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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第3章 ゴエアール地方
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落とす玉イベント5 ~ 雪掻きのお手伝いと酷い筋肉痛・・・ ~

最終的に30人程集まり、ウェデンさんが話し始めた。

「今日は有志に参加してくれた事に対し、まずはお礼伝えたい。

ありがとう。昨日進めた所までまずは馬車で移動し、

道中ウチのスタッフから内容を説明する。適当に分かれて乗ってくれ。」


俺たちはカスミとアビナを除く6人だが、

全員が1台に乗れずニイタツとセイヤンが

別の馬車に乗り、4:2で分かれて行くことになった。


馬車が動き始めると、以前一緒したことがあるギルドスタッフの

ラブラダルさんが説明を始めた。

 ・ギルドスタッフが馬車が通るために必要な幅の目安となる両端を除雪

 ・有志は馬車馬が走る両端の間を除雪

 ・サイポークからも除雪をしているので、中間付近で終わる予定

要約するとこんな感じだ。


昨日除雪済みの街道を馬車に乗り進んでいるので、

最終形はイメージしやすい。

ざっと2メーター幅で除雪すれば良いということだろう。


20分程進み馬車から降りると、ここから先は轍の様に

ギルドスタッフが除雪した2本の目安となる幅のラインができていた。


以前カサーナに来た時、サイポークから南コアゼン川まで2時間で、

休憩を挟んでそこから3時間でカサーナに到着したことを思い出し、

大凡の進捗率を計算した。


トータル5時間でサイポークと折半するのであれば、

2時間半すなわち150分でしょ。


今20分程走ったってことは150分のうち20分は終わってるって事だから、

20/150で約分すると2/15。

ってことは1/7.5だから、あと7.5倍必要という事か。


でもサイポークにはギルドが無いから、南コアゼン川までとなると、

20分の3倍が1時間で、南コアゼン川まで3時間だから、

3×3で9倍必要ってことだ。

んん、大変なことは分かったけど、もう考えるのは止めよ。


「先の方まで行ってやろうぜ。」

運び込まれたスコップを手にすると、

パワルドが前方を指さしながら誘ってきた。


手前から除雪を開始している人達を避けながら、

多くの人が轍に沿って歩き始めている。


ニイタツとセイヤンも合流して、それに倣うように先へと進み、

人が疎らになったところで、間隔を開けてスタートした。

ちなみに皆には内緒だが、パワーアップを掛けて作業に当たっている。


手前で作業が終わった人が先へ進むため俺たちの前を通っていき、

俺たちも終わるとまだ除雪していない道の先へ進み、また雪掻きを行う。

途中休憩を挟みながら15時前まで繰り返した。


「3時過ぎにはここを出発するから、戻る準備をしてくれ。」

前方から戻りながらウェデンさんは作業に当たっている人に声を掛けていた。


「随分早く切り上げるんだなぁ。」

「時間的な部分を考えると、それだけ先へ進んでるってことだろ。」

近くで一緒にやっていたパワルドは、作業を止め腰に手を当て

腰のストレッチをしていた。


「まだ全然残ってるんだけどね。」

「今日1日で終わる量じゃないってことだろうな。それより早く戻ろうぜ。」

パワルドに促され他のメンバーと共に後方へ戻った。

後方では馬車が待っていて、ちょうど1台目の馬車が発車したタイミングで、

俺たちは2台目の馬車に乗るよう案内された。

直ぐに11人乗り込み、俺たちの乗る馬車もカサーナへ向けて出発した。


疲れのせいか、気付いたら既に陽が落ち少し暗くなったカサーナへ到着し、

揺れが収まった時であった。


「あ、悪い。」

隣のパワルドにもたれかかって寝ていたみたいなので謝った。

「別に構わねぇけど、大分疲れていたようだな。

それよりほら、俺の言った通りだったろ。」


日が落ちて昼間と夜の境目になっている夕空を指さした。

あの時『時間的な部分を考えると』と言っていたのは、

カサーナへ暗くなる前に戻るためには1時間半以上時間が必要だよね

という意味を今さらながら理解した。


先へ進めば進むほど戻る時間がかかってしまうのは当然で、

明日は行きだけでも1時間半取られてしまうのか。


馬車から降りた時に、ラブラダルさんから

「明日もよろしくお願いします。」

と笑顔で言われちゃったら断れないよね。。。


落とす玉のイベント中なんだけど、マーイーカ(~_~;)・・・



【12月28日】

7時半前に出発し昨日15時まで作業していた場所に着いたのは

9時15分頃だった。


昨日の帰りは時間を気にしていなかったが、2時間弱の所まで来ていて、

サイポークと折半ならあと少しで終わりそうだが、実際はどうだろうか。


予め目印として雪掻きされた2本の間を手分けして除雪していくが、

普段使わない筋肉を酷使しているせいで、腕、肩、腰が痛くなり始めている。


パワーアップを使い楽をしているのにこんな有様なのに、

いつも得物を振り回している他の冒険者は平然と作業している。


情けないなぁ。。。

これからは魔法ばっかり使っていないで、たまには体を動かそう。


そんな事を思いながらパワーアップをこっそりと使い、

一心不乱で作業にあたるのであった。


13時過ぎ、俺とパワルドは今いる場所での作業を終え、

新たに作業する先の方へ進んだ。

「あれは。」

道の先で雪掻きをしている2人が見えた。

「先に道を作ってくれていた2人だな、きっと。」

「サイポーク側と道が繋がって戻りながら作業してるって考えていいよね。」

「そう考えるのが妥当だろうな。という事は、あと少しだな。」

「よし、頑張ろう。」

人には言えないが限界が近づいてきている体に鞭打ち気合を入れた。


14時前に全て終え、約3時間を掛けてカサーナへ戻った。

ということは、コアゼン川近くまで作業したという事なんだろう。

明日から落とす玉イベントに戻れそうなので、取り敢えず良かった。



【12月29日】

痛い。

目覚めと同時に筋肉痛に襲われた。


ダメージを受けている訳ではないので、

残念な事にヒールは効かないんだよなぁ。。。


全く動けないという状況ではないので千日の塔へは行くけど、

今日は熊太郎たち召喚獣にお任せでいいよね。

方針を決めながら集合場所に到着した。


「おはよう。道が整備されてるね。」

千日の塔へ続く道は、1メートル幅で綺麗に雪掻きされていた。


「雪の上を歩いて行かなきゃいけないと思ってたから助かるよな。」

パワルド以外にも今いるニャルマー、ニイタツ、セイヤンも

雪の上をあることを覚悟してブーツで来ていた。


後で聞いた話によると、サイポークとシュメーイのそれぞれの街道を

冒険者たちが雪掻きしている間に、

残っていたカサーナの住民の方々が雪掻きをしてくれていたみたいだ。

カサーナの人、ありがとう。


「おはよう。」

「何か久しぶりな気がするね。サッチャン達とシュメーイ方面の

雪掻きしてたんだよね。」

少し後に来たカスミとアビナをニャルマーが出迎えた。


「うん。あ、今日サッチャン先輩たちイーグルビーへ向けて出発するって。

それで、皆によろしく伝えておいてって。」

「見送りに行かなくて良かったのかい?」

特にカスミはサッチャンと親しかったので、見送りに行った方が良い気がした。


「また会えるだろうから大丈夫。

それにちゃんとレベル上げするように言われちゃったし。」

「あれシンズさんだよなぁ。」


ニイタツが指さす先には杖を突き、ゆっくりと歩くシンズさんがいた。


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