副業2
ガシャ
ザシュ!
「おい!そっちに行ったぞ」
「はい!」
これは、どういうことなの?
「ミレイ様、これってあの王子の魔物狩りの付き添いのはずですよね?」
「さっきから、あの王子ではなくその王子の側近の魔物狩りに、私達が付き添っている感じになっているように感じるのですが」
「うん...私もそう思う」
私たちは今、あの噂の王子の付き添いで魔物狩りに来ているのだが...。
あの王子、しょっぱなから魔物を見つけては側近に報告して、側近が魔物を倒すという感じになっている。
一応、私たちは王子に注意をしたのだが...。
”女の指示なんぞいらん。俺は俺だけで魔物狩りをする。せいぜい、邪魔をしないでくれ”
との言葉をもらい、まったく話を聞いてくれないのだ。あの国王からよくこんな王子ができたもんだと思ったけど、母親の影響を存分に受けたようだ。
その母親であり王妃である方は、とても我が強くあの国王を尻に敷いているそうだ。その王妃は、元はその国の男爵令嬢だったそうだが、国王の一目惚れで娶ったため国王は王妃に強くでられないのだとか。
ま、その一目惚れも裏がありそうだけどね...。
「どうします?ミレイ様」
「とりあえず、危険なことがない限りは手を出さないでおこうか。あとで、国王と王妃に報告はするよ」
これで、今後魔物が大発生した際に召集されて実際の魔物狩りの時に困るのはあの王子自身だし。
さて、このまま何もなく時間が過ぎますように。
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私の願いもむなしく...というかフラグ回収?よくお母さんが言ってた言葉だ。懐かしいなぁ...。
「ミレイ様!現実逃避しないでください!」
ギイヤヤヤ!!
「あのバカ王子!やりやがったな!」
「ムイさん、これは!」
ムイさんは今回の魔物狩りの手伝いで来ていた冒険者と呼ばれる人だ。
魔物狩りの際は、その道のプロである冒険者を必ず付けることになっている。冒険者は、多くが平民だがある程度の実力があれば、教会で力を授かる儀式をすると力を授かることができるようになっている。
冒険者になる者は必ず受けるのだとか、神たちも一応は魔物を地上に残したことに罪悪感をもったのかある程度の実力さえあれば、力を授けてくれるのだ。
「魔物寄せを使いやがった!それで、あいつが来たんだ」
今、私達の前には特殊ランクの魔物グリーがいる。
グリーとは、ケルベロスのトラバージョンのような魔物でこいつのやっかいなところは、三つ首の内二つの首は炎を出すのだが、もう一つが闇魔法を放ってくるため。とても厄介だ。闇魔法といえど、色々な効果の魔法を出すのだ。目くらまし、あたりを暗闇で覆う、呪いをかけてくる。どれも本当に厄介だ。
「違う!こんなはずじゃ!」
「王子下がってください!事情は、城に帰ってからじっくり聞きます。レイ!」
私が叫ぶと、空中に水の玉ができてその中から水色の髪と瞳を持つ綺麗なシルクのような羽をもった精霊がでてきた。
「これは、凄いことになっているな。主人どういった状況だ?」
女性とも男性とも思えるような容姿に声を持つ綺麗な精霊だ。
「どうって言われても!」
ギャヤヤ!
グリーの攻撃を避けながら、レイに事情を説明しようとするがなんとも説明ができない状況だ。
「ふむ...魔物を呼び寄せたか。バカなまねをしたものだな」
「とりあえず、今はこの魔物をどうにかしないといけないのよっと」
ギャア
グリーに攻撃を与えつつも話をすると、いつもどうりの無表情で...。
「しかし、ミレイの相手ではないだろう。早く終わらせろ」
「そうなんだけど、簡単に終わらせるのもなぁと思って」
そんな感じで話していると、グリーに攻撃をしていたルイとランがこっちに来た。
凄い表情で...。
「なんでもいいので早く終わらせてください!」
「あの王子をコテンパンにするので」
「はい...。レイ、あたりの浄化をお願い。魔物寄せの効果も無効にしといて」
「わかった」
そういうと、レイは高く舞い上がりあたりに水色の光のシャワーを出す。
あたりから、魔物寄せの効果が消えたのかグリー以外にも来ていた小さな魔物たちが消えた。
「あとはこいつだけね」
私がグリーの正面に立つと、グリーも私を認識したのか私を威嚇しだした。
私は、自分が持っている剣に聖魔法をまとわせる。グリーを観察して分かったことだが、炎を放つ首は闇魔法を使う首を守っている場面が所々見られた。そのため、私は闇魔法を放つ首に狙いを定めた。
「ムイさん、援護をお願いします」
「分かった、あんまり無理すんなよ姫さん」
そういって、炎を出す首の興味を攻撃して自分に逸らしてくれるムイさんに感謝しつつ、走り出しグリーとの距離を詰めていく。
バァン!
「こっちだグリー!」
おおーー。さすが、ムイさん。私も頑張ろう。