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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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ガラゴーンではなくグリゴーン ~ 爽涼の腕輪で快適です。 ~

ガラゴーン、いやその上位種のグリゴーンか。

どちらともコアラとレッサーパンダを

足して2で割ったような雰囲気で、目が大きくて丸い。


ガラゴーンは灰色の毛で目は赤いが、

此奴は毛も目も黒い。


ガラゴーンが推奨レベル60位、

グリゴーンは推奨レベル100弱だったはずだ。

随分と場違いだが、何とかなるだろう。


拙い格好だが、剣を構え距離を詰める。

それに呼応するかのように、グリゴーンがピョンと

一段高いところから降りてきた。


眉間にしわを寄せ、苦しそうに唸りながら近づいてくる。

「大蛇の宝珠を取り込んでるのか。」

いずれにしても倒さざるを得ない。


「瞬連撃!」

グリゴーンに斬撃を与えるとすぐさま反撃してきた。


やはり玄冥亀よりパワーはある。

ただ、硬さは半端なかったけど。

パワーアップを掛けて、瞬連撃を数発放つ。


反撃を受けつつも、あっさりと魔素へと還した。

パワルドやニャルマーだったら苦戦しただろうけど、

ベースレベルが325で、剣術スキルのレベルが210だからね。


グリゴーンが消えた跡に、

金色の装飾品に包まれたボーリング大の黒い玉が現れた。


手に取るとずっしりと重い。

アイテムボックスに仕舞い、確認する。

【大蛇の宝珠】となっていた。


そして、祭壇の中央が輝き始めた。

近づいてみると、いつもの帰還陣が出現している。


目的の物は入手して現状の目的は達成できた。

帰還陣に乗り、外へ出た。


既に陽は射していないが、辺りはまだ明るい。

夕方6時半。

ヒワディーア山を眺めた。


「今から行くのは失礼か。」

目的の宝玉を入手できたことの報告は明日することにした。



【8月11日】

朝一でヒワディーア山の管理事務所を訪ねた。

クリッカーさんに通された応接室には、

テーブルの上にヒワディーア山の全体マップ広げ

考え事をしているクリッピノさんがいた。


「クリッピノさん、おはよう。」

「あ、おはようなの。」

目線を合わせて、いつものテンションで挨拶してくれた。

が、すぐに暗い顔をする。


「お陰さんで、無事大蛇の宝玉を手に入れれたよ。

ありがと。んで、今これは何を?」

「クリビオー対策を考えてるんだけど、

ちょっと大掛かりになりそうなの。」

「クリビオーか。なんか懐かしいね。」

秋の精霊祭の最中、ギルドで助けを求めて立っていた

クリッピノさんを思い出した。


「今年は栗が落ちてもクリビオーが発生しない様にするの。

けど今の術式だと限界がありそうなの。」

「へぇ、そうなんだ。」

術式云々は分からないが、話を合わせた。


「術式を変更するには、どうしても現地に

赴く必要がある訳でして。」

お茶をそれぞれの前に置き、

着席したクリッカーさんが補足する。


「嫌なの。行きたくないの。」

クリッピノさんは下唇をプクリと前に出し不貞腐れている。


「代りに俺が行ってこようか?」

「お心遣いは有難いのですが、私たちじゃ駄目なんです。」

首を横に二度振るクリッピノさん。

そして、その横に座るクリッカーさんが申し訳なさそうに却下する。

術式とやらを変更するのはクリッピノさんしか

出来ないらしい。


「そっか、そりゃ残念。」

「落ちた栗をちゃんと全部拾えますか?」

「去年は長雨のせいで出来なかっただけなの。」

小声で反論するが、できるとは言っていない。

何となく理由を付けてやらなそう。。。


「クリビオーが発生したら直ぐに冒険者の方を手配できますか?」

クリッピノさんは反論せずムスッとしている。


「また今年も研修に行く気なんですか?」

「意地悪なの。」

今にも泣きそうなクリッピノさんが小声で呟く。


クリッカーさんの言ってることは正論だし、

仕事をする気のないクリッピノさんが悪いとは思う。

とは言え、直近で仕事を疎かにさせてしまった

原因は俺にも責任があるし。。。


「俺と一緒に行くってのはどう?ピクニック感覚でさ。」

俺の申し出にクリッピノさんは隣のクリッカーさんの顔を見る。


「折角のお誘いなんですから、2人で行って来たらどうです?

事務所を空にする訳にはいかないので、すいません。」

クリッカーさんは託すように一度軽く頭を下げた。


「いえ、お気になさらず。この間まで面倒掛けてましたし。」

「分かったの、もう仕方ないけど行く事にするの。」

渋々納得するクリッピノさんだった。


ヒワディーア山の周囲に20箇所程に設置されている杭。

その杭の術式を現地にて変更する。

1箇所で10分から20分程度かかるらしい。

当初、奥へは山の周囲を迂回して行く予定だったが、

「直接行っちゃえば。」という俺の一言で

山中を突っ切ることになった。

クリッピノさん1人で行くのであればモンスターを避ける意味で

やむを得なかったが、2人で行くのであれば大丈夫だろう。


3人での話合いを終えると、クリッピノさんが

「ちょっと待っててなの。」と言って退室した。


「これプレゼントするの。」

淡い水色の腕輪を受け取った。


「爽涼の腕輪。」

アイテム名を言うと、クリッカーさんが苦笑いした。


「ほんの少しだけ魔力を流してみるの。」

「ほんの少し?」

「多く流すと凍え死ぬの。」

「えっ。。。」

ビビりながら、ほんの少しだけ魔力を流した。


「わっ、涼しい。」

「もう大丈夫なの。4、5時間は持つの。」

魔力を流さなくても涼しい。


「こりゃ助かる。ありがとう。」

「それ、あまり口外しないでくださいね。」

喜んでいる俺にクリッカーさんが釘を刺してきた。

これを目当てに人が来たら

隣でニコニコしているクリッピノさんに迷惑を掛けてしまう。


「分かりました。」

クリッカーさんに返事し、ヒワディーア山へ出発した。


都合により次回は10月28日にリリース予定です。


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