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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第3章 ゴエアール地方
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舌禍、口は災いの元 ~ 英傑の乙女戦士、そしてカスミとアビナ ~

【10月20日】

ここ数日で徐々に奥へと進み、昨日はポスリメンブラウンを何体か倒した。

レベル的には全く問題なかった。


ポスリメン黒の出現率は宿営地近くでは大幅に下がり、全体でも初日の半分程度になった感覚だ。

青はまだそれほど減っていないが、黒ゾーンを時短できた分より奥へと進められている。

今日は7時30分から宿営地のギルド前にて緊急の集会が開かれることになった。


「今朝は早くから集まってくれたこと、そして昨日の協力に感謝する。」

特設された台に乗ったメセーナさんが拡声器を持って挨拶し、緊急の集会が始まった。


昨日20時を過ぎても『英傑の乙女戦士』という女性6人のパーティーが帰って来ず、

宿営地総出で対応した。


ギルドスタッフも含め3/4がポスリメンのいる湿地帯まで行き、残りは宿営地の護衛を行い、

俺達はカサーナに来て日が浅いということで宿営地の護衛を任された。

「昨日の顛末をシェアするとともに、今後の遵守事項をお伝える。

まず昨日の顛末だが、英傑の乙女戦士のパーティは8時前に宿営地を出て、

14時過ぎにポスリメン赤が出現するエリアまで到達したとの事だ。」

ポスリメン赤のエリアと聞いて、一瞬周りがざわついた。そこまで辿り着けていないのだろう。


「15時には戻り始めたが、行きと同様ポスリメンが出現したため戻るのに時間がかかり、

宿営地に戻ったのは21時前になってしまったとの事だ。

特に大きな怪我はないが、ギルドとしてはペナルティとして

今後彼女達は黒と青のエリアだけに活動を制限することにした。

このようなことが二度と起きないよう、13時には戻り始めるようにし、

遅くとも18時には宿営地に戻ることを遵守すること。

早く奥に行くことが我々の目的ではなく、見回りポスリメンを少しでも減らすことだ。

目的を忘れないように。

今後、理由如何に関わらず同様のケースが発生した場合、カサーナへ戻ってもらうか、

活動範囲を制限させてもらう。以上だ。」


メセーナさんは言い終わると台から降り、特に周りからも異議は出なかった。

「俺たちは今までもそうしてたから問題は無いかな。

念のために17時半には帰れるよう徹底しよう。」

「そうだね。私らが迷惑掛けるとサンハイトの面子をつぶすことになるから気をつけようね。」

「サンハイトからの応援だからな。早く赤を倒したかったけど、兄貴達の言うと通りだ。」

緊急の集会が終わると、ほとんどがポスリメン討伐に出発したので、

俺達もいつもより早いが出発した。


湿地帯とを繋ぐ南コアゼン川の橋の手前で、20歳前後の女性が3人3人で両脇に立って、

「昨日はありがとうございました。」と頭を下げていた。


彼女達は動きやすいからなのか、それぞれ色違いのミニスカートを履いており、

どっかのアイドルかという格好だった。

俺たちが通る時にも、両サイドから「昨日はありがとうございました。」と言ってくれた。

「エエケツだな。」

「ああ。」

パワルドの小声に、つい相槌を打ってしまい、それをニャルマーの地獄耳に聞かれてしまった。

「変、態ッ!」

冷たい視線で俺達を見た後、少し早歩きでどんどんと進んで行ってしまった。

「お前のせいだからな。」

「兄貴だって、そう思ってたくせに。」

「うるせぇ。」

パワルドと一緒に、そそくさと先を歩くニャルマーまで小走りで追いかけた。


普段より早く出たことと、ニャルマーがイライラしてどんどん無言で先へ進んで

どんどん切り倒していったお陰で、茶も結構倒すことができた。

「ニャルマー、そろそろ13時になるから帰ろうか。」

ニャルマーもステータスで時間を確認し、「あ、そうだね。」といつもの調子に戻ってくれた。


戻り始めて30分位経ち、青と茶のエリアの境目くらいの場所で

女性の悲鳴が聞こえたので駆け寄った。

15,6歳位の男と女が青と茶のポスリメン15~20体位に囲まれ、戦っていた。

「ウインドカッター」

ポスリメン青に当たったものの倒すことができなかったが、パワルドとニャルマーも加勢し

1体ずつ倒してく。

パワルドとニャルマーにパワーアップとスピードアップをかけ、

ボロボロになっていた二人にはヒールをかけた。

男の子は剣術使いでニャルマーたちに混じり、もう一人の少女は弓兼ヒーラーで

俺の近くまで来て一礼し弓で攻撃を開始した。


5人で攻撃したのであっという間に片付いた。

「助かった。ありがとう。」

弓使いの少女は小さな声でお礼を言うと一礼し、パワルドたちにもお礼を言いにかけて行った。

ニャルマーやナナさん、シガンさんは猫系の獣人だが、この二人は犬系の獣人だった。

「助太刀ありがとうございました。お三方とても強いんですね。」

剣術の子は近くで見たらボーイッシュな女の子で、キラキラした目で俺達を見た。

「二人とももう大丈夫かい?」

「はい。もう大丈夫です。僕、カスミって言います。そしてこっちがアビナです。

あの、命の恩人のお三方の名前をお聞きしても。」


黒髪のボーイッシュな剣術使いがカスミで、

赤茶色の髪をポニーテールにしているのがアビナとの事だ。

「俺はなおと。このパーティーのリーダーだよ。一応確認だけど、二人とも女の子だよね。」

「はい、そうです。よく雰囲気とかで男の子に間違われますが。」

「ああ、この二人変態だから気をつけてね。」

「こらニャルマー、余計なこと吹き込むな!」

アビナはススーっとカスミの陰に隠れ、ニャルマーは「にゃはは。」と笑いながら自己紹介し、

パワルドが自己紹介するとアビナは完全にカスミの後ろに隠れてしまった。


「俺達これから宿営地に戻るけど一緒に行くかい?」

「すいません。よろしくお願いします。」

カスミが返事をすると、後ろからアビナが顔を少し出し下げてきた。

戻りもポスリメンはチョクチョク現れたが、5人で行くと早かった。

前衛がパワルド、ニャルマー、カスミの3人で、後衛が俺とアビナという形に自然となった。


そしてポスリメンがいないときには、ニャルマーが真ん中で、その隣にカスミ、端にアビナと

ニュルマーの余計な一言のせいで、俺とパワルドはなんと無しに避けられているようだった。


「ねぇ何で2人でポスリメン討伐に参加してるの?」

黒エリアに入り、出現率が下がってきたところでニャルマーがカスミにたずねた。

「僕とアビナの幼馴染のキリヤもポスリメンの被害者なんだ。

それでかたきを討つために参加したんだ。」

「でも二人だけじゃ危ないよ。」

ニャルマーが注意すると二人は反省し小さくなった。


「なぁニャルねーちゃん、僕達とバーティ組んでよ。」

突然のカスミの提案にニャルマーは困りながら俺の顔を見てきた。

「お前の好きにしてもらって構わないぞ。俺とパワルドだけでも何とかなるだろ。な。」

「まぁ時間的に奥には行けなくなるけど、余裕だな。」

「じゃあ、二人をパーティに入れる。」

「えっ?」

「だって、私の好きなようにしていいんでしょ?」

ニャルマー以外が驚いていると、ニャルマーはやったーという表情でニコニコしていた。


「いやいや、俺は良いけど二人ともそれでいいの?」

「なおっち、よろしくお願いします。」

カスミは俺に敬礼をしてきた。

「パワっちがエロい目で見てくるけど、我慢する。」

「パワっちだって。お前エロい目で見るなよ。かわいそうだろ~。」

「エロい目で見てねぇ。兄貴だってなおっちって言われて喜んでんじゃねぇ~!」

パワルドは現れたポスリメンに八つ当たりするかのように攻撃をした。


宿営地に戻り、仮設のギルドに行きパーティ編成の手続きを行った。

今までの報酬は一旦精算することになり3等分に分け、新たに0から討伐を開始することになった。


笠幡周辺に霞ヶ関とつく学校や銀行(武蔵野銀行霞ヶ関支店)などがあります。

東武東上線の霞ヶ関駅からは相当離れていますが。。。

カスミは霞ヶ関から、アビナは安比奈アイナからのネーミングです。


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