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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第5章 コラフル地方
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ミズホベン へ ~ ミサカタとシュートク ~

エシュロン師範の道場へ一旦引き返した。


「ラジウェルの奴、勝手に話進めやがって。

ちょっと聞いてくるから待ってろ。」

師範は俺たちの説明を聞くと、飛び出していった。


「ラジウェル?」

「以前、この集落の長をしていた方の倅さんだが、

いつも独断専行で勝手な事をしやがる。」

師範と一緒に事情を聞いていたエコキヨが答える。


「ケービヨンへ戻れると思ったのに。。。」

ニャルマーはショボンとしている。


「まぁ師範が戻ってくるまで

ここで寛いでいるといいよ。」

エコキヨはニャルマーの様子に苦笑いしながら、

道場の中へと促してくれた。



「当面、通行止めだそうだ。」

事情を聞いてきた師範が戻ってくる。


「となると、シキシニシシキ経由になるな。」

「だね。」

パワルドに頷く。


その横で、ニャルマーは「丸菱が・・・」と

項垂れている。


「シキシニシシキへ行くなら、

ついでにこれを頼めるかい。」

一度別室へ行っていたエコキヨが

封書と小包を戻ってくる。


「これは?」

エコキヨから手渡される。


「隣の集落、ミズホベンにいる

ミサカタという人に渡してくれるかい。

ついでに、その人の家に一泊させてもらえるよう

手紙にしたためといたよ。」


「うむ、それがよかろう。

ミズホベンは人族の事を良く思っていないのが多い。

ヤナセの川を越えれば幾分マシにはなるが。」

エシュロン師範もエコキヨの提案に賛同する。


俺たちはシキシニシシキまでのルートを聞き、

出発することにした。


ミズホベンまでの道は整備されているが、

ちょくちょく、ヌヒョーンやベロンチョ、

一角ウサギやワイルドドックなど、

モンスターが襲ってくる。


雑魚なので手こずることは無い。

夕方にはミズホベンと思われる集落に到着した。


エシュロン師範が言っていた通り、

俺とパワルドは歓迎されていないのだろう。

視線が痛い。


ニャルマーは一旦離れ、

ミサカタの家を聞いてきてくれた。


集落の西の外れへ向かう。


「何の用だ。」

大きな屋敷から出てきたのは、黄金色の髪をした

狐の獣人の50歳位のおじさんだった。


俺とパワルドを見るなり、

ものすごく不愛想な顔をした。


「カミフクのエコキヨさんから

ミサカタさんにお届け物がありまして。」

ニャルマーが割って入る。


俺はアイテムボックスから小包と手紙を取り出す。


「ミサカタは私だが。」

睨みつけるように見ながら

荷物を受け取るために手を伸ばす。


小包と手紙を渡すと、

「これで用は済んだろ。」

と強い口調で発しながら屋敷の中へ入ってしまい

勢いよく扉が閉まった。


「あっ・・・」

動きが固まる。


ニャルマーは集落の宿に泊まれるだろうが、

俺とパワルドは門前払いを喰らうかもしれない。

そうなったら、野宿だ。。。


「仕方ねぇよな。」

パワルドは諦め、振り返り来た道を歩き始めた。


ニャルマーと共にパワルドに追いつき、

今一度、未練たらしく大きな屋敷を見る。

扉は閉まったままだ。


「はぁ。」

溜息を吐き、歩みを進めた。



既に振り返っても屋敷は見えない位置まで進んでいたが、

背後から男の人の声が聞こえた。


「お~い。お前ら、ちょっと待て。」

先ほど渡した手紙を握りしめ、

走り近づいてくる。


「うちに泊まる予定だったら早く言えよ。」

息を切らし追いつくなり、愚痴ってきた。


いやいや、直ぐに屋敷に入っちゃって

言うタイミングなんてなかったじゃん。。。


「すいません、言いそびれちゃってて。な。」

パワルドは俺の肩を強く叩き、頷いてきた。


なるほど。

泊める話をしに、わざわざ追いかけてきた。

これで、泊めませんは無いだろう。

「いいんですか?」


「ああ。この間、頼んだ物を早速手配してくれた

兄弟子の申出を断ったとあっちゃ。。。

ま、そんな訳だから、気にせず泊ってけ。」

そういうと、屋敷まで案内してくれた。


屋敷に入ると、裏庭へと通された。

道すがら、エシュロン師範から俺たちも

指導を受けたことを伝えると

「人嫌いのあの人が」と、驚いていた。


その流れで、パワルドが実際に形を

披露することになったのだ。


木刀を受け取ったパワルドは

一呼吸おいて1~13までの形を実演する。


「なるほど、素晴らしい。

どうだ、うちの倅と手合わせしてみないか。」


パワルドが「ああ、やってみてぇな。」と答えると、

「おい、シュートク」と大きな声を上げ

屋敷に入っていった。


パワルドは木刀を振っている。

その奥には芋畑が広がっている。


今いる場所は作業のために設けられたスペースだろうが、

試合をするには十分な広さがある。


芋畑を背景に木刀を振るパワルドを見ていると、

二十歳前後の獣人が、

面倒臭そうに髪を掻きながら姿を現した。


親父さんと同じで、黄金色の髪をし、

背後には太い尻尾を出している。


「こいつに勝ちゃいいのか。やってやるよ。」

木刀を受け取り、パワルドの前に立つ。


何か屋敷の中で取引があったのだろうか。

親父さんは、ちょっと呆れて溜息を吐く。


誰かが合図したわけではないが、

既にパワルドとシュートクの間には

緊張感が漂っている。


互いの剣先を軽くぶつけ合い牽制しながら、

右方向へ双方ゆっくり回転する。


シュートクが右足を強く踏み込み、

フェイントをかける。


パワルドはバックステップで

1歩2歩と距離を取る。


シュートクは間髪入れず距離を縮め、

額の高さまで木刀を振り下ろすと再度振り上げ、

溜を作ると一気に振り下ろす。

形で言う『三』と『四』の動き。


パワルドは木刀を水平にして受ける。

周囲に「バチン」と激しい音が響く。


パワルドは受けた木刀を弾き、

シュートクの腹をめがけて振るう。

これは『九』から『十』への動き。


シュートクはバックステップで躱す。

今度はパワルドが距離を縮め、上から振り下ろす。


先ほどとは立場が逆。

シュートクが木刀を水平にして受ける。

「バチン」と先ほどと同じく激しい音が響く。


パワルドは、先ほどの自身が取った行動を

警戒するかのように、水平になった木刀を

軽く叩くように3度剣先を当てる。


シュートクはパワルドの次の動きを警戒し

木刀を水平のまま動かさない。


パワルドは再度距離を取る。

そして双方が最初の様に木刀を構え仕切り直す。

年内休みます。

来年再始動します。m(_ _)m

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