気絶 ~ ステータス確認とシーミュラ教授への近況報告 ~
越川へ行くため、ララリリ姉妹所有の
馬車に向かう道すがら、ニャルマーの状況を聞いた。
何度か挑戦してはいるものの苦戦しており、
ララリリ姉妹からアドバイスを貰い試行錯誤しているようだ。
落ち込んでいるニャルマーに
「急ぐ必要はないから、確実にやっていこう。」
とフォローした。
そして、リリの運転する馬車へと乗り込む。
決して荒い運転ではない。
だが微妙な振動でも体調が悪くなる。
始めこそ心配してくれていたパワルドが
先程話した経緯をララとニャルマーに話始めると、
時折俺を見ながら笑っていた。
怒る気力がない。
けど覚えておきやがれ、此畜生!
【8月31日】
今日は久方ぶりに5人でクヌキの祠へ行く予定だった。
越川の門を通った瞬間、
意識だけがそこに残されるような引っ張られる感覚に襲われる。
そしてふわりと意識を失ってしまった。
「う゛う゛・・・」
気付くと今朝起きた場所に戻っていた。
といってもタイムスリップした訳ではない。
時刻は既に11時を回っている。
「起き上がって大丈夫ですか?」
部屋の外へ出ると、越川の女将が気遣わしげな顔で声をかけてきた。
「心配かけて、すいません。」
「長旅でお疲れになったのでしょう。
今日はゆっくりしてくださいませ。」
「あ、はい。」
恐縮しながら頭を軽く下げた。
気を失ってから、パワルドが部屋まで運んでくれた。
皆心配していたが、ずっとここにいても仕方がないので、
女将が見てるからということで祠へ向かったとの事だ。
いつもより早くパワルド達が帰ってきたので
心配掛けた事を詫びた。
既に体調は問題ないが、
ステータスを確認して早めに寝ることにした。
----------------------------------------------------------------
冒険者:なおと
【ベースレベル】326
HP:5513/5513 MP:2431/2431
【スキルレベル】
剣術スキル:210 魔法スキル:87
体術スキル:187 回復スキル:70
槍術スキル:151 補助スキル:76
斧術スキル:120 召喚スキル:81
弓術スキル:49 (鍵)錬成スキル:30
所持金:77,678,753ゼニー 【 8月31日 21:57 】
----------------------------------------------------------------
【9月1日】
パワルド達一緒に越川を出発しケービヨンへ向かう。
とは言え、クヌキの祠へは行かない。
もう大丈夫だとは思うけど、
「一人でいて倒れたら危険だ!」
と止められている。
「今日も越川でゆっくりしてた方が良い。」
とも言われていたが、もう元気だし
一日何もせずにいるのは暇すぎる。
なので、ケービヨンでのんびりと
街ブラさせてもらう事で納得してもらった。
まずは丸菱デパートを訪れた。
色々な催しが行われているが、
シーミュラ教授のセミナーは無くなっていた。
時々近況報告するように言われてたけど、
どうしたらいいんだろう。
必須という訳でもないから別に構わないんだけど、
今日は時間がたんまりとあるので確認することにした。
別館4階に行き、催事総合センターを訪ねた。
「シーミュラ教授のセミナーってありましたよね?」
「シーミュラ教授のセミナーですか?
少々お待ちください。」
総合センターの女性はリーフレットの束をパラパラと捲っている。
「こちらのテイマースキルセミナーでしょうか。」
シーミュラ教授のセミナーのリーフレットを
コチラ向きにして見せてくれた。
「これですね。」
「大変恐れ入りますが、こちらは7月末で終了しております。」
「あ、そのセミナーを受けに来た訳ではなくて、
以前受けた事がありまして。」
「ありがとうございます。
それでは、本日はどのようなご用向きですか?」
「シーミュラ教授から、時間ができたら
近況を報告してほしいと言われていたもんで。」
「それでしたら、担当の者を呼んできますので
少しお待ちいただけますか?」
彼女が呼んできたのは、セミナーの開始時に登壇した
コーディネーターのエスセティという女性だった。
「セミナーをご受講された方ですね。」
「はい、それで近況報告でもと来たんですが・・・」
「そうでしたか。残念ながら、教授は今、
ソニック・シティーにいらっしゃいます。」
ソニック・シティーはここから東、
フィンファングの更に先にあるオオノミヤの近くの街だ。
ここからサンハイトへ行くのと同じくらい距離がある。
「んん、結構離れているなぁ。。。
ま、仕方ないか。」
教授への報告を諦めようとした。
「もしよろしければ、セミナーを担当していた身として、
成果をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
現状テイムした数やモンスターの種類を教えたら、
ちょっと驚いていた。
「あなたには教授からお預かりしている物を
お渡しする資格があるかもしれませんね。」
「資格?」
「コチラなんですけど、お読みいただけますか?」
2つ折りになっていたメッセージカードを受け取った。
「え、コレ読めばいいの?」
開くと所謂達筆な字で文章が書かれていた。
まぁ読めなくは無いけど。。。
「はい。」
冗談で言ってる様には見えない。
メッセージを読み始めた。