常設依頼 ~ モスモスの花の採取 ~
ランキングの確認を終え、横に捌ける。
ララリリ姉妹とニャルマーの姿が後ろに見えた。
「ちょっと待ってようか。」
パワルドも3人に気付き頷く。
暫しの時を経て、3人がランキングの前に立つ。
ニャルマーは自分の名前を指しながら、
跳ねて大喜びしている。
この2週間の相当頑張ったのだろう。
ララリリ姉妹に祝福されながら向かってくる。
「二人してガチ過ぎて気持ち悪ぃわ。」
ララは気持ち悪い物でも見るかのように蔑んだ目で見てくる。
リリは姉の言葉に同調するかのように頷き、
ニャルマーは困惑している。
「何だか俺達には厳しいよな。」
パワルドは同意を求めてくるが、
ララリリ姉妹の機嫌を損なう訳にも行かず、
苦笑いするしかない。
「ねぇ、この後どうするの?
私たちは丸菱デパートへ行くけど。」
話題を変えようとニャルマーが割って入る。
「取り敢えず、素材の精算にギルドへ行きてぇな。兄貴は?」
「俺もアイテム一杯だし、ギルドへ行くよ。
何か軽めの依頼があれば受けても良いしね。」
「いいんじゃないかしぁ。
それじゃ、あぁし達は先に行くわ。」
ララは手を振りながら目の前を通り過ぎ、
ニャルマーその後へと続く。
リリは帰りの時間と場所だけ言って去っていった。
「買い物に付き合ってたら大変だったろうな。」
「確かに。」
3人が消えた出入り口を呆然と見た。
パワルドと共にいつものギルドに入ると、
案の定、精算所は激混みだった。
「先に掲示板でも見よっか。」
「そうだな。」
げんなりしているパワルドに声を掛け、
比較的空いている依頼の掲示板の前へと向かった。
依頼は、商隊の護衛が最も多い。
ペットの捜索、工場の流れ作業、夜間のビル掃除、
防護壁の補修何てのもある。
「ねぇ、これなんかどうだろ?」
【モスモスの花の採取】という常設依頼を指した。
依頼書には花の絵が書かれている。
モスモスの花って、コスモスとそっくりだ。
採取する花の大きさや、茎の長さまで指定されており、
1輪で25ゼニーだ。
依頼主はブルマン・フラワーショップ。
要するに花屋の仕入って事か。
「ん、ああ確かに面白そうだな。」
周囲にはモンスターも出るようで、
詳細な説明が載っている。
パワルドはそのリストに目をやった。
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【タネダーネ(30ゼニー/匹)】
クサイクサの種から発芽して間もないモンスター。
種から手足と頭から幼芽がチョロンと出ている。
ドロップ品:タネダーネの種(10ゼニー/個)
【クサイクサ(70ゼニー/匹)】
タネダーネが成長した、戦好きの草モンスター。
葉っぱ自体が触ると臭い。
ドロップ品:クサイクサの葉刀(50ゼニー/個)
【コイシバナ(100ゼニー/匹)】
クサイクサの一部が変化した花モンスター。
稀にドロップする淡いピンク色のコイシバナの花は人気がある。
ドロップ品:コイシバナの花(250ゼニー/個)
【モヤモヤシ(3ゼニー/匹)】
日光が苦手なひ弱なモンスター。
攻撃力はほぼない。
ドロップ品:ビーンスプラウト(1ゼニー/個)
【タートルバグ(50ゼニー/匹)】
近づくと臭いカメムシのモンスター。
倒すと周囲に悪臭を放つ。
ドロップ品:タートルバグの匂い玉(引取不可)
【ポイズンキャタピラー(10ゼニー/匹)】
人が近づくとゆっくりと逃げていく芋虫モンスター。
敵意を感じると毒を吐いてくる。
極稀にドロップする魔石のために刈られることがある。
ドロップ品:弱毒の魔石(50ゼニー/個)
【ギプシーモス(30ゼニー/匹)】
ポイズンキャタピラーが進化した蛾のモンスター。
毒の粉を撒いてくる。
ドロップ品:弱毒の魔石(50ゼニー/個)
【キシロコーパ(0ゼニー/匹)】
黒く大きな蜂のモンスター。
巣に近づかなければ襲ってこない。
ブーンと音を立てながら飛び見た目が怖いが温厚。
蜜を集めているので攻撃厳禁。
【オレサマバッタ(70ゼニー/匹)】
プライドの高い俺様的なバッタのモンスター。
ドロップする魔石は偽物。
ドロップ品:魔石のバッタモン(販売は違法)
【ウィーディドール(100ゼニー/匹)】
雑草で出来た草人形のモンスター。
ドロップする草塊は酪農家に引き取られる。
ドロップ品:良質な草塊(50ゼニー/個)
【ガーデンバード(50ゼニー/匹)】
飛ぶことができない鳥。
捕まえようとすると速足で逃げる。
美味しい卵を産むため飼育されている。
ドロップ品:淡白なお肉(30ゼニー/個)
【グリーンスライム(―100ゼニー/匹)】
周囲の有機物を分解してくれる有益モンスター。
倒すと罰金。
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「まだまだ掛かりそうだし、先に行こっか。」
精算所に付近の人だかりは先程と変わらない。
「そうだな。精算所は逃げねぇもんな。」
常設依頼なので受付る必要はない。
モスモスの花採取のため、東の草原へと向かった。
東の草原に着くと、チラホラと人影が見える。
近くにモスモスの花が咲いている。
ディテクトで反応を探るが、
グリーンスライムが反応してしまい、
役に立ちそうにない。
「ちょっと小せぇな。」
パワルドは屈みながら花に手を当てている。
規定サイズの物は既に先客が刈り取った後だ。
「奥へ行こっか。」
終わりの見えない草原の奥へ進んだ。