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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第3章 ゴエアール地方
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かじられリンゴの逆襲1 ~ 青盛鋼で作られた盾だけもらえればいいかな、という考えは甘かった ~

かじられリンゴはヒワディーア山にも出没する

それほど強くないモンスターです。

似たようなモンスターでソレトロイドというのもいます。

詳しくは第10話「ヒワディーア山」をご参照ください。

【12月2日】

1ヶ月ぶりに訪れた宿営地は、まだ少ししかテントが張られておらず

準備真只中だったが、夕方には人数分組み上げ終わる予定だそうだ。


俺達は宿営地を通り抜け橋を渡り、ポスリメンが出没していたエリアへと進んだ。

前回で言うと茶のエリアに差し掛かったところでようやくかじられリンゴが現れた。


「ウインドカッター!」

唱えたのは俺ではなくパワルドだった。

うまく当てたが倒せず、一目散に逃げられた。


「クリビオーじゃないんだから、お前じゃ無理だろう。」

「どんな感じかちょっと試しただけだよ。打撃で倒すにはすばしっこいから面倒だな。」

「今度は俺がやってみても良いか。」


少し進んで現れたモンスターにウインドカッターを唱えると一撃で倒せた。

「さすがじゃの。」

シンズさん達は感心していたが、1人パワルドだけ悔しがっていた。

「ねぇねぇ、今度はボクがやっていい?」

カスミはショートソードを装備し、木陰に隠れていたモンスターを一撃で倒した。

「結構弱いね。これなら楽勝だよ。」

「みんなでやるより、1人1人でやった方が効率的だな。」

「そうだね。それじゃ別行動にしようか。明日も朝から別行動で良いよね。」

「この程度だったら、それでいいんじゃないか。

何かあればメッセージのやり取りすれば済むだろうしな。」

パワルドの考えとみんな同じだったようで、俺の案で進めることにした。


みんなと分かれてポスリメンの拠点を目指したのだが、

考えることは同じで結局ちょくちょく会う事になってしまった。

そして、残念ながらそれほど多くを見かけることなく、初日を早めに終えた。


【12月3日】

9時前に討伐へ向かうため橋を渡ると、メセーナさんが番をしていた。

「おはよう。君のパーティは随分前に出発してるが、調子が悪いのかい?」

挨拶をすると、メセーナさんは心配そうに俺の顔を見ていた。


「そういう訳ではないんですけどね。昨日それほど見かけなかったんで、

ゆっくりでも大丈夫かなと。」

「みんなの話だと昨日は少なかったみたいだね。

ただ、明日、明後日にかじられリンゴの大群が着くとブルーフォレストから連絡があったから、

昨日よりは増えてると思うよ。とは言ってもまだ今日までは前哨戦といったところかもな。」

「明日からが本番ですか。あまり混乱しなければ良いですね。それじゃ、行ってきます。」

「ああ、気をつけて。」

メセーナさんに見送られ、昨日と同様にポスリメンの拠点を目指し歩き始めた。


既に大半は出発しているようで、行き交う人はまばらだった。

昨日より増えていると言っていたが、逆に少ないように感じていた。


出発が昨日より遅かったため既にみんなが倒した後だからで、

大半は朝早くから頑張っているようだった。


俺は正直あまり儲からないし経験値も稼げないので、

最低限500匹倒して青盛鋼でつくられているというブルーフォレストの盾が

もらえればいいかなと思いながら、

時折出くわすかじられリンゴをウインドカッターで仕留めていった。


【12月4日】

メセーナさんが本格的に押し寄せてくるのは今日からだと言っていたので、

8時半と昨日より若干早く出発した。

メセーナさんにまた何か言われるのも嫌だからというのもあるのだが。。。


「おはよう。今日も遅いね。」

昨日より早く出ているのに、メセーナさんに会うなり笑顔で言われてしまった。

「昨日より早いとは思うんですけどねぇ。」

「ああ、確かに。でも、シンズさんはニイタツ君とセイヤン君を連れて1時間前に通ったし、

他も8時前には通ってたからさ。それに昨日遅く出た人も、

早く行かないと既に狩られた後になっちゃうって今日は早く出て行ったからね。」


言われてみれば、昨日より回りに人がいない。

「あはは、そうなんですね。それじゃ俺も早く行って頑張ってきます。」

メセーナさんから逃げるように小走りで出発した。

あまりやる気出ないんだよなぁ、儲からないし。。。


ポスリメン討伐の時で言うとブルーのエリアに差し掛かった辺りでかじられリンゴが

少しずつ出てくるようになった。

既に多くの人が倒していった後でも出てくるようになったので、確実に増えている。

見つけたかじられリンゴは、ウインドカッターで全て倒していった。

もちろん、全て一撃でいけている。


茶エリアに入り、そのままポスリメンの拠点だった場所を目指すのではなく、

人が行っていないと思われるモブスタと戦った場所の方へ向かった。

案の定こっちへ行った人はいないようで、次から次へと出てきた。

これならかなり倒せるので、経験値は微妙だが儲かりそうだ。


モブスタとラーセニーと戦った場所で、ウインドカッターでかじられリンゴを倒していく。

MP切れの心配は無かったが、次から次へと沸いてきて今日だけで100匹以上倒した。



【12月5日】

まだ薄暗い6時過ぎ、けたたましいサイレンで起こされた。


慌てて外に出ると、大量のかじられリンゴが押し寄せてきており、

既に向こう岸で番をしていたギルドスタッフをすり抜け、こちら側に入り込んできている。


早めに出発しようと既に起きていた人たちが、宿営地に入ってきてしまったかじられリンゴを倒し、

橋の上まで押し返していた。

幸いなことに橋を使わず南コアゼン川を突っ切ろうとはしないようだったが、

急いで準備し橋の防衛へと向かった。


橋の周辺はごった返しており、昨日までの雰囲気とは全く異なっており少し恐怖を感じた。

「おはよう、兄貴。」

ポンと肩を叩かれたので、振り返るとパワルドが戦闘準備万端でいた。

「ああパワルドか、おはよう。何かすげー事になってるね。」

「こっからが本番って感じだよな。俺も橋の向こうへ行ってくるよ。」

パワルドは鼻息を荒くしながら、橋へと向かった。


橋の上では冒険者とかじられリンゴが交錯しており、

一部の人が倒しながら向こう岸へ到達し戦闘していた。


向こう岸へと攻め出る人、これから向こう岸へ渡るために橋の上で戦闘している人、、

こちら側へ渡らせないように防衛している人と何となく役割分担ができていた。


シンズさん、ニイタツ、セイヤンは橋の上に留まり、こちらに渡らせないよう

かじられリンゴと戦闘しており、ニャルマー、カスミ、アビナの姿は見えなかったので、

精霊苺の剣を装備してシンズさん達の所へ加勢した。


「シンズさん、おはようございます。」

「なおと殿か。こりゃ大変なことになったのぉ。」

かじられリンゴを倒しながら挨拶し、ニイタツとセイヤンも戦闘しながら挨拶してくれた。


「まさかこんな事になるとは思いませんでしたよ。そう言えば、パワルドとさっき

会って向こうに行くって言ってましたけど、ほか見ました?」

「パワルド殿はつい今しがたバタバタ倒しながら行きましたな。

ニャルマー殿はかなり前に向こう岸に行ってますぞ。

カスミたちはまだ見てないかのぉ。」

「あいつらはいつも遅いから、きっとまだ来てねぇよ。」

ニイタツも見ていないようだったが、その言い方にシンズさんは苦笑いしていた。


「私も見てませんが、遅かれ早かれ討伐に参加するでしょう。

それより我々も早くここを片付けて向こう岸へと渡った方が良いかもしれませんね。」

セイヤンは必死に倒しながら、向こう岸を確認していた。


既に橋の上にいるのは僅かになったが、向こう岸はまだ大量に残っていた。

「ああ、確かに急いだ方がいいな。」

俺達は倒すペースを上げつつ、徐々に向こう岸へと近づいていった。


かじられリンゴの逆襲は数話続きます。

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