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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第2章 サンハイト地方
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クリビオー討伐 ~ ウインドカッター打ち放題! ありがたきマンシャゲの花 ~

あけましておめでとうございます。

本年も頑張って投稿しますので、よろしくお願いします!

「これは何の案内なんだ?」

パワルドは腕を組みながら覗き込んだ。


「掲示板の前に栗みたいな人がいるでしょ。昨日、あれに捕まったんだよ。」

「ああ、あのニコニコして変な感じの。」

どうやらみんな知っているようだったので、話を続けた。


「昨日は泣きそうな雰囲気で、偶然目が合っちゃってこれをやることになったんだ。

あまり儲からない依頼だから、俺だけで何とかするよ。」

パワルドとニャルマーは「あ~あ」という顔をし、

ナナさんはもう関係ないという雰囲気をしていた。


シガンさんはそのビラを手に取り、少し考えた後、

「これはお金にはならないかもしれませんが、面白い依頼かもしれませんよ。」

と興味深げに言い、俺たちはきょとんとした。


「弓での攻撃は既にみんな対応可能だと思います。」

「ああ、そうだけどこの報酬じゃ弓矢代くらいにしかならねぇぞ。」

「確かにそうなのですが、この花を使えばウインドカッターを

暫くMP消費無しで使えるようになります。

もしこの花の効力が切れる前に、別の花を入手できればずっと使い続けることができます。」

「そうだけど、80匹倒してやっと宿代になる程度だぞ。」

シガンさんの説明を聞き、何が面白いのかさっぱり分からないパワルドだった。


「あぁなるほど。確かに儲からないけど、うまくすれば魔法スキル上げには良いね。

お金はこの間の精霊祭で潤沢にあるし、私も依頼をやろうかな。」

「私達も1日、2日で良いようだったら、やってみようか?」

「そうしよう。ねぇちゃん。」

ニャルマーが参加の方向で傾くと、ナナさん、シガンさんも

今日はクリッピノさんの依頼を受けることになった。


そして、俺はパワルドのほうを見た。

「あまり魔法スキルについては興味は無いけど、俺もやろうかな。」

「いや、儲からないし無理しなくていいぞ。」

「やります!やらせてください!」

今日はみんなで依頼を受けることになったので、ギルドの中に入り

昨日と同じように掲示板の前にいたクリッピノさんのところへ行った。


「クリッピノさん、おはよう。」

「あ、なおとさん、おはようなの。あら、こちらの方達は?」

きらきらと期待に満ちた目でパワルドたちを見つめていた。


「昨日の件を話したら、協力してくれるって。」

「わぁ、ありがとうなの。とっても嬉しいの。お礼に皆にこれをあげるの。」

昨日俺も貰ったクリッピノのお守りとマンシャゲの花10本を4人に配り始めた。


「あの私とシガンは1日か2日しか参加できないかもしれないのですが、

頂いて良いんでしょうか?」

「いいの、いいの。折角やってくれるんだから、全く問題ないの。」

不安そうなナナさんの顔に、クリッピノさんは満面の笑みで対応し、

ナナさんはアイテムを受け取った。


「なおとさんにも、紹介してくれたお礼なの。」

4人とは別に、俺にもマンシャゲの花を10本くれた。

「ありがとうございます。それじゃ受付を済ませたらヒワディーア山に向かいますね。」

「よろしくお願いするの。」

受付に向かう俺達に手を振り、見送ってくれた。


手続きを終えた後、ナナさんがハノウへ向かう馬車の予約をしたいとの事だったので

寄り道してからヒワディーア山に向かった。

「明日の予約は一杯だったので、明後日の馬車で帰ることにしました。」

「そしたら、明日も一緒にできるね。」

ナナさんたちの出発が1日遅れたことに、ニャルマーが喜んでいた。


魔法スキルをあげるいい機会なので、少しでも効率が上がるよう4人に修行の杖を貸してあげた。

「ヒワディーア山 入口」の看板より先に進むと、

ビオーと鳴く30cm位の栗のモンスターが現れた。

「こいつらだな。ウインドカッター」

俺の放ったウインドカッターは命中し、クリビオーは魔素へと還った。

「あれがクリビオーで間違えなさそうですね。それもかなりの数がいますね。」

「ああ、ナナさんの言う通りだな。これだったら分散しても問題ないと思うけど、兄貴どうする?」

「この辺一帯はナナさんとシガンさんに任せて、うちらはもう少し上に行ってみるか。」

「分かりました。では私は右側を、シガンは左側を対応します。」

今いる山路を境界として役割分担が決まった。


「それでお願いするね。それじゃ、俺達はもう少し登ろうか。」

パワルドとニャルマーを連れて、山路を進んでいった。

辺りからは「ビオー、ビオー」と大量の鳴き声が聞こえ、

見つけたクリビオーはパワルドとニャルマーが弓で対応している。

弓でも全く問題なく対処可能だ。


「ねぇ、なんで弓矢なの?」

「まだ本格的に開始したわけじゃないから、あの花を使うのは勿体無いかなと。」

俺が何気に聞くと、クリビオーに弓を放ちながらパワルドが答えてくれた。

「それじゃ、俺が試しに使ってみるかな。」

マンシャゲの花を使い、ステータスでMPを確認してからウインドカッターを使い、

再度確認するとMPは減っていなかった。

「ほんとにMP無しで使えてる。」


ちょっと感動しながらウインドカッターをバンバン唱え、

取りこぼしたものをパワルドとニャルマーが弓で対処してくれた。


ナナさんと分かれてから10分、15分位歩きながら、クリビオーを倒していった。

「ここら辺で分かれようか。パワルドはここから右側を、

ニャルマーは左側をやってくれ。俺はもう少し上でやるよ。」

二人は「分かりました」と言いながら、マンシャゲの花を使い

ウインドカッターでクリビオーを倒し始めた。


既にマンシャゲの効果は切れているが、

一人になってからもクリビオーをウインドカッターで倒していった。

MPは1800を超えているので350発以上打てるし、

自然回復分を考えると500発以上打つことが可能なのでMPが少なくなってきたら使おうと思う。


「もう、それにしても多いなぁ・・・」

山路を奥に進みながらもクリビオーを倒しているが、次から次へと現れる。

そしてマンシャゲの花もいくつもドロップしており、

これならパワルドたちもずっと使い続けることが可能だろう。


何人かの冒険者とすれ違ったが、クリビオーの相手をしている人は全く居ない。

クリビオーから攻撃をしてくることはないし、近づくとすぐ逃げるし、倒したとしても経験値は僅かだ。

これだけうじゃうじゃいても、依頼を受けていないのであればスルーするのは当然だろう。

ある程度パワルド達と離れた場所で、クリビオー狩りを続けた。


夕方までクリビオー狩りを行い、みんなで下山しギルドへ向かった。

「全然いなくならないね。」

「ずっとウインドカッターで倒してたから、魔法スキルのレベルも結構上がったよ。」

最初はやる気がなかったパワルドがニコニコしていた。


「私とシガンも参加させてもらえて、良かったです。明日も頑張ります。」

「うん。ガンバロー!」

一緒に行動するわけではないが、ナナさんたちともう一日クリビオー討伐に参加できるため、

少しテンションの高いニャルマーだった。


ギルドの近くまで来たとき、3人の男と2人の女のパーティーに声をかけられた。

「ちょっと聞きたいんだけど、君達ヒワディーアにいる栗のモンスターを狩っていたよね。

あの栗のモンスターに何かあるのかい?」


ウインドカッターでひたすらクリビオーを倒していた俺達を見て不思議に思ったらしく、

パーティーの中で一番がたいのいい男が俺に話しかけてきた。

「あの栗のモンスターはクリビオーって言うんだけど、

ギルドの依頼掲示板の前に栗みたいな人がいたでしょ。あの人の依頼なんだよ。」

「ああ、あのニコニコしていてちょっと変わった感じの。なるほど。

それと気になったんだけど、君達全員魔法を専門としているのかい?」

「それはクリッピノさん、あの栗の人に聞いてみるといいよ。

これからクリッピノさんの所に行くけど紹介しようか?」

「ちょっと興味があるからお願いするよ。」

互いの自己紹介をしながら、ギルドへと一緒に向かった。


ギルドに到着し依頼の掲示板の前に行くと、

ビラを持ったクリッピノさんが寂しそうに下を向きながら立っていた。

「クリッピノさん、戻ったよ。」

「おかえりなの。どうだったかなの?」

「結構倒したと思うけど全然減らなくて。また明日もやるよ。

それから彼らがクリッピノさんの話を聞きたいって。」

「ありがとうなの。今日も2枚しかビラを配れてなくて困ってたの。お礼にこれをあげるの。」

先ほどの暗い顔とは変わり、笑顔でマンシャゲの花を10本くれた。


既に150本近く持っているが「ありがとう、助かるよ。」と受け取り、精算処理をしに行った。

精算を終え依頼の掲示板の方を見ると、熱心に説明しているクリッピノさんと

先ほどの紹介したインテンターというパーティー名の5人が頷きながら聞いている様子が窺えた。

俺達は邪魔をしないよう宿へと向かった。


今年も毎週水曜日にアップします。

マンシャゲの花は、日高にある巾着田で有名な曼珠沙華まんじゅしゃげ

モチーフにしています。

9月中旬から10月上旬頃が見頃です。


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