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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第3章 ゴエアール地方
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落とす玉イベント9 ~ 辺竹凛と転移陣、あの時のあれは、 ~

今日は祝日なので、特別に先行リリースします。

次回リリースは12月1日の予定です。

「色々お願いしているし、あなた達にはお伝えした方が確かに良いわね。

ただ、あなたのパーティ内だけに留めて頂くことが条件だわ。」

「分かりました。」

パワルドとシンズさんに目配せした上で、シンメイさんの条件を飲んだ。


「恐らく別の場所に転移しているわ。」

「他の場所とは、いったい・・・」

驚きで沈黙の時が少し流れ、シンズさんがボソリと聞き返した。


「ポスリメンの拠点に、転移陣があったんだ。」

「だったら、それを辿れば場所は分かるんじゃないかの?」

シンメイさんの代わりに答えたメセーナさんは、

シンズさんの指摘に首を横に振って詳細を話始めた。


「見つけた時には、転移陣は粉々に砕かれていたよ。

復元を行ったが発動式と座標軸が消された上に、

他も一部適当に書き換えられている状態で、

残念ながら場所を特定する事はできなかった。」

かじられリンゴの時にパワルドと一緒に見たアレの事かと思いながら隣を見ると、

同じことを考えていたのか視線が合い、その奥のシンズさんはガッカリしていた。


「あ、ひょっとして俺たちがスパイティフ達に襲われて直ぐに駆けつけてくれた時、

何か調査しているっておっしゃってたのはこれの事ですか?」

「ああ、そんな事もあったね。本当にあの時復元に手こずっていて良かったよ。」

「あの時、ウェデンさんと別にもう一人いましたけど、最近見かけないですね。」

「セリモアスの事かい。彼は少しだが魔法陣の分析ができるからバトマへ行っている。

あっちにも同じように転移陣がある可能性が高いからな。」

未だ見かけないという事は、まだバトマにいるんだろうか。


「なぁ、何で転移陣で逃げれたのにモブスタ達は

わざわざ歩いてバトマに向かっていたんだ?」

パワルドは辺竹達と出くわしたことを疑問に感じていた。


「それはさっき、メセーナさんが言っていた通り、粉々に壊されていたからだろ。

・・・いや、待てよ。

壊されていたんじゃなくて、自分たちで改変して壊したのか。」

「はぁ?何で?」

「もし、辺竹凛やモブスタ達が普通に転移して逃げのなら、転移陣は使えるままだ。

そうであれば、冒険者はカサーナから転移して乗り込む事も可能だったはずさ。

もちろん、転移先に罠を仕掛けるとか対処方法はあっただろうが、

奴らは場所が特定されることを嫌がったのかもしれないね。」

「兄貴の言っている事は一理あるな。って事は、あの時いた中の誰かが

転移陣を書き換える能力があるって事になるな。」

「辺竹にその能力があって、他にいたのは護衛だったんじゃないんですかね?」

答えを求めるべく、シンメイさんとメセーナさんに視線を向けた。


「はぁ。概ね合っているわ。既に辺竹はケービヨンの方へ逃げた様だから、

バトマにあるかもしれない転移陣も破壊されてるかもしれないわね。」

「とは言え、セリモアスにはバトマで何か情報が掴めるかもしれないから、

暫くはいてもらう予定だがね。」

辺竹の事までは話すつもりは無かったシンメイさんから溜息混じりに正解を貰い、

カサーナに来てからのポスリメンの件が、何となく線で繋がった様な気がした。


「残務があるからそろそろ戻りたいのだけれど、

他に聞きたいことは大丈夫かしら。」

残務云々というよりは、これ以上根掘り葉掘り聞かれたくないというのが

本音っぽい気がするが、パワルドもシンズさんも

特にこれ以上確認することがなさそうなので、

「大丈夫なので、あとは結論を明後日の夕方までにお返事します。」

と答え、打合せは終了した。



【1月5日】

年が明けて全員が初めて揃い、年始の挨拶をして千日の塔へ向かい始めた。

本来であれば道中はお土産話で盛り上がるのだろうが、

限られた時間の中で昨日の件を伝えなければならないため、

前列がパワルドとニャルマー、次がシンズさん達、

後列に俺とカスミ、アビナという変則的な隊列で歩き始めた。


シンズさんがニイタツとセイヤンに話をする事は問題は無かったのだが、

パワルドは上手く説明できる自信がないということで、

察しの良いニャルマーを選択した。

俺も上手く説明できる自信はないけどね。


「で、話しておきたい内容って何なの?」

俺の右側を歩いているカスミが尋ねてきた。

「昨日ギルマスのシンメイさんとメセーナさんに呼ばれてね。

これから話することは口外無用で頼むよ。」

両隣のカスミとアビナは、静かに頷いた。


「ポスリメンの件なんだけど分かりやすく話すため、時系列に沿って話すね。

まず、ポスリメン達が人攫いをしていたのは、

幼馴染のキリヤ君の事があるから知ってるよね。

で、その人たちなんだけどポスリメンの拠点に転移陣があってどこかに

飛ばされたらしいんだ。」

「ねぇ、飛ばされたってどこに?」

アビナは鬼気迫る表情で腕を掴んできた。


「キリヤ君の件があるから必死な気持ちは理解できるし、

シンズさんもシンメイさんに問い詰めてくれていたよ。

ただ、ポスリメン達が窮地に陥ると主要な人たちを転移させ、

情報が俺たちに渡らないよう辺竹凛が魔法陣から発動式と転移先の座標軸を

消して粉々に打ち砕いたんだ。

そして俺たちは、転移する事が出来ない辺竹とその護衛のモブスタ達と

偶然出くわしてしまったんだ。」

「そんなぁ・・・」

「あの時、もっと・・・」

転移先が分からない事に対するアビナの失望感と、

辺竹という手がかりが直ぐ近くに有ったのに

自分の力が及ばず逃がしてしまった事に対するカスミの悔しさが伝わってきた。


「ポスリメンを殲滅した後、メセーナさん達が粉々になっている魔法陣を見つけ、

何日も掛けて修復を試みて、俺たちがスパイティフに襲われたあの日も

その作業にあたっていたからこそ、直ぐに駆けつけれた訳だ。

ただ、復元した結果はさっきも話した通り

何も情報を得ることができなかったみたいだね。」

「結果はどうあれ、メセーナさんたちには感謝しかないよ。」

「カスミと同じで、私もあの時助けてくれたこと、

調査のために時間を割いてくれたこと、二重で感謝してる。」

二人ともメセーナさんたちに感謝していた。


「辺竹は俺たちから逃れた後バトマに入り、更にケービヨンへと逃げ、

ギルド本部のストーレンスは冒険者の多くを連れ後を追ってしまい、

現状のバトマではポスリメンが減った一方で冒険者も減ってしまった影響で、

戦況は良いとは言えない状況みたいなんだよ。

そこで、俺とパワルド、可能ならばニャルマーに応援に行ってほしいというのが、

シンメイさんからの依頼なんだ。」

「何で3人だけなの。私たちも連れてってくれるよね?」

カスミは俺の腕を掴み懇願してきた。


「私も行く。」

普段とは異なり強い口調でアビナは宣言したが、俺はゆっくりと首を横に振った。


「どうして・・・。」

カスミは俺の腕から手を放し、気を落とした弱弱しい声で理由を尋ねてきた。


「2人の気持ちは痛いほど分かるよ。

ただ、バトマにいるポスリメンは、ここにいたポスリメン赤よりも強くて

最低でも1人でそれを2、3体倒せるようじゃないと向こうでは

役に立たないというのがギルドの判断なんだ。

パワルドとニャルマーの実力でも向こうではギリギリの状態になるだろうから、

自分の身は自分で守ってもらわなければならない。

でもそれは、悪いけど二人には厳しいだろうし、

そんな危険を冒してほしくないんだよ。

ここは俺たちに任せてもらえないかい?」

「確かに1対1でも倒せるか微妙だし、

バトマに行って皆の足手まといになるもの嫌なんだけど、ううん・・・」

頭ではアビナも理解できているが、気持ちが追いついていないみたいで

腕を組んで唸り、同じタイミングで前列にいるニイタツも両手の拳を握り締め

「んんん」と唸っていた。

後で聞いたが、ごねているニイタツをシンズさんがバトマに行くには

実力が足らないと厳しい口調で明言され、悔しかったようだ。


「ニャルねーちゃんも行っちゃうのかなぁ・・・」

前方でパワルドと話をしているニャルマーを見ながらカスミは小さく呟いた。


「俺とパワルドはバトマに行くのは確実だけど、ニャルマーは今話を聞いて、

自分で行くべきかどうかを決めると思うよ。

まぁ寂しくはなるけど、シンズさんは残って今まで通り見てくれるって

言ってくれてるからさ。」

「ニャルねーちゃんがどんな選択をしても支持する。

そしてシンズさんの下で、レベルを上げて絶対に追いつく。」

アビナは強く決意を口にした。

「私もどんな結論が出ても、ニャルねーちゃんを応援するよ。」


カスミとアビナが納得してくれてよかったと思いつつ、

先頭でパワルドの説明を聞いているニャルマーを見た。


彼女はどんな選択をするのだろうか。。。



カサーナでのフラグを一気に回収してみました。

分かりにくい部分もあるかと思うので、

カスミ達に説明する形で時系列に沿って再度説明を加えました。

過去の話も読み返してもらえると嬉しいです。(*^▽^*)

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