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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第2章 サンハイト地方
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クリビオー討伐 ~ エディクスさんの横暴、そしてナナさんシガンさんの出発 ~

【9月30日】

クリッピノさんの依頼を受けるため、受付しにギルドへ行った。

依頼の掲示板の前にいたクリッピノさんの周りには3人の冒険者がビラを貰い説明を聞いていた。

目が合ったので手を上げると、説明をしながら軽くお辞儀をしてくれた。


「昨日のインテンターの人たちや今聞いている人たちだけじゃなく、

もっと来てくれないとなかなか減らないよな。」

パワルドは説明を聞いている人たちが来てくれることを期待していた。


「ほんと、うちらだけじゃ無理だよね。でもリスクがあまり無くて魔法スキルのレベルが

上げられるのは大きいよ。今日も頑張ろうね。」

「私達は今日までしか参加できませんが、できる限り頑張ります!」

ニャルマーが笑顔でナナさんに振ると、ナナさんも笑顔で答えた。


「全部倒さなくても、10月5日に中和剤が届いて一掃できるようだよ。

ただ、ある程度減らしておかないといけないってクリッピノさんが言ってたな。」

クリッピノさんのクビがかかっていることは伏せといてあげた。


受付を済ませ、ヒワディーア山へ行くと、昨日会ったインテンターの人たちが

クリビオー狩りを始めようとしていた。

「おはよう!」

「おはよう。昨日はありがとうな。今日からうちらも参加させてもらうよ。

この辺一帯でやろうと思ってるけど、いいかな?」

「別にいいんじゃないですか、早い者勝ちで。俺達はもう少し上でやりますよ。」

インテンターの5人がここら辺でやるので、ナナさん達は昨日より少し上でやることになったが、

どこに行ってもクリビオーは沢山いるので問題ない。


ナナさんとシガンさんと分かれた3人は、昨日と同じ場所でやることにした。

昨日ずっと倒していたのに、あまり減っている感触がなく、辺りからは「ビオー、ビオー」と

クリビオーの鳴き声が響いている。

まずは自分のMPでウインドカッターを使い続け、MPが少なくなってきたところで

マンシャゲの花を使った。夕方終える頃には200本以上のマンシャゲの花を持っていた。


下山途中に冒険者達がクリビオー狩りをしているのをちょくちょく見かけることができたので、

きっと多くのビラを受け取ってもらいクリッピノさんも前みたいに

ニコニコしているだろうと思った。


5人で精算のためギルドに戻ると、依頼掲示板の前にクリッピノさんがいたのだが、

その前で7人の冒険者達が言い争いをしており、ギルマスのエディクスさんが止めに入っていた。

クリッピノさんはワタワタしていたが、関わると面倒そうなので急いで精算カウンターへ向かった。

「クリッピノさんごめん。」と心の中で謝罪しスルーした。


精算を終え出口に向かう途中で、エディクスさんが俺達を呼び止めた。

「ゴドロンパーティーの人達、ちょっとこっちにいいかな。」

俺達は「は~」っとため息を吐き、言い争いの現場に立ち会った。


ナナさんとシガンさんは正式には異なるのだが、「私達はこれで。」と言わずに一緒に来てくれた。

「エディクスさん、何ですか?」

エディクスさんを睨みつつ、いつもより若干低めの声で答えた。


「いやな、クリッピノさんが困ってるんで、皆の話を聞いてくれないか?

俺はちょっと用があるんで、後は頼むよ。」

俺達と目も合わさずに、言い終わると足早に自分の部屋へと行ってしまった。


「面倒押し付けて、自分は逃げやがったな。恨むぞチクショウ!」

と心の中で叫んだが、みんな同じ気分だろう。。。

「はぁ~、で、クリッピノさん、どうしたんだい?」

もうこうなってしまったら仕方がないので、大きくため息をつき現状を把握しようとした。


「実はお守りが4つしか残っていなくて。。。」

「だから、俺達4人が依頼を受けるって。」

「いやいや、あんたら後から来たんだから俺達が貰うべきだろ!」

始めに3人のパーティーが話を聞いていて、途中から4人のパーティーが

聞きに入ったようだった。


「4つしか残ってないんだから、2,2で分けるんじゃ駄目なのか?」

俺が言っている途中でクリッピノさんは首を横に振っており、

既にそれも言っているのだとすぐに悟った。


「何で後から来たこいつらと分けなきゃいけないんだよ。大体あんた何なんだよ。」

「うちらはそれでもいいけどな。」

3人パーティの方からは豪く睨んでくるし、4人パーティーの方はしてやったりな顔をしている。


俺は何も言い返せず、クリッピノさんはため息をついていた。

「クリッピノさん、私とシガンのお守りをお返しします。私達明日、グリナへ帰るので。」

2人からお守りを差し出されると、クリッピノさんは「ごめんなさい、ごめんなさい」と

小さな声で何度もお辞儀をしながら受け取り、3個ずつ互いのパーティーへ渡した。


先に話を聞いていたという3人パーティーの方は納得しすぐにその場から去ったが、

4人パーティーの方はあと1つ欲しいとまだクリッピノさんに頼み込んでいる。


さすがに俺達ももういいよなと思い、その場から立ち去ろうとしたら

クリッピノさんに腕を掴まれてしまった。

目をウルウルさせ「助けて」と小さな声で頼んできた。


「分かった、分かったから。俺のを返すから、もう放して。」

その場から早く抜け出したかったので、お守りをクリッピノさんに返した。


あまりマンシャゲのご利益は得ていなかったので特に問題は無いが、

エディクスさんに今度会ったらガツンと言ってやろうと思った。

クリッピノさんは「ありがとうございます、ありがとうございます」と言いながら、

何度も頭を下げてきた。


その場にいるのが嫌なので、足早にギルドの外へ出て、ため息を吐いた。

「兄貴、俺のお守り使うか?」

パワルドはお守りを差し出してきた。


「俺はもういいや。今あるマンシャゲの花も2人にやるよ。」

手持ちのマンシャゲの花を記念として10本残し、パワルドとニャルマーに半分ずつあげた。

「私達の分もどうぞ。」

俺が渡し終わった後、ナナさんとシガンさんもパワルドたちに余っている花を渡した。

「これだけあれば相当レベルが上がるな。」

「そうだね。みんな、ありがと。」

パワルドとニャルマーは受け取った大量の花をアイテムボックスへ仕舞った。


その後は明日出発予定のナナさんたちと食事をして過ごした。



【10月1日】

ギルドに行き受付をする前に、馬車の待合所に5人が集まった。

9時発のハノウ行きの馬車に乗りナナさんとシガンさんは、実家のグリナに向かう。

実家の果樹園を手伝うため、1ヶ月程冒険者稼業は休業するとの事だ。


「いろいろありがとうございました。」

「いやいや、こちらこそハイルートの件では助かったよ。精霊祭の時には無理させちゃったしね。」

「確かにあの時は大変でした。」

「また手伝いが終わったら冒険者に戻るんだろ。」

パワルドは腕を組みながらそっけないような感じで二人に問いかけた。

始めは獣人である2人と距離をとっていたが、最近では大分気を許しており、

普通に話せばいいのにと思っているのだが。。。


「落ち着いたら再開するので、また機会があったら一緒にやりましょう。」

「ああ。」

「そうだね。また一緒にやろうね。」

またも素っ気無いパワルドと少しウルウルしているニャルマーだった。


「姉ちゃん、そろそろ乗ろうか?」

「そうね。それでは、行きますね。またどこかでお会いしましょう。」

シガンさんに促され、ナナさん達は馬車に乗り込み、定刻になると馬車は出発した。


「あ~あ、行っちゃったね。」

「ニャルマーはナナさんたちと仲が良かったから寂しいよな。」

「うん。でもまたいずれ会えるだろうし。それよりクリッピノさんの依頼を受けに行こうか。」

ニャルマーは寂しさを紛らわすため、クリビオーを討伐に打ち込むことにしたようだ。

「俺はクリッピノさんの依頼は受けないけど、ギルドに行って何かいい依頼がないか探してみるよ。」


ギルドに入り、パワルドとニャルマーは受付へ向かい、俺は依頼掲示板へと向かった。

昨日まで掲示板の前にいたクリッピノさんは今日は居らず、掲示板を眺めていた。


特にやりたいなと思う依頼は無かったので今日はコマアールのダンジョンに行こうと思った時、

後ろから肩をチョンチョンされたので振り返ると、エディクスさんがいた。

「あ!エディクスさん、昨日は大変だったんですよ。」

「悪りぃ、悪りぃ!昨日は、ほんとすまんかった。必ず今度埋め合わせするから、許してくれな。な。」

手を合わせ拝むように俺に侘びを入れてきた。


「昨日の件でクリッピノさんの依頼が受けれなくなったんで大きな損害ですよ。

絶対埋め合わせしてくださいよ!」

「分かった、分かった、約束する。

まぁ昨日の状況はあの後クリッピノさんから聞いて分かってるから。

そうだ、クリッピノさんが事務所に来てくれって言ってたぞ。

何かお詫びにお前へ渡したいものがあるって。」

「で、事務所ってどこですか?」

「ヒワディーア山の管理事務所って場所知らないのか?」

「ええ、まあ。」

「まあ分かり難いちゃ、分かり難いわな。ヒワディーア山の入り口の少し手前に左へ抜ける

道があるから、それを2,300メータ進めば大きな家があるからそれが事務所だよ。

左に抜ける道に管理事務所入り口って標識も出てたかと思うんだがな。」

「分かりました。行ってみます。」

「それじゃ、また今度。必ず埋め合わせはするから。」

手を上げて自室へと戻っていった。


それと入れ替わるように受付を済ませたパワルドとニャルマーが戻ってきた。

「兄貴、エディクスさんに文句は言えたかい?」

「いや、あんまり。ただ今度埋め合わせしてくれるって。」

「ギルドマスターやってる人が言うんだから、約束は守ってくれるって。」

パワルドとニャルマーはエディクスさんとの会話について深くは聞いてこなかったが、

心配してくれていたようだ。

「あとクリッピノさんの事務所に行く用ができたから、ヒワディーア山の近くまで行くよ。

用事が済んだらコマアールのダンジョンに俺は行くから。また明日はここでいつもの時間に。」


クリッピノさんのお詫びの品が何か気になりつつ、

普段より遅い時間になったがヒワディーア山へと向かった。




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