激烈!~ 乱鬼龍の剣と瞬連撃、そしてアビナの余計な一言 ~
まず俺は、熊太郎、ベア子、ムツキを召喚した。
「おやおや、面白いことをするねぇ。これを見れただけでも戻ってきた甲斐があったわ。」
「はは。まさかこれで数が4対4の五分になったとか言わないよな。」
ラーセニーとモブスタが余裕で見ている間に、3匹にパワーアップとディフェンスアップ、
スピードアップを掛けてやる。
「召喚獣にバフを掛けたところで、勝負になると思ってるのかしら。」
「熊太郎、ペア子、ムツキ、お前達はあの茶色いのを相手してくれ。」
3匹はポスリメン茶を目指して向かっていった。3対2なら何とかなるだろう。
そして俺は乱鬼龍の剣を装備した。
「おいおい、こいつら多才だなぁ。パワルドってやつも体術や斧術だけじゃなく魔法も使ってたけど、
今度は魔法だけじゃなく剣も使えるのかよ。まぁ大した事ねぇんだろ。あいつの魔法みたいに。」
モブスタは横になっているパワルドを親指で指した。
俺はモブスタの言葉を無視し、ラーセニーに対して瞬連撃を使った。
イメージした通り体が動き、すばやく4回切りつけラーセニーを瞬殺した。
「おいおい、どんなトリックだよ。」
「さぁな。お前にも種明かししてやるよ。」
モブスタに対しても瞬連撃を使い、一瞬で魔素へと還っていった。
ここまで威力があるとは自分でもびっくりした。
熊太郎たちは問題なくポスリメンと戦っているので、俺はパワルドの元へ駆け寄った。
「遅くなってすまなかったな。」
パワルドにヒールを掛けてあげ、ニャルマーたちのところに行った。
ニャルマーは木にもたれかかって休んでおり、その近くにアビナがうつ伏せになっていた。
アビナは相当ダメージを受けているようだったが、息はまだあったのでヒールを
すぐに掛けニャルマーの横に寝かせた。
カスミは茂みの中で倒れていた。
茂みが吹き飛ばされたカスミの衝撃を和らげてくれたお陰か意識は無いが軽症で済んでいた。
ヒールを掛け、カスミをパワルドのところまでお姫様抱っこで行き、横に寝かせた。
熊太郎たちがポスリメンを倒し終わって俺のところまで戻ってきた。
「ディテクト!」
この辺りにはポスリメンや他のモンスターはいなそうだった。
「モンスターはいないけど念のために、ムツキはここで待機して、何かあったら飛んできてくれ。
そして、熊太郎とベア子はこっちに付いてきて。」
ニャルマーのところまで戻り、アビナをお姫様抱っこした。
「熊太郎とベア子はニャルマーを見守ってて。」
熊太郎とベア子は「ラジャー!」と言わんばかりに手を額の方へあげた。
アビナをカスミの横に寝かせて、再度戻りニャルマーもお姫様抱っこした。
「熊太郎とベア子もおいで。」
それほど重くはなかったが、ニャルマーのくせに可愛い顔して気を失ってやがる。
「はぁ」と溜息をつきながら、今後は少しやさしくしてあげようと思った。
4人を1箇所にまとめ、熊太郎達を戻した。
20分位まったり待っていると、パワルドが意識を戻した。
「イテテテ、あれ、俺達は助かったのか?」
ヒールを掛けHPは回復しておいたが、肉体へのダメージは完全に回復していないようだった。
「モブスタは倒しといたよ。ほんと無理しやがって。痛そうだけど大丈夫かい?」
「ああ、なんとか大丈夫だけど、兄貴一人で倒したのか?」
「最終的にはそうだけど、パワルドのお陰だよ。」
「そっか。」
一瞬パワルドのテンションが下がった気がした。
「あれ、あたしどうしたんだっけ?」
パワルドと会話していると、次にアビナが目を覚ました。
「ラーセニーにやられたんだよ。」
「一瞬だったから分からなかった。でも皆無事そうで良かった。」
アビナはまだ意識の無い二人も息をしていることにホッとしていた。
「ニャルねーちゃん、カスミ。」
アビナは2人の肩を揺らしながら呼びかけた。
カスミは「ムニュムニュ」と寝言を言っていたが、ニャルマーは目を覚ました。
「あれ、ここは・・・?私達助かったのかな。」
「もうラーセニーもモブスタもいないよ。お前もほんと無茶するなぁ。」
「あはは。。。でもみんな助かって良かったよね。あ、そうだ、辺竹凜が近くにいたみたい。」
「えっ?」
「あ、私も近くで凛様がどうこう言ってるのが聞こえた。」
俺が驚いていると、アビナも耳をピクピクしながら教えてくれた。
パワルドの方を見ると首を振っていたので、俺と同じく聞こえていなかったのだろう。
「二人とも耳が良いんだね。」
「そりゃま、人族よりは。」
ニャルマーをちょっと照れていた。
「だったら、早くギルドに知らせた方がいいんじゃないか?」
「パワルドの言う通りだな。まだ早いけど一旦戻ろう。」
「カスミは俺が背負って行こうか?」
「パワっちはだめ。」
「え、なんで?」
「目つきがエロイから。なおっち、ニャルねーちゃん時みたいに負ぶってあげて。」
「え、私をここまで負ぶってくれたの?重くなかった?」
「全然大丈夫だったよ。」
「おっぱいが背中に当って嬉しそうだったしね。」
「アビナちゃん、余計なこと言うの止めようか。」
ニャルマーは顔を真っ赤にし片手で両胸を押さえつつ、俺に近づいてきて
「変、態ッ!」
と言いながら俺にビンタし、カスミを背負い歩き始めた。
やっぱりニャルマーには優しくしない。。。
「変態さん!」
頬を擦りながらニャルマーの後を追いかけていると、
横からパワルドがニヤニヤしながら俺の肩をポンと手を当てていった。
「うるせぇ、エロ目が!」
「ごめんなさい、ねぇ私の胸で泣いてく?」
俺の横に来たアビナがつついてきた。
「ジロリ」
ニャルマーが突然立ち止まって振り返り睨んできた。地獄耳に聞こえたようだ。
「アビナちゃん、もう余計なことは言わないで。。。」
宿営地に戻った俺達は、仮設のギルドに行った。
「どうしたんだ、ボロボロじゃないか。」
宿営地を任されているメセーナさんが飛んできた。
「ここだとアレなので、」
「あぁそうだな。ちょっとこっちへ来てくれ。」
俺達5人は別室へと通された。
「で、カスミちゃんは大丈夫なのか?」
「気を失っているだけで、多分大丈夫かと。」
ニャルマーはカスミを長ソファーに寝かせた。
「それで何でみんな、、、なおとさん以外ボロボロなんだい?」
俺達は立ったまま話を進めた。
「ポスリメン茶が出るエリアで出現率が下がってきたので、俺達は北の方に残っていないか
探索に行ったんだけど、そしたらポスリメン赤3匹とモブスタとラーセニーという人に襲われました。」
「モブスタとラーセニーは辺竹凛の直属の部下だよ。よく逃げてこれたな。」
「えっとぉ~、倒しました。」
「え?倒した?」
「ええ、まあ。」
「ポスリメン赤よりはるかに強いんだぞ?本当なのか?
まあ後でギルドカードのログを確認すれば分かるが。。。」
メセーナさんは俺の言っている事が信じられないようだった。
「兄貴、それともう1つ重要なことを。」
「重要なこと?」
メセーナさんは早く聞きたそうに俺を見つめてきた。