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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第2章 サンハイト地方
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飛竜を追い払え(後編)~ 大きな卵と召喚契約、そしてサブスチのチョーカー ~

飛竜を追い払え後編です。

いつもよりちょっと長めです。

「よっしゃー、倒したぜ!」

満面の笑みで斧を仕舞ながら歩いてきたパワルドに、俺は思わず突っ込んだ。

「おいおい、最後は無茶なことするねぇ。」

「いやぁ、一撃でいけると思ったんだけど。こっちにブレス攻撃がくるかとヒヤッとしたよ。兄貴、助かりました。」

頭を下げているけどあまり反省しているようには見えないのだが、とりあえず倒せたので良しとして、

盾で防いでいたとはいえダメージを受けているので、みんなにヒールをかけた。


「上に行って、手伝わねぇとな。」

パワルドはここから確認できないが、今も飛竜と戦闘していると思われる崖の上を見た。

「とりあえず、パワルドとナナさんで先に応援に行ってくれ。俺は飛竜のいた所を念のため確認してから行く。

ニャルマーはここにいてもし何かあれば、みんなに連絡してほしい。」

先ほど飛竜のいた場所に行くと、少し奥に岩と岩に隠れるような感じで30cm位の飛竜の卵があった。


このまま放置する訳にはいかないので、窪みの奥まで行き近くにあった大きめの岩を持ち上げて叩き割ろうとしたとき、

「ピロリン」と音が鳴り目の前に「飛竜の卵と召喚契約しますか?【はい】【いいえ】」と表示された。

振り上げた岩をゆっくり下げながら【はい】を選択すると、目の前の卵が消え召喚一覧に追加された。

消費MPは1だったのにはびっくりしたが、召喚しても戦うことはできないので、どうしたものかと考えたが、

寝るときにあっためたら孵るかも知れないと思いながら周りを見渡した。

他には何もなかったのでその場を後にし、外で待っているニャルマーと合流してワザヤミーさん達の所へ向かった。


もう1匹の飛竜の所まで行くと、かなり苦戦しているようだった。

先ほどは窪みの上から攻撃することができたが、今回は飛竜が上空にいてなかなか矢が届かず、

一方的にブレス攻撃を受けている印象だ。

防戦一方だが、十分距離をとりブレス攻撃は盾で防いだり、かわしたりしてあまり被害は受けていないようだった。


一緒に来たニャルマーに盾役になってもらい,山彦の杖を装備した俺は、サンダーを唱えると、

上空にいた飛竜にクリーンヒットしダメージを与えた。

飛竜は俺が危険だと認識したらしく、高度を下げこちらに向けて大きく息を吸いブレス攻撃を仕掛けてきた。


先ほどの飛竜と同じように、ブレスは盾で防ぎつつ、止んだタイミングでサンダーを唱え、ダメージを与える方法で対応した。

3回ほどニャルマーが盾で防ぐと、パワルドが盾役を変わり、その後ナナさんが変わってくれた。

高度が下がったおかげで、ワザヤミーさんたちの矢も届くようになり、

ダメージが徐々に蓄積されてきたのか、次第に地面へと着地した。


それを見たパワルドは盾役の順番から外れ、斧を装備した。

俺は、「また、あいつやるのかよ。」とつぶやき、サンダーを一発唱えた後、

パワルドにパワーアップを2回かけてやると、笑顔でサムズアップをしてきた。

「あの馬鹿が」と思いながら、飛竜のブレス攻撃を防ぐため盾役であるニャルマーの後ろに隠れた。


パワルドは飛竜の死角から先ほどの飛竜のときと同様に、首の真上から渾身の一撃を仕掛けた。

斧は首の骨にあたって角度を変え、パワルド側の鱗の一部を切り裂いた。

直後、シガンさんが槍を腹に突き刺し、ワザヤミーさんとオゴセさんが剣を飛竜の脇腹に突き刺したところで、

飛竜は魔素へと帰り、俺達は大量の経験値とアイテムを入手した。


俺はこの世界にきて初めてベースレベルが上がり、飛竜の腕輪と飛竜の鱗15個、回復薬4個、中級回復薬2個、

MP回復薬12個を手に入れた。

飛竜の腕輪は、ブレス耐性+10と素早さ+10の効果が付されていたので、早速装備してみた。

少しごっついが、見た目がかっこいいので気に入った。


ゲーム内では入手したことのなく初ゲットだったのだが、そもそも飛竜を倒すはずではなかったのではと思った。

1匹目で俺達が近寄るとブレス攻撃を受けるが、その後ワザヤミーさんたちの攻撃を受けると即座に逃げ出し、

2匹目もそれに続いて去っていくはずだったのに、なぜか1匹目は逃げず、討伐することになってしまった。

難易度が全く異なり、まるでハードモードでゲームをトレースしている気分になった。

そんなことを思っていると、ワザヤミーさんが喜びながら手を振り近寄ってきた。


「やったなぁ。ありがとう。これで村は安泰だ!」

一人ひとりに握手しながら、俺達にお礼を言ってきた。

俺達は急に緊張が解け気が抜け、その場に座り込んだ。

10分くらいその場に座りつつ、皆で先ほどの戦闘を振り返りつつ談笑し、その後帰路についた。


ハイルートに戻るとワザヤミーさんは会う人会う人に、「飛竜を倒したからもう安心だ」と言って回り、

次第に町全体がお祭り騒ぎになっていった。

ワザヤミーさん宅へ戻る途中に馬車の待合場所の前を通るので、俺はサンハイトへの空き状況を確認しに行った。

モローさんからは「急ぐ用がないなら、明日以降を予約して今日はゆっくりしてけ。」と言ってくれた。

俺も疲れていたのでワザヤミーさん宅でもう1泊させてもらうのはありがたい。。

予約の状況を確認すると今日も5人乗れたが、明日予約をした。10時に出発するらしい。

ワザヤミーさん宅へ戻りそのことを伝え、その後は宴が始まり、夜遅くまで続いた。


翌朝、9時頃俺たちが出発の準備をしているとワザヤミーさんたち3人が部屋を訪ねてきた。

3人が部屋に入ってきた後、シガンさんがナナさんたちを呼んできた。

「今回は大分世話になったな。それでこれは俺達からのお礼だから気にせず受け取ってくれ。

まず、これは昔ドロップアイテムで入手したものなんだが、振り下ろすタイミングで力を入れると重くなって

切れ味が増す斧だ。パワルド君にぴったりだと思うんだ。受け取ってくれ。」

ワザヤミーさんは斧をパワルドに渡した。獣王の斧というらしい。


「それから、これは金があるとき昔特注で作った剣だ。ニャルマーのお嬢さん使ってくれ。

俺の所で眠らせておくより、剣もうれしいだろう。」

ニャルマーは「ありがとうございます。大切に使います」と受け取った。

剣に名前は無かったが、後に「ワザヤミーの剣」と呼ぶことになった。


モローさんが槍を取り出し、

「これもワザヤミーと一緒に作ったオリジナルの槍だ。シガン君、是非使ってみてくれ。

これからの活躍期待しているぞ。」

シガンさんに渡した。「大切に使います。」と受け取り、二人は握手をした。

この槍のことを「モローの槍」と後に言うようになった。


「これも同じときに作った双剣だ。それからこれもセットであげよう。

これを装備すると素早さが20%上がるから、速さを活かして敵を翻弄してほしい。」

オゴセさんは同じような形の短剣2本と、きらめきの腕輪というものをナナさんへ渡した。

同じように見えるが右手用と左手用があるらしい。後に「オゴセの双剣」と呼んだ。

ナナさんはお礼をいい受け取ると、うれしそうにその剣を眺めていた。


そして、俺は「俺のは~」という目で、ワザヤミーさんをジ~と見ていた。

ワザヤミーさんは俺の視線に気付き、すまなそうな顔をした。

「いや~、直人さんに調度いい武器がなくてな。山彦の杖よりいいものは持っていないよ。

代わりといっちゃ何だが、この『サブスチのチョーカー』をあげよう。貴重なアクセサリらしいぞ。」

ワザヤミーさんは2cmくらいの緑色のクリスタルの中に小さな人の模型が入ったチョーカーをくれた。

お礼を言い受け取ると一瞬光った。

「どうやら所有者のして認められたようだな。」

ワザヤミーさんの言葉を聴きながら、見る角度によって人型が動いているように見えるクリスタルの中を覗いていた。

首からチョーカーを下げ、ステータスを確認すると、

『瀕死の一撃を受けた際に、一度だけ身代わりになってくれるかもしれないチョーカー』

だった。まぁ、見た目も悪くは無かったので、万が一の時に役に立つかもしれないので身に付けとくことにした。


改めてみんなでお礼を言うと、ワザヤミーさん達は「こちらこそありがとうな。」と言って、

部屋から出て行った。その後、俺達は使わせてもらっていた部屋を綺麗にしてから家を出た。

ワザヤミーさん達3人とマヤカさんが馬車の待合場所まで来てくれ、

「怪我をしないよう無理するなよ。達者でな。」と見送られた。


サンハイト戻りギルドに入ると大きなポスターが何枚か貼られていた。


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『秋の精霊祭』開催について

開催期間中にダンジョンで入手できる【精霊の飴(いちご味)】を集めて豪華景品を入手しよう!

チーム編成期間:9月7日~

開催期間:9月14日~9月28日

【内容】

・開催期間中にダンジョンでモンスターを倒すと飴が入手できるのでたくさん集めよう

・集めた飴をギルドに納めると、納めた累積数に応じて景品を進呈

・1チーム8人まで編成可能

・チームはパーティーメンバーでもそれ以外でも編成可能

・開催期間中も編成と解除、加入、脱退可能

・チームメンバーで納めた累積数に応じて景品をチームメンバー全員に進呈

・上位チームには豪華景品あり

・上位チームのチーム内順位上位者には、さらに景品を進呈

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これは、精霊祭イベントの案内だ。

ゲーム内でこのイベントはアイテムを大量に入手できるおいしいイベントだった。


サブスチは「substitute」身代わりという意味です。

さて、次回からは精霊祭イベントになります。

アイテムやゼニーをがっぽり稼ぎます。

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