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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第2章 サンハイト地方
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コマアール鉱山2

コマアール鉱山の後編です。

1匹倒し終わって一安心していたら、もう1匹現れた。「なんてこった。。。」


入り口までの距離は10メータ以上あるので、このまま引き下がれば襲ってくる気はないのかもしれない。

1匹は倒しているので、依頼は達成したことになると思うが、このままでは鉱山は開放されない。

もし、また依頼が出ても受ける人はいないだろう。


やむを得ないので、戦うことにしたが2人は既に精神的にもへとへとな感じなので、一人で戦うことにした。

「二人はさっきので大分疲れただろうから、あいつは俺一人で対応するからここで待っていてくれ。」

困惑していたが納得してもらい、杖を「山彦の杖」に変え、入り口を中心として弧を描くようにゆっくりとその場から動いた。


山彦の杖は、50%の確立で唱えた呪文を80%程の威力で再現する特殊効果付きの杖だ。

もっと威力を上げる杖もあるが、二人もいるのであまり強力なものを使うわけにもいかない。

熊はこちらを襲いそうな様子はなかったが、「挑発」を使い熊をおびき寄せた。


こちらに向かい走り出そうとしたところで、魔法スキルが35になったときに使えるようになった「サンダー」を

使ってみた。初めて使ったので距離感がうまくつかめず、熊の目の前に雷が落ち、ダメージを与えることが出来なかった。

だが、その雷に動きが完全に止まったので、もう一度サンダーを唱えた。


山彦効果も発動し、2発今度は命中してかなりダメージを与えることに成功し、しびれて動けなくなっていた。

毛皮を無視してダメージが入っているようなので、連続してサンダーを唱え、10回くらい使ったところで倒した。


ベースレベルが高いのでMPはそれなりにあるので何発も打てたが、ベースレベルも35くらいだったら

5,6発でMPが枯渇し、こんな戦い方にはならないだろう。それに山彦効果のおまけもあったし。

二人はこの様子を見ていて、唖然としていた。


熊を倒したことで、パーティメンバーにも経験値やアイテムを獲得したようだった。

今度は俺のアイテムボックスに、熊の毛皮が収まった。


二人に近づくとパワルドが関心しながら声をかけてくれた。

「兄貴、すごいっすね。さっきは大分苦戦したのに。。。」

「いや、魔法との相性がよかっただけだよ。念のため、他にいないか坑道を少し見てくるよ。」

そう言って、坑道の中にもう一度入った。


先ほど壁に立てかけた松明を手に取り、奥へと進むと少し行ったところに休憩所らしき部屋があった。

中に入ると、小さな80cm位の熊が2匹寝ていた。かわいそうだが、このまま放置していく訳にはいかない。

ただ、ちょっと可愛かったので頭を撫でてやると、目を覚ましこちらを見てきた。


慌てて後ろに飛び、「ごめんよ。」といい、ウインドカッターを唱えようとしたとき、「ピロリン」と音がし、

『切り裂き熊(子供)が召喚契約を結びたがっていますが、契約しますか?【はい】 【いいえ】』

と目の前にポップアップが表示された。

「え、召喚スキルは鍵マークがついて使えなかったけど、契約できるの?」

驚き思わず独り言が出てしまった。


心が痛まない第三の選択肢が出来たことにホッとしつつ、【はい】を選択しようとしていたとき、

もう1匹が目を覚まし、きょろきょろとこちらともう1匹を見ていた。

ポップアップの【はい】を選択すると目の前から消え、もう1匹のほうはびっくりして止まっていた。


ステータスを確認すると、召喚スキルの前にあった鍵マークは消えていたが、その中は「切り裂き熊(子供)」以外は、

全て鍵マークがついていた。そして驚いたのが、コストだった。なんと召喚コストは2だった。


ということは、召喚中も50分で1しか消費しない。「めちゃ安っ!」

召喚スキルは、召喚時にコストがかかり、召喚中は1分で召喚時の1%のコストがかかる。

つまり、100分で倍のコストになると言うことだ。


ゲーム内ではこのスキルは途中で実装された機能だったが、タイミングが悪くなかなか使わなかった。

というのも、スキルレベルに依存し、レベルが低い状態では強いモンスターと契約できない。

だからといって、既にある程度ベースレベルが高いのにわざわざ召喚契約のためにレベルの低い箇所に行かない。

そういう訳で、あまり使っていなかったスキルだった。


召喚スキルについて考えている間、もう1匹はおろおろしているだけだった。

「お前はどうする?」

言葉を理解してくれるとは思っていないが、もう1匹に問いかけてみた。


放置はできないので、契約できなければ倒していかなければならないが、可愛いのでできれば避けたい。

何かいい方法はないか考えて、先ほど契約した子を召喚してみたらどうか、試してみた。


先ほどの小熊を思い浮かべながら、「出でよ、切り裂き熊」と召喚してみたら出てきてくれた。

本来は名前を付けて、呼び出すのだが、急遽呼び出したのでそのまま呼んでみた。


先ほどまでおろおろしていた小熊はこちらへとぼとぼと向かってきた。ちょっと可愛い。

こちらに来たので頭を撫でてあげると、ようやく召喚契約の確認メッセージが現れたので、直ぐ契約した。


こちらもコストは2で、始めの子がオスで、次の子はメスだった。

適当すぎるが、オスに「熊太郎」、メスに「ベア子」と名付けた。

もう少し奥の方も見て回ったが、特に問題なかった。


きっと、切り裂き熊一家の根城で、2匹目の熊は子供を守るために入り口から威嚇していたのだろう。

熊たちにはちょっと悪いことをしたなと思いつつも、坑道を後にし、ギルドへと戻った。


ギルドに戻るとパワルドが直ぐに受付嬢のところへ行き、強い口調で抗議をした。

「切り裂き熊の討伐依頼で、鉱山には2匹の熊がいたがギルドの見解を聞かせてほしい。」

「え、ちょっとお持ちください。」

受付嬢は困惑しながら、奥へと小走りで行った。


実は二人にも小熊2匹の件は話していない。討伐した訳ではないので、討伐カウントされていない。

ちょっと待っていると、50歳手前くらいの口ひげを生やしたおじさんが現れた。

「はじめまして。このギルドの責任者をしているエディクスだ。こちらへお越しいただきたい。」

彼は挨拶をすると別室に我々を案内した。


「こちらにかけてくれ。」

そこそこ大きめの応接室に案内され、ソファーに座るよう促されたので、俺、パワルド、ニャルマーの順で座った。

3人座ってもまだゆったりしている、大きめのソファーだった。


「この度は、しばらく放置されていた依頼を遂行してくれてありがとう。で、熊を2匹討伐したとのことだが、

我々の把握していたのは1匹だった。すまない。」

深々とエディクスさんに頭を下げられ、パワルドも溜飲を下げたようだ。


「それで、今回の報酬のほうは?」

「それについては、依頼主と協議をして決めたいので少々時間をいただきたい。」

ニャルマーが報酬について確認すると、予測していたかのようにエディクスさんが動揺することなく答えた。


俺がどの程度必要かと確認すると

「明日依頼主と話をするので、明後日の朝にもう一度来ていただければ報酬について話せると思う。

なるべくそちらの気持ちを伝え、善処する。」

こちらから報酬を2倍ほしいとは言っていないが、長年の経験でこちらが何を言いたいか分かっているのだろう。

現状これ以上のことは出来ないので、「よろしくお願いします。」とだけ伝え、席を立った。



報酬の件は明後日にならないと決まらないみたいなので、

次回はヒワディーア山へハイキングに行ってきます。

お楽しみに。


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