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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第2章 サンハイト地方
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精霊祭への準備 ~ 「ムツキ」が誕生しました ~

『ドカッ、ドカッ!』腹を蹴られる感覚で目が覚めた。

卵の中の飛竜が殻を蹴り、それを抱えていた俺に衝撃が加わっていた。


俺は慌てて部屋の電気を付け、ベットの上に寝かせるように卵を置きその横に胡坐で座って、

どうなるかわくわくしながら眺めていた。

『ビシ、ビシ』時々卵は前後に動き、そして数箇所に皹が入った。

殻に皹が入る音くらいで、大きな音はしていない。


次第に点だった皹は段々繋がり、卵の一部に穴が開き始め、そしてついに飛竜が誕生した。

背丈は30cm位で、全体的に青い羽だが首の周りが1周白くなっている。

こちらと目が合うと首をかかげ、そしてトテトテと歩いて近づいてきて、

胡坐をかいている俺の足の上に載ってきた。


それほど重くはなく、頭を撫でてやり、ステータスを確認した。

消費MPは1のまま変わらず、名前は飛竜の卵から飛竜の子供に変わっていたので

「ムツキ」と名付けた。


スキルは体術、ブレス、補助スキルがあり、タックルと火炎ブレスを使えることが分かった。

今日からダンジョンでムツキもレベル上げをすることにして、一旦戻した。

殻は「飛竜の卵の殻」(素材)としてアイテムボックスに仕舞った。


ステータスのイベントのところに赤い!マークが付いていたので、

また採用の応募が来ているのではと思い開けてみると【採用(1)】となっていた。


-----------------------------------------------------------------------

・キュカータ (♂ 冒険者ランク:B 活動ギルド:ポンドバッグ)

 ちょっと遅くなってしまいましたが、まだ枠が空いているようでしたらお願いします。

 損はさせませんよ。

-----------------------------------------------------------------------


冒険者のランクも俺達よりずっと高く、『損はさせない』とはかなり自信があるのだろう。

ポンドバッグは中盤以降の街だったはずだ。

どんな人かは分からないが、チームに貢献してくれることを期待し採用した。


まだ朝まで時間があるので、もう一眠りしようと思ったが、

飛竜の誕生に気が高揚してしまい、なかなか寝付くことが出来ず朝を迎えた。


起きてイベントの掲示板を確認すると、キュカータさんのメッセージが書き込まれていたので返信した。

-----------------------------------------------------------------------

キュカータ>メンバー追加してくれてありがとう。面白いチーム編成だね。

      僕は吸血族だよ。と言っても、他の人を襲ったりしないから安心してね。

      普段、他の人と一緒に動くことが少ないから今から楽しみだよ。

なおと>よろしくお願いします。この8人で頑張りましょう。

----------------------------------------------------------------------


いろんな種族の人と知り合えて、面白いイベントになりそうだ。

メンバーを8人揃えることが出来たことにホッとしつつ、今日もいつも通りダンジョンへと向かった。

「おはよう」と声をかけると何故か皆の冷たい視線を感じたので、「どうかしたの?」と声をかけた。

「吸血族はやばくないっすか?」

「え、何で?」

パワルドが小さめの声でため息混じりに聞いてきたので、理由を聞き返した。


「種族値が最も高い部類に入ると言われている吸血族だぞ。何か有ったら、うちら一瞬で消されるぞ。」

「それじゃ、まさか抜けてもらうのがいいと思っているのか?」

「いや、止めてくれ。それこそイベント前に消される。。。」

パワルドは頭を抱えながら、首を振った。


「まぁまぁ、、吸血族の人はポンドバックでかなり遠いですし、

イベント限定のチームですから大丈夫ですよ。」

場の雰囲気が悪くなってきた所で、シガンさんがフォローを入れてくれた。

「ま、そうだよな。鬼人族も吸血族も会わないだろうから、大丈夫だよな。」

「あ、あの、ララさんとはケービヨンに行ったら会う約束して、フレンドになりました。」

パワルドは一瞬表情が戻ったが再び頭を抱え、ニャルマーは持っていた剣を落とした。


そしてシガンさんが俺に近づき小声で、

「吸血族ほどではないけど、鬼人族も結構やばいです。」

と、教えてくれた。

「何か有ったら俺が対処するから大丈夫だって。だからイベント頑張ろう!」

元気良く宣言すると、みんな取り敢えず頷き、メンバー編成の件は終わりにしてそれぞれダンジョンへ入った。


今日は3層へと来た。

熊太郎達にとっては余裕の場所であったが、ムツキを召喚しようと思っているからだ。

まずはいつも通り熊太郎とヘア子を召喚し、その後ムツキを召喚ると2匹の小熊たちは不思議そうに眺めている。

ムツキは先ほどの部屋とは違い、俺の背丈くらいの高さをパタパタと飛んでいる。

「今日から仲間に加わったムツキだ。で、こっちが熊太郎で、こっちがベア子。仲良くな。」

召喚獣たちに言葉が通じるか分からないが、それぞれを紹介した。


ムツキは熊太郎達の頭の上を飛び回り、熊太郎達は時折ジャンプして遊んでいた。

そんなことをしていたら、近くにヌヒョーンとベロンチョが現れた。

「ムツキ、火炎ブレス!」

ムツキのブレスはヌヒョーンとベロンチョに当たりダメージを与えていたが、倒せなかった。

「熊太郎、ベア子、行け!」

それぞれにタックルするとヌヒョーンとベロンチョは魔素へと還った。


念のためにムツキにスピードアップとディフェンスアップをかけ、同じ立ち回りでレベル上げを行った。

時折ノッペランが出たり、ブルースライムやレッドスライムの群れに襲われたが、

俺はバフをかけているだけで、3匹で十分対処可能だった。

ムツキがレベル4になったタイミングで4層へと降り、

レベルが5になったところで切上げギルドへ素材の売却に行った。

売却手続きが終わると、「明日午後から天気が荒れるので、午前中で引き上げるように」言われた。


【9月10日】

いつものようにダンジョン前へと行くと、ギルドの人が

「夕方から天気が荒れるので、午後からダンジョンを封鎖します。」

と大きな声で言って回っていた。


「今日は早めに切上げて、イベントのためにちょっと休もう。」

「2,3日天気が荒れるそうなので、イベントまでに収まればいいのですが。」

ナナさんが今日だけでなく暫く続くことを教えてくれた。


その後は、それぞれダンジョンへと入りレベル上げを行い、

午前中にダンジョンから出て部屋でゆっくりしていると、夕方から徐々に雨風が強くなってきた。

しばらく、ゆっくりすることになりそうだ。


【9月13日】

10日の夕方から今日の午前中までずっと天気は大荒れだった。

午後になり風はまだあるが雨が治まったので、

イベント前に少しでもムツキのレベルを上げるためダンジョンへ行った。


既にかなりの冒険者達が転送陣の前に並んでいた。

その中にパワルドを見つけたが、こちらには気付いていないようだった。

最後尾に並び暫く待っているとナナさんとシガンさんがやって来たので、

手を上げるとこちらに手を上げて返してくれた。


ニャルマーの姿は見えなかったが、俺の番になったので、転送陣からダンジョンへ入った。

6層で18時過ぎまでレベル上げを行い、ムツキのレベルが8になったので今日は切上げた。

10日の午前と今日の午後で実質1日だが、召喚獣同士の連携も良くなってきたので、

明日以降のイベントもこのやり方で行くことにした。



次回は、秋の精霊祭のお話です。

来週水曜日にアップ予定です。


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