副業3
一気に走るスピードを上げ、地面を思いっきり蹴って飛びあがる。
私に気付いたグリーが、攻撃を放ってくるがそれをよける余裕がないためそのまま剣を振り上げそのままの勢いで、グリーの真ん中の首めがけて振り下ろす。
ギャヤヤ!
真ん中の闇魔法を出していた首が落ちた瞬間、他の炎を出していた首も消滅した。
「ふーー、こんな感じか」
「なるほど、闇魔法を放つ首が弱点か。お疲れ、姫さんこれはギルドにも報告だな」
この世界の冒険者ももちろんギルドに所属している。だから、魔物狩りで得た情報はちゃんとギルドで共有され、各国のギルドでも共有される。そして、魔物狩りがより安全にできるようにするのだ。
「お、おい」
私たちが一安心して片付けをしようとしていると、例の王子が声をかけて来た。
グリーが倒されたことで、落ち着いたようだ。
「王子には、聞きたいことがたくさんありますが、まずは拘束させていただきます」
そういって私は、聖魔法で王子を拘束した。
「おい!なぜ俺を拘束する」
「魔物狩りで魔物寄せを使うのは、ルール違反です。城に帰りしだい、私の父も交え会議になります」
その拘束したまま、王子を城に飛ばした。
「ムイさん、お疲れ様でした。今回もありがとうございました、また父から連絡がくると思います」
「あぁ、ノヴァは変に真面目だからな。わかった、またよろしくな」
ムイさんは、私の事情を知る数少ない人のうちの一人だ。お父さんと昔組んで、冒険者をやっていたそうでその縁で私の副業にもついてもらっている。
茶髪にグリーンの瞳で、筋肉マッチョな人だ。でも、結構世話好きだし面倒見もいいからすごいモテるのだが、二年前に亡くなった奥さん一筋で現在でも冒険者をしている。
「あ、ちゃんと怪我の治療しろよ。それから、ちゃんと休めよな。この前会った時より痩せてるだろ」
そう言ってムイさんは、手をふりながら転移で帰っていった。
「あ」
「あ、ではありません。さぁ、怪我の治療と闇魔法の解除をしましょう」
そういわれ、自分のことを改めて見てみると所々に傷や闇魔法を受けた時に肌に出る痣があった。
ん~これは確かにやばいか。
「とりあえず、お父さんに報告してからにして」
二人が、渋々頷いたのを見てまだ私の周囲を飛んでいたレイにお願いをする。
「レイ、お父さんに伝言を頼める?」
「よかろう、ノヴァに会うのも久しぶりだからな。今の状況を説明すればいいのだろう、さっき飛ばしたやつがしたことも含めて」
「うん、ありがとうレイ。また、ご褒美は期待しててね」
私の言葉に頷いてから、レイは空中で出て来た時と同じように消えていった。
レイの様な精霊と契約できる人は本当に少ないらしい。私の場合は、お母さんが異世界から来た人で元々そういう人って神たちから好かれているから、その娘の私も神たちから好かれているためか、神の祝福によって生まれたという精霊と契約できるのだ。
私達親子以外にも、私のお父さんみたいに契約はできなくても会話や精霊を見ることができる人が多くいるらしい。そして稀に、精霊に気に入られて契約ができる人もいるらしい。
「さぁ、私たちもかえっろか」
「「はい」」
そして帰った私達ですが、この後...。
「...えっと、なぜここに?」
「その怪我はなんだ」