頭も悪いどころかいい方に分類される人物だろう。

 俺が、確認のためマクリス達に目を向けると、マクリス達も覚悟は決まったようだ。頷きあい確認をとると、改めて父上に目を向ける。


「分かりました、ミレイ姫の味方になりましょう」


 父上は、にやりと笑い。


「よし、じゃあ副業のことだな。今日は、バーミリア国の隣国の王子について魔物狩りに行っている。ミレイは副業で、周辺国に副業と称して魔物狩りの付き添いやら、他の王族の護衛やらをしている」


「自分の命が狙われているのに、ですか?」


「国にいては、命を狙われるからだよ。逆に、他の国で副業してる方が安全だし自分の身を自分で守る術が身に付くからな、と昔ミレイに同じ質問を俺がした時に返された返事だ」


 それだけの覚悟を、ミレイ姫は幼い頃に持つしかなかったのだろうな。


「あの、ミレイ姫様はそれだけの実力があるのでしょうか?ミレイ姫様の侍女の二人は、実力者だと思っていたのですが...」


「あぁ、それはウィン、お前の父、フェリウスに聞けば分かるだろうさ。ミレイは、フェリウスの教えを受けていたからな。と、こんな感じでいいかなたぶん夕方ごろに帰ってくるだろうし、部屋で待っててみたらどうだ?」


「分かりました。失礼します」


 父の執務室から出て部屋に帰り、改めてマクリス達と話をして夕方ミレイ姫が泊まっている部屋にいたわけだが...。



「...えっと、なぜここに?」


「その怪我はなんだ」


 帰って来たミレイ姫は、肌に変な痣をつけて怪我も多くしている状態だった。










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