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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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パワルド VS 玄冥亀 ~ 甲砕のツボ ~

「あ、ああ、例の刻印な。。。」

何とも歯切れが悪く、暗い顔になった。


「そう急ぐもんでもないしさ。」

フォローを入れた。


すると、軽く上を見て一つ溜息を吐いてから、

玄冥亀との戦いについて話を始めた。



~~~ パワルド VS 玄冥亀 ~~~


甲砕撃こうさいげき!」

突き出されたパワルドの右拳が

玄冥亀の甲羅に当たり周囲に大きな音が響く。


だが硬い甲羅には変化は無く、

ダメージも入っていない。


「ッチ、駄目だな。」

握っていた拳を解き、軽く振りながら距離を取った。


「はぁ、今日も無理そうだな。」

昨日、一昨日と玄冥亀に挑み、既に夕方に差し掛かっていた。

今日の討伐を断念しようと、先にある階段を見た。


「しまった!!」

視線と意識を階段へと移した一瞬、

玄冥亀の口から放たれた液体が顔面に直撃した。


「くっそ!」

粘り気のある液体を手で拭った。

だが、目に染みて開けられない。


「ん、」

パワルドは全力でバックステップする。

もしその場にいたら、体が2つに分かれていた事だろう。


玄冥亀は2メートルを超える巨体であるが故、

全く音や振動を立てずに動くことは不可能だった。

パワルドはそのままゆっくりと下がり続ける。


「はは、これで背後から襲われる心配はねぇな。」

背中に当たった壁を左手で触りながら、

口角をピクリと上げる。


そして、恐る恐る少しだけ目を開けて周囲を確認する。

はっきりと見ることはできないが、近くにはいない。


大盾を装備し、正面に向けてどっしりと構える。

未だ目は沁みてずっとは開けていられない。


「慌てるな、慌てるな、、、」

目を閉じ大きく深呼吸し、周囲のかすかな音や振動を

逃さぬよう盾を両手で抑えながら集中する。


嫌な冷汗がほほを伝う。


 サササ


左の壁が擦れた気がした。

すぐさま左側に盾を構えると、玄冥亀は体当たりしてきた。


「ふう、危なかったな。」

ギリギリでガードしたパワルドの正面を

ゆっくりと玄冥亀が通り過ぎる。


細く目を開けると、巨体は離れていった。

目の調子が戻るまで時間を稼ぐしかない。

目を閉じ神経を集中させる。


玄冥亀は距離を取ったかと思うと、

まるでどこかの配管工のおじさんに蹴られたかのように

加速してパワルドに突っ込んでくる。


パワルドはそれを察知して、盾を持つ手に力を入れた。


 ドカン


両者が正面衝突する。

圧に押されたパワルドの左踵が壁に触れる。


玄冥亀の勢いは衰えない。

パワルドは両手だけでなく右足も盾に当て圧に耐える。


背中と壁との距離が無くなっていく。


「ぬうぉぉぉ!!!」

至る所の血管がはち切れんとばかりに浮き出る。


「どりゃ~!!!」

玄冥亀の勢いが納まり弾き返した。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

盾を杖変わりにしながら、息を切らす。


パワルドはこの後も同様の衝撃を3度耐えることになる。

その甲斐あって徐々に視界が戻って来た。


「あれは、、、」

玄冥亀は前と変わらない。

だが、パワルドには別に感じるものがあった。


「1つ目!」

玄冥亀の首の右側に拳を繰り出す。

大きな音はするが、甲羅に変化はない。


「2つ目!」

今度は右の前足と後足の間、

真ん中よりやや後足よりに拳を繰り出す。


反撃とばかりに玄冥亀は後ろを向いて

尻尾を叩きつけてきた。


パワルドはその尻尾に飛び乗り、

反対側へと移動する。


「3つ目!」

左側の後足付近に拳を繰り出す。

パワルドは手ごたえを感じているが、

甲羅は相変わらず変化はない。


「4つ目!」

左前足の上部に拳を繰り出す。

そして、パワルドは甲羅の上へと飛び乗った。


「最後、ここ。甲砕撃!」

ど真ん中から少し離れた位置に拳を繰り出すと、

模様に沿ってヒビが入り、ガラス細工のように

砕け散った。


玄冥亀は白旗を上げ、パワルドは無事

刻印を得たのであった。



「じゃ~ん!」

当時の戦いを話し終えたパワルドは

自慢気に刻印を見せてきた。


「なんだ、倒したのか。

ちょっと心配しちゃって損したよ。」

「ははは。」

パワルドは悪戯な笑みを浮かべる。


「最後の甲砕撃って何なの?」

「あれは甲砕のツボを突く技なんだな。

俺はそのツボを見抜けるようになったな。」


「そのツボを突けば、

硬い甲羅も砕けちゃうってヤバくね。」

「はは、まぁ甲羅を背負っている

奴にしか効かねぇんだけどな。」

パワルドは残念そうに答える。

なるほど、使う機会って。。。


丁度話が終わったところで、

ララリリ姉妹とニャルマーが近づいてきた。


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