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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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犯人は・・・俺?

「ちょっと事情を聞いてきてやるよ。」

ディメンティアを乗せた台車を押す俺とツルボウを置いて、

「おーい」と手を挙げながら冒険者たちの輪に溶け込んでいった。


状況を聞いてきたサッチャンが状況を話始めた。

「今日バトマに到着した馬車が盗賊団に襲われたらしい。

その際、乗客の一人が行方不明になって、

今から捜索しに行くみたいだぞ。」


「へぇ、、、ってそれ、俺じゃね?」

自分に右手の人差し指を向ける。


「え、そうなのかい?」

「いや、他にもいるかもしれないけど・・・」

「アイツだよ、アイツ!

盗賊団とグルだったんだよ。間違えない!」

サッチャンと会話していると、

えらい剣幕で俺を指し、髪がボサボサの眼鏡を掛けた女性に

訴えながら近づいてくる男がいる。


って、さっきまで乗っていた馬車の御者と、

バトマのギルマスのシャローマじゃん。


御者の言葉に、凶悪犯を見るかのような視線と共に、

耳を塞ぎたくなるような、罵詈雑言が飛んでくる。


そして、今にも襲い掛かってきそうな御者のおっちゃんは

取り押さえられ、シャローマだけが来た。


「これは、一体どういう状況なのでしょう?」

シャローマは紐でグルグル巻きになって時折「ん~、ん~、」と

うめき声を上げているディメンティアの紐を解こうとしゃがんだ。


「あっ、ちょっと危険なんで、解かないでもらえます?」

俺の言葉にピタッと動きを止め立ち上がった。


「色々お聞きしなければなりませんね。

ここでは何ですので、一旦ギルドまでお越しください。」

再度台車に乗っかっているディメンティアを見てから、

変態でも見るかのような冷めた目で俺を睨み付けてきた。


今、俺って凄い悪者扱いされてる気がする。

サッチャンはこの状況に笑いを堪えていた。



「早速ですが、この女性は何なのですか?」

応接室にサッチャン、ツルボウ、俺の3人と、

屈強なギルドスタッフ1人が入ると、直ぐに扉を締め、

シャローマが静かに取調べを始めた。


「忘却のディメンティアって知ってます?

恐らく、その方かと。」

「おいおい、知ってるかだと。」

自分たちの仕事にケチを付けられたと、

眉間に皺をよせ、顔を近づけてきた。


「ローバストさん。

この方が、そのディメンティアだとおっしゃられるのですね。

確か盗賊団は5人だったはずです。」

自身より大きいローバストを右手で軽く押さえ、

シャローマが質問に回答する。


「5人、、、?」

ポスリメン4体を人と数えれば5人とは言えなくもないか。

と思った一方で、疑問形で返してしまったことにより

シャローマとローバストが一層疑いを深めてしまった。


「いやあの、ポスリメンを人数に入れていいものかと。」

「は、ポスリメン?」

ローバストは呆れた顔をしている。


「金品を奪うだけのポスリメンですか。」

「いや、アタシ達は。さっきまでバトマに居たし。」

シャローマの視線を受けたサッチャンが我関せずと

手を横に2度振りながら否定する。


「では、その4体のポスリメンは?」

「倒しちゃいました。」

「お一人で?」

「ええ、まあ。」

「へ~、そいつはすげーや。

一人でポスリメン4体を倒し、

主犯のディメンティアを生け捕りってか。

まあ、事実ならな。」

次から次へとでまかせ言うなよという顔をし、

ローバストは厭味ったらしくしている。


「とするとディメンティアはポスリメンの関係者だと?」

「と思ったからここへ連れて来たんですけど。」

シャローマの目を見て答える。


「なるほど、言い分については理解しました。

確認するのでお出しいただけますか?」

「えっ?」

何かを受け取ろうと右てを出すシャローマに、

どうしたらよいのか首を傾げた。


「ギルドカードだよ。」

ローバストが不敵な笑みを浮かべて教えてくれた。

そして、サッチャンもニヤリとした。


ギルドカードをアイテムボックスから取出し、

差し出されている手に載せた。


シャローマとローバストがソファー席に座りログの確認を始め、

サッチャン達と共に対面に座った。


「ポスリメン4体倒したというのは確かです。」

シャローマはログの確認を終えた。


「じゃあ、ほんとに。」

意外だと言わんばかりの表情のローバストの視線が

台車の上でうめき声を上げているディメンティアへと向かう。


すっと立ち上がったシャローマは、

ディメンティアの目を覆っていた布を取り、

喋れない様にしていたロープも解き始めた。


「ヤバいって。」

「チャーム!」

言わんこっちゃない。

警告を無視した結果がこれだ。

サッチャンは頭を抑え必死に抵抗し、

ツルボウとローバストはエロい目でディメンティアを凝視している。


「リセイン!」

シャローマが唱えると、サッチャンとローバストが正常に戻った。

ツルボウは、、、エロ目でまだ凝視している。。。


サッチャンが頭をコツンと軽く叩くと、

漸くディメンティアから視線を外した。

ん~、よく分からん奴だ。


「私には効きませんよ、セニリティーさん。」

シャローマはドヤ顔で眼鏡を上げる。


「セニリティーって、あの地味な。」

ローバストの言葉に、サッチャンとツルボウも驚ている。


どうやら、俺だけ知らないようだ。

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