かじられリンゴの逆襲5 ~ メセーナさんからのお願い、特別グループを結成してみた ~
日中暑いですね。
もう家でずっとエアコンをかけて過ごしてます。。。
通常は水曜日リリースですが、
4連休なので特別に1話リリースします。
楽しんで読んでもらえれば幸いです。
5分ほど休憩した後、俺たちは昨日と同じ持ち場へと向かった。
「巻き込んじゃって悪いな。」
目論見が外れ気を落としているジャインが俺に謝ってきた。
「結構倒して儲かったし、気にするなよ。」
「ありがとうな。」
ジャインは少し頭を下げると、自分の持ち場へ小走りで戻っていった。
そしてパワルドは腕を上にあげて伸ばしながら俺の横を歩いていた。
「どうだった、ヘトヘトだったみたいだけど。」
「少し横になったからもう問題ねぇぜ。ブリーディングエリアに
比べれば大した事ねぇよ。ただ、もう遠慮したいかな。ははは。
それより兄貴の方がずっと魔法を使ってて大変だったんじゃねぇか?」
「MP回復薬を多く使ったけど、それほど疲れてはいないよ。」
「あれだけ倒せば元は採れるよな。羨ましいぜ。」
「魔法レベルを50まで上げればフレイムウェイブを覚えられると
思うけど、どうだい?」
「う~ん、やっぱベースレベルを上げた方がいいよな。魔法は今じゃないかな。」
パワルドは一瞬悩んだが、一般的な考えに至ったようだ。
仮に魔法レベルが50になって覚えられたとしても
魔力が低いパワルドでは俺と同じ威力は出ないのだが。
「そっか、残念。ま、俺もそれでいいと思うよ。」
談笑しながらニイタツの横に入り討伐を再開した。
5人が戻ったことで戦列は昨日と同じ様に広がり、このまま終わりまで続けた。
【12月7日】
集合時間の少し前に着くと、メセーナさんとジャイン、タイガンが困った顔を
しながら話合っていた。
「なんか嫌な予感しかしないなぁ。。。」
面倒を避けたいがために、俺はできるだけ気配を消して人影に隠れていた。
「お、来よったで。おいあんちゃんこっち来てや。」
タイガンに気づかれてしまい、手招きしながら近づいてきた。
「あ、昨日はどうも。何かまたあったんですか?」
シレッとするのを諦めて今気付いたかのように返事した。
「ちょっとな。話はメセーナさんに聞いてや。
わてらはあんさんの考えに従いますわ。」
タイガンは話を丸投げしつつ、俺をメセーナさんのところまで同行した。
「今しがた2人には粗方伝えたんだが、昨日のアレを見たA班から
君たちに協力要請が来ている。昨日の討伐状況からギルドとしても、
特別グループを作り効率的に動いてもらって、
より多くを討伐してもらえるとうれしい。」
「だからと言って、俺たちが24時間フル回転するのは無理ですよ。」
「そんな事させるつもりはないから安心してくれ。
一応、7時から17時の間で昨日の様な動きを予定している。」
「日の出から日没までって感じですかね。」
「さすがにライトは奥まで届かないからね。あとはA班にいた乙女戦士たちは
B班に移ってもらい人的なバランスをとるよ。」
「やりたいことは分かりました。そしたら今いないアゼールとパワルドに
話をして問題なければそれで行きましょう。」
「ありがとう。それでこれは私からの個人的な差し入れだ。少しでも役立ててくれ。」
回復薬(大)を20個とMP回復薬(大)を5個受け取ったので、
MP回復薬は俺がもらい、回復薬は4人で5個ずつ分けることにした。
この時点で断り難くなってしまったのだが、問題ないだろう。
アゼールが来たので、事情を説明すると、
「メセーナさんのお願いを無下にはできないだろう。」
と引き受けてくれ、説明中に来たパワルドも耳を傾けて状況は飲み込めたみたいで、
「乗り掛かった舟だから仕方がないよな。」
と了承してくれた。
4人の了承を得たので、5人でメセーナさんのところに報告しに行った。
「メセーナさん、先ほどの件、この5人で対応します。」
「ありがとう。君たちなら期待に応えてくれると信じていたよ。
今日は8時に上がっていいから、よろしくな。で、今日はどうするんだい?」
「今日は、」
と言いながらパワルドとアゼールの方を見ると苦笑いしながら
首を横に振っていたので「ここでやります。」
と答え、ジャインとタイガンもうんうんと頷いていた。
「そっか。ま、それはそれで構わないよ。
明日からは適時君たちの判断で休息を取ってもらっていいから、よろしくな。」
今日も期待してたみたいだったメセーナさんの元を離れ、
ニャルマーたちに事情を説明すると「別にいいんじゃない」と意外と
あっけなく納得してもらえた。
途中で休憩を挿みつつも12時間続けて戦っていて疲れが出ているA班と
入れ替わった。状況としては若干減ってきているようにも思えるが、
まだまだ遥か先まで埋め尽くさんばかりにかじられリンゴがいる。
「それじゃ、まずは少し間引きますか。」
フレイムウェイブを数発唱え周辺を一掃した。
「兄貴、俺んとこも。」
「私の所もお願~い。」
「ぼくのところも~」
「わしの所もいいかのぉ?」
パワルドが頼んでくるとニャルマーにもお願いされ、カスミが遠くから手を上げて、
そして流れに乗ってシンズさんも依頼してきた。
「じゃ、順番にな。」
うちのパーティーで任されている場所を一掃すると、他のパーティーからも
ちょいちょいお手伝いを依頼されたので、対応してあげた。
「そろそろ区切りのいい所で引き揚げてください。」
8時になろうかといったタイミングで、乙女戦士のミナミが俺とパワルドの
代わりにとやってきた。
「もうそんな時間か。パワルドは大丈夫かい?」
「おう、OKだぞ。あとはよろしくな。」
「はい。」
パワルドが片手を上げるとミナミは元気よく返事し俺たちと入れ替わり、
ジャインたちの所にはナツミが入って戦列が徐々に萎みはじめたたが、
事前に共有してあるので、特に混乱は生じなかった。
自分の持ち場を自チームのメンバーへ早々に任せて入口で番をしている
ウェデンさんと話をしているアゼールの元へ4人で向かった。
「君たちもお疲れ様。」
ウェデンさんは話を中断し、俺たちに手を挙げ出迎えた。
「そんじゃ、さっさと戻って寝るかな。」
アゼールは首の後ろに両手を交差しながら歩き始めた。
「明日のためにゆっくりした方がいい。大変だと思うが、期待しているぞ。」
「おう任せといてや。ま、ワイがメインでやる訳ちゃうけどな。」
俺たちは先に行ってしまったアゼールを急ぎ足で追いかけ、
コアゼン川にかかる橋の手前で追いつくと、
橋の上には男と女がこっちを見て立っていた。
土日で来週アップ分を書かなくちゃ。
暑くて家にいるからきっと問題なし。
次回は7月28日リリース予定です。