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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第3章 ゴエアール地方
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かじられリンゴの逆襲6 ~ 参戦!アブレラ&タケリツ from ウォウヴェンハット ~

「おやおや、こんな所でウォウヴェンハットのリーダー様がどうしたんだかな。」

アゼールは嫌味っぽく橋の上に立つ2人に言い放った。


「アゼールったら随分冷たいよ。折角待ってたのに。」

男の方ではなく、140センチ程の女が背丈に見合わない立派な胸を

強調してウインクしながら答えた。


「アブレラ、それとタケリツ、お前ら2人だろ、まったく。」

「え~、何がぁ~」

アブレラのカマトトぶりに、一緒にいたタケリツも苦笑いするしかなかった。


「ったく、もう裏はとってあるんだよ。」

「おお、さすがアゼール!」

先ほどまでウェデンさんと話をしていたのはこの件で、アブレラは

両手を広げわざとらしくオーバーリアクションをとった。


カサーナで最も強いといわれているパーティのリーダーには

見えないなぁと思いながらその女を見ていると俺の前にやってきた。


「ねぇ君があの魔法を使ってたナオッチね。

あたしはウォウヴェンハットのリーターをやってるアブレラよ。

あの魔法を気に入ったよ。よろしくね。」

カスミ達が俺のことをナオッチと呼んでるのを聞いて、

それが俺の名前だと思っている様だったが、特に否定はせず、

天真爛漫にキラキラとした瞳で俺を見ながら差し出された手を握り返した。


「ああ、こちらこそよろしくな。」

アブレラは、「おお、心の友よぉ。」と叫びながら、

ブンブンと思い切りシェイクしてきて、パワルドは怖いものを見るような表情で、

それ以外はいつもの事のように爆笑していた。


「アブレラ、そんな事より早く話をして。」

「おっと、そうだった、そうだった。」

一緒にいたタケリツに話を促されて、アブレラは真面目な顔になった。


「アゼールが言ってた通り、あたし達からお願いしたんだよね。

君たちだけに負荷をかけるのは言い出しっぺとしてどうだろうと思って、

協力させてもらおうと思ってるんだけど、どうかな?」

「具体的には、4人の所を6人でローテーションさせて負荷を減らそうってことだ。

付け加えるとアブレラがどうしても近くで見たいって騒ぐしね。」

「うんうん、それが一番の、、ゴホン、まそういうことね。」

タケリツがアブレラの言葉に付け加えた。


アブレラの個人的な部分が大きいようにも思えたが、

『4人の所』という言葉にハテナマークだった。

「いや、ナオッチの代わりはいないから。」


アブレラが俺が疑問に思っている顔をしていることに気付き補足してきた。

「ま、そういうことだ。兄貴、我慢してくれ。」

パワルドは俺の肩の上にポンと手を乗せ、6人はローテーションすることになった。

「はぁ。」

「ま、これやるから頑張ってな。」

MP回復薬(特大)10個をくれた。

「こんなに良いのかい?」

「気にするなって。」

背は小さいが器は大きいようだった。



【12月8日】

7時少し前に湿地帯の入口に行くとメセーナさんが番をしており、

他の4人は既に来て準備を終えていた。

「これで特別グループは揃ったな。予想通り、君が最後だったな。」

メセーナさんの中で俺は遅くに来る人と認定されているらしいが、

事実だから仕方がないか。。。


「まだ7時前だし時間は有効にしないと。何となくだけど、数減ってます?」

「ピークは過ぎたかもしれないが、まだまだこの有様だからな。」

メセーナさんは遥か先までいるかじられリンゴを遠目に見た。


「そのために俺たちが来たんだから、少し早いがそろそろ行くか。」

「そうだぜ、兄貴。時間を有効活用するためにもババっとやっちまおうぜ。」

アゼールとパワルドが正面に向かって歩き始め、

その後をジャインとタイガンが笑いながら何かを話しながら付いていき、

俺は一旦伸びをして屈伸をして「ヨシッ」と気合を入れてから小走りで追いかけた。


「おーい、おはよう!」

俺たちに気付いたアブレラが、自分の持ち場を他のメンバーにブン投げて

手を振りながら走ってきた。

「あの人は、いつも好き勝手やなぁ。」

タイガンの率直な呟きに、4人は頷いた。


「ねぇねぇ、始めにあたしも行きたい。」

来るなりキラキラとした瞳で訴えられ、困りながらパワルドの方を見た。

「じゃあ、俺が外れるよ。」

「だったらバランス的に考えると、俺も次でいいからタケタツに入ってもらおう。」

パワルドに続きアゼールもアブレラへ気を使って外れ、

タケタツをアブレラのお目付け役として入れる。


「タケタツ~、一陣目に入れてくれるって。」

「分かった。代わりを頼む。」

アブレラが無理を言って入れてもらうことになれば、

必然的に自分も同行することをタケリツは覚悟していたようだった。


「俺がそこに入るよ。」

タケタツの代わりにパワルドが入った。


「じゃ俺はアブレラの場所をやるよ。」

「アゼール、頼んだぞ~」

アブレラの満面の笑みで手を振り、アゼールは苦笑いしながら

防衛ラインに加わった。


「ほなうちらはどないします?折角やし、アブレラ前衛やらへんか?」

「いいのか、あたしが前で。」

「おう、かめへんで、な。」

タイガンはジャインに話を振った。


「ああ、よろしく頼むよ。」

「それじゃ、俺はアブレラの後ろに入るよ。」

アブレラの位置が決まると、そのお目付け役と自覚している

タケリツが後衛に入ることになった。


「せやな、それでええんちゃうか。ほな、ワイはジャインの後衛でええわ。」

「分かった。それでいいぞ。」

特にどこでやるか拘りのなかったジャインと、

うまく話を回して比較的楽な後衛を勝ち取ったタイガンであった。


「それじゃ隊列も決まったことだし行くよ~。」

真正面に立ちマジックアップで魔力を高めてから、フレイムウェイブを唱えた。


「おお、まじかで見るとやっぱり凄いね。あたしもいいとこ見せちゃうよ~」

中央、左右と3発フレイムウェイブを見たアブレラは

宣言すると直ぐにその場から消えていた。


「あれ?あ、もうあんな所にいる。」

一瞬見失ったが、前方に目を向けると短剣を両手に装備し、

無駄な動きのない素早い攻撃で次々にかじられリンゴを倒している

アブレラを見つけた。


「あんなんでも、うちのパーティーでは一番のアタッカーなんでね。」

タケリツは誇らしげに言うと、驚いている俺の横を通り抜けていき、

同時にジャインとタイガンも負けずに戦闘を開始した。


ゆっくりと前方へ歩き始め、2時間を一区切りとした1陣目がスタートした。


ウォウヴェンハット(woven hat) 編まれた帽子。

笠幡カサーナの笠という字から、お地蔵さんが身に着けているような

竹で出来た笠をイメージしました。

笠を見方を変えて帽子として、竹で『編まれた帽子』なんてね。。。


アブレラはそのままumbrellaから、タケリツは笠の字を眺めながら思いつきました。


ちなみにリッジスターは小畔川(コアゼン川)の畔(ridge)。

以上、余談でした。


次回は8月4日アップ予定です。

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