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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第3章 ゴエアール地方
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ヘイズフィルド2 ~ ポスリメン討伐開始。ツルボウの暴走 ~

「ヘイズフィルドに着いたって言っても、何もいないな。」

「この辺は既に殲滅済みなんだろう。

多分あれが拠点だと思うけど行ってみるかい?」

サッチャンの指さす方向には、禍々しい雰囲気が漂う砦があった。


「ああ、行ってみよう。」

ここまで来て引き返すという選択肢は無いだろう。

少し先にある砦を目指した。


「どうやら結界があって入れなそうだ。」

先を歩いていたサッチャンは正面に見える砦の入口の前で立ち止まり、

振り返った。


「右も左も壁沿いを沿って先に進めそうだな。どうする兄貴?」

「立ち止まってても何だし、とりあえず右から行ってみようか。」

数分歩くと、大きな木の扉が見えてきた。


「片方少し開いているけど、入ってみるかい?」

先を歩いていたサッチャンが振り返って確認してきた。


「もう、ツルボウが入ってるけどな。」

パワルドが指さす先には、ツルボウが完全に開けた扉があった。


「はぁ。。。」

サッチャンは溜息を吐き、首を2,3度振ってツルボウの後を追い、

俺たちも砦の中に入った。


中は4,5メートルほど幅がある通路になっていて、

ツルボウは少し先にある扉を指さしていた。

付近の様子を探るためディテクトを使った。

「3体いるね。」

俺の言葉に皆頷き、ツルボウがそっと扉を開けた。


部屋に入ると3体のポスリメン茶が現れた。

と、同時にパワルド、サッチャン、ニャルマーがそれぞれに攻撃を仕掛けた。


パワルドは、氷塵纏爪を使ってから回転蹴を放つと2発でポスリメンを魔素に還し、

サッチャンも両手で握った剣で斬撃を何発も与え、すぐに倒してしまった。


ニャルマーは相手の攻撃を躱しながら戦っているので、

2人に比べると時間かかっているが問題なく倒した。


「ッチ、我楽多だな。」

2パンで倒したパワルドは、ニャルマーが戦っているが問題ないと判断し、

奥に落ちていた物を拾い上げ確認すると、ポイっと投げ捨てた。


「既に多くの冒険者が荒らした後だから、流石に良いものは落ちてないだろ。」

「確かにそうだな。」

周囲の我楽多を遠目に見ていたサッチャンの意見にパワルドは納得し、

部屋の入口にいた俺とツルボウの所まで戻ってきた。


「俺の出る幕は無かったね。」

「この程度なら全く問題ないな。」

「ツルボウも気にしなくていいぞ、って気にしてないか。」

サッチャンは何事もなかったかのようにシレっとしているツルボウを見た。


「アタシが一番遅かったね。」

「でも、俺には余裕に見えたけどな。」

「アタシは2倍攻撃できるから、その分早かっただけ。問題ないよ。」

「必要あればパワーアップ掛けようか?」

「苦戦している訳じゃないけど、数が多いときは早く倒したいからお願いするね。」

「ああ構わないよ、ってツルボウは?」

ツルボウは部屋から出て1人通路を歩いていた。


「ねぇ、大丈夫なの?」

「いつもの事だ。罠とか敵の凡その位置が分かって、

危険だと思えは止まるから問題は無い。」

ニャルマーの疑問にサッチャンはあっけらかんと答えた。


スタスタと先に行ってしまったツルボウを追いかけると、

突然立ち止まり扉の前で指をさした。

「2体いるね。」

「じゃあ、俺が行く。」

「それじゃ、順番にしよう。アタシは後でいいからニャルマー先良いよ。」

「ありがとう、次よろしくね。」

ディテクトで把握した数を言うと、3人で戦う順番を決めてしまった。

既に俺とツルボウは蚊帳の外になっている。。。


パワルドがそっと扉を開けて中に入り、続けてニャルマーが入った。

ワンテンポ遅れて3人で中に入ったが、まだポスリメンは現れていなかった。


パワルドは警戒しながら奥へ進むと、ようやく2体のポスリメンが襲ってきて、

1体目を右拳で左の方へ殴り飛ばし、2体目を正面から蹴り飛ばした。

更に1体目に氷塵纏爪を使い、あっさりと1体を魔素へ還してしまった。


そして奥へ飛ばされたポスリメンにニャルマーが斬撃を加える。

ポスリメンも反撃してくるが、見切ったように躱して斬撃を放つ。

パワルドより時間はかかったが、無事魔素へと還した。


「パワルドのパワーには惚れ惚れするよ。」

パワルドを出迎えるようにサッチャンは前へ出て、

「そうかぁ。」と後頭部を掻いて照れくさそうに答えていた。


『ガシャーン』

ビックリして音のした方を見ると、ツルボウが大盾を落としていた。

「大丈夫~?」

小走りで戻ってきたニャルマーが心配すると、ツルボウは慌てて拾い上げて

部屋を出ていってしまった。

よく分からん奴だ。。。


通路に出るとツルボウはまた別の扉の前で指さしていた。

こちらをチラリと見ては直ぐに扉を黙って見ている。


「また2体だね。」

「よし、アタシとパワルドの番だ!」

ディテクトで把握した数を教えると、

サッチャンは勢い良く扉を開けて中に入り、

パワルドも「よし。」と気合を入れてサッチャンの後を小走りで追いかけ、

部屋に入っていく2人の姿を見てツルボウは俯いてしまった。


「にゃるほどねぇ~。」

ニャルマーが俺の横でニヤニヤしながら立ち止まった。


「サッチャンとツルボウの関係は知らないけど、

見なかった事にするのが良いんじゃない?」

「確かに、そうだよねぇ。」

と言いながら小走りで部屋へ向かい、ツルボウの肩をポンと叩いて入っていった。

はぁ、本当に分かっているのやら。。。


「ほら、ツルボウも中に入ろうよ。」

扉の前に立ち動かないツルボウに声を掛け、一緒に部屋の中に入った。


といっても既にポスリメンは魔素に還っており、

入った時にはパワルドとサッチャンが

ハイタッチしているタイミングだった。

ツルボウはしょんぼりしながら次にポスリメンがいる部屋へ行ってしまった。



「何か変だな。」

ディテクトに引っ掛かるポスリメンを手当たり次第にツルボウは見つけ、

既に十か所以上の部屋でポスリメンを倒し、パワルドが疑問を口にした。


「何がだい?」

隣で腕を組みニャルマーとサッチャンがポスリメンを倒しているのを

見ながら何か感じたパワルドに確認した。


「ポスリメン達はいきなり襲ってこない気がするんだよな。

ほら、通路でポスリメンと遭遇してないし、

ポスリメンのテリトリーに入ったから出てきてるように感じるんだな。」

「言われてみればそうだね。」

「それに遭遇してもほとんどが2体で、

たまに3体とか遭遇しても少ない気がするし、

俺たち以外の冒険者も見かけない。変な気がするのは俺だけかな。」

「ああ、それはアタシも思ってる。」

ポスリメンを倒して双剣を鞘に収めながらサッチャンが近づいてきた。


「変な所に来ちゃってる、って事じゃないよね?」

「ツルボウが先に進んでいる以上、大事にはならないと思うが。」

ニャルマーの疑問に、サッチャンはツルボウの危機回避能力に

絶大な信頼を寄せた。


「じゃあ、次へ行くかな。」

パワルドは次の部屋に向かうツルボウの後ろ姿を指さした。


「あ、ああ、そうしよう。」

日頃ツルボウと一緒にいるサッチャンは申し訳なさそうに次の部屋を目指した。


そしてしばらくポスリメンを倒していると、上に行く階段があった。


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