正しき道とは
鬱蒼と茂る木々に挟まれた道を進む。
「あ、コレって・・・」
先ほど通り抜けた高麗門が姿を現す。
「元に戻ったみてぇだな。」
パワルドは門を左下から上へ、
そして右下へと顎に手を当て見ている。
「フン、行くぁよ。」
ララは高麗門に背を向け、
鬱蒼と茂る木々に挟まれた道に歩みを進め、
後を追った。
前回と同様、分岐する道もなく、
右へカーブし、左にカーブと道形に進む。
３０メートル程の直線の中央付近に
ゼロジャナイが現れた。
今度はララが一撃で仕留める。
「あ、分かったぞ。正しきはコレだ。」
さっきと同じ流れなら、
この先には大きく『１』と書かれた
標識があるはずだ。
とすれば、今いるこの状態が正しき状態のはずだ。
「なら、この風景をきちっと覚えねぇとだな。」
パワルドは振り返り、戻って木の本数を数えたり、
木々の葉っぱに手を伸ばした。
「お姉さま。念のため私たちも記憶しまショウ。」
「分かったぁよ。覚えときゃいいんでしょ。」
ララも立ち止まり周囲に意識を向ける。
ニャルマーは周囲の音に集中しているのか、
耳をピクピクと動かしている。
「よし、行こう。」
暫しの後、先へ進んだ。
そして、目の前には上に大きく『１』、
その下に『正しきは進め ⇒』と書かれた
標識が現れた。
「やっぱりね。」
「これで何とかなるな。」
パワルドと標識の前で減速したが、
ララ達はそのまま足早に進んでしまう。
右へカーブ、左にカーブと道形に進む。
３０メートル程の直線の中央付近に
イチジャナイをリリが仕留め立ち止まる。
そして間違えを探す。
パワルドは木の本数を確認し、
葉っぱも慎重に見ている。
「さっきと何も変わらないぁよ。」
「そうデスね、お姉さま。」
ララリリ姉妹はゆっくりと歩き始めた。
「ねぇ、待って。」
ニャルマーがストップをかけ、
続けた感じた違和感を共有する。
「水の音がさっきより大きい気がする。」
「水の音？」
近くに川でも流れているのだろうか？
俺の耳には判断が付かない。
「戻りぁしょ。これであぁた達の予想が
正しいか分かるでしょ。」
ララは不敵な笑みを浮かべ、戻り始めた。
そして、目の前には上に大きく『２』、
その下に『← 正しきは進め』と書かれた
標識が現れた。
「おっ、２だ。」
「矢印の向きも変わったな。」
「あぁた達の予想通りね。」
ララがようやく俺たちの考えに納得してくれた。
矢印の指しているルートを進む。
右へカーブ、左にカーブと道形に進むと、
例によって３０メートル程の直線になる。
「臭い！」
ニャルマーが鼻をつまむ。
ゴムが焦げたかのような臭いがする。
中央にいる、ニデアルを無視して
即座に一斉に踵を返した。
標識の数字は『３』に、
矢印も『正しきは進め ⇒』と
反転した。
そのまま進む。
道形に沿っていくと、サンジャナイが
中央にいる。
ララがすぐに仕留める。
そして間違え探し。
道はぬかるんでいない。
水の流れる音は俺には分からない。
変な臭いはしない。
パワルドは木々の様子を見ているが、
違いは見受けられないようだ。
「違いは見つかったかしぁ？」
ララはリリに尋ねる。
「えっとぉ・・・」
返答に困ったリリはニャルマーに視線を送る。
「どうだろ？」
ニャルマーのスルーパス。
ボールを俺に振ってきた。
「分からないっ。」
はっきりと答えてみた。
「これだけ探して分からねぇんだから、
正しいのかもな。」
パワルドが助け舟を出してくれた。
意外にも正しいと判断するのは
決定打に欠け、難しい。
意を決して先へ進むことにした。
出てきた標識の数字は、
『４』になっていた。
一同、ホッとする。
矢印に従い先へ進む。
道形に沿って進み、直線の道に出た。
中央にはヨンナノがいる。
ただ、正面からは心地よいそよ風が吹いている。
「戻ろっか。」
一瞬で分かるものはありがたい。
標識の数字は『５』になり、
矢印も反転した。
そのまま進み直線道に出る。
中央には５の形をしたフィフスンが待ち構えている。
ララが一撃で倒し、間違え探し。
暫く周囲を見て回るが、
変わったところは見受けられない。
先へ進む。
標識の数字は『６』になった。
間違えが無い時は、数字の確認はドキドキする。
このまま先へと進む。
直線道に出ると中央には
ロクデナシがいた。
が、目が合うなり一目散に逃げだした。
「えっ・・・」
「まぁロクデナシだもんな。」
これはこれでありなんだと思う。
他に異常は見つからず、先へと進んだ。
標識の数字は『７』になった。
このまま先へと進む。
直線道に出ると中央には
ロクデナシがいた。
「また、お前かよ。」
と突っ込むと、一目散に逃げだした。
当然、引き返す。
標識の数字は『８』になった。
反転した矢印に従い先へ進む。
直線道に出ると中央には
ハチジャナイがいる。
一撃で倒して、間違え探し。
不審な点は見つけられない。
一方で、ここまで数字を積み上げてきたのを
台無しにしたくない。
今まで以上に慎重になる。
時間は刻々と過ぎる。
正しいと思われるので先へ進むことにした。
カーブを進み、標識の見える手前で
立ち止まり深呼吸をする。
そして、一気に進む。
標識の数字は『９』だった。
「よしっ！ (^o^)o」
思わず喜びと共に、右の拳を握りしめた。
このまま矢印に従い先へと進む。
直線道に出ると、ゼロジャナイがいらっしゃる。
「何でゼロなぉよ。」
ララは地面を思い切り踏んだ。
本来なら９の形をしたリチギナインが
出てくるはずなのに、どこで間違えたか・・・
次回は7/28にリリース予定です。
