コマアールのダンジョン 23層へ到達 ~ 魔素遮断の腕輪と特別なお守り ~
「どうしても魔素と魔原素を判別するのは難しいの。
魔素と魔原素で良ければ可能なの。」
「確か昨日もコンペアで魔原素は魔素とみなされてたもんね。
ちなみに魔素を遮断した場合、何か弊害とかってある?」
「多分大丈夫だとは思うのだけど、
あまり体力や魔法は使わない方が良いと思うの。」
「できるだけ戦闘を避けるって事だね。」
「だからこそ、前あげたお守りが役に立つの。」
クリビオー討伐の時に貰った特別なお守り。
魔力を流せば弱いモンスターは近寄ってこない。
「これで行けそうだね。
そうそう、もう1つ要望いい?」
「可能な範疇なら対応してあげるの。」
「MPの消費をもっと減らしてほしいんだけど。」
断空の腕輪だと1秒間で3も消費してしまう。
今のままだとMP回復薬がどれだけ必要になることか。
「魔素だけに絞るから、確実に減るの。」
「そりゃ助かるよ。あとは何時くらいに出来るかだね。」
「アレがコウで、ん~と、ええと~、、、
取り敢えず1週間欲しいの。」
上の方を見ながら工数を計算してくれた。
「んじゃ、その間モンスター討伐頑張るよ。」
「ついでに登山道のメンテもよろしくなの。(´∀`)b」
満面の笑みでサムズアップしてきた。
「あ、う、うん、任せといて。」
一瞬気が引けたが、ここは持ちつ持たれつ、ギブアンドテイクだ。
クリッカーさんから簡単に説明を聞き、
道具を借りヒワディーア山のメンテとモンスター討伐を行った。
【8月9日】
昨日までの1週間、
登山道にはみ出した枝葉を適当に伐採したり、
道の窪みを平らにしたりしながら
モンスターの討伐をした。
そして今日、魔素と魔原素を通さない結界を張る
魔素遮断の腕輪が完成する予定なので、
朝からヒワディーア山の管理事務所へと訪れた。
いつもの様にクリッカーさんに応接室へ案内され暫し待つ。
「おはようなの。」
普段通りのテンションで部屋に入ってきたクリッピノさんは、
目の下に隈を作りあからさまにやつれていた。
「大分お疲れ何じゃない?」
「フフフ、まだまだ大丈夫なの。
そうそう、それよりも遂に完成したのぉ~!
テレテテッテレ~(^O^)/ 」
不気味なテンションで効果音を付けつつ
完成した腕輪を高く掲げた。
早速装備し、魔力を流してみた。
「あれ、全然減らない。」
10秒経過してもMPが減らない。
俺の反応にクリッピノさんは満足げに頷いている。
「あ、減った。」
MPが1減るのに15秒程度かかった。
1分で4、1時間で240、
と言うことは10時間位使える。
「クリッピノさん、最高だよコレ!」
「うんうん。頑張った甲斐があったの。
ほら、早く行くの。」
「分かった行ってくるね。
ありがと、クリッピノさん!」
「行ってらっしゃいなのぉ~。」
手を振るクリッピノさんに送り出され、
コマアールのダンジョンへと向かった。
★コマアールのダンジョン 21層★
魔素遮断の腕輪と以前もらった特別なお守りに魔力を流す。
HPに変化は無い。問題なさそうだ。
21層を探索する。
モンスターの出現は皆無。
夕方4時過ぎ、22層への階段を見つけ、
先へ進んで帰還陣に乗って脱出した。
これで明日は22層からスタート出来る。
ヒワディーア山の管理事務所へ訪れたのだが、
クリッピノさんはあれから爆睡中との事だった。
クリッカーさんに今日の結果を伝えてもらう事にした。
【8月10日】
8時30分、コマアールのダンジョンに入るための
転移陣の前には順番待ちの人だかりが出来ている。
もし防護服が必要だった場合、
転移陣に乗る前に装備しなければならなかった。
そうなっていたら、めっちゃ恥ずかしかった。
魔素遮断の腕輪だけで済むのはマジで良かった。
最後尾に並び数分後、腕輪とお守りに
魔力を流しながら転移陣に乗った。
★コマアールのダンジョン 22層★
魔力を流しているお守りの効果で
モンスターは全く近づいてこない。
次の層へ進む階段を探す。
午後1時過ぎ、遂に発見し23層へと進んだ。
★コマアールのダンジョン 23層★
この層に大蛇の宝珠があると、
ケービヨンで出会った変な占い師、松山桃香が言っていたが、
いきなり目の前にボスの部屋という訳でもなく、
大蛇の宝珠が置いてあるという訳でもなく、
21層や22層と変わらなかった。
本当にここにあるのだろうかと不安に思ったが、
徹底的に探してみようと虱潰しに探索した。
夕刻、目の前には今までとは異なる扉が有り、
近くには帰還陣がある。
如何にも怪しい。
ディテクトで反応を調べるも反応は無い。
この扉が阻害しているのか、本当に何もないのか。
MPの使用を控えるため乱鬼龍の剣を装備し、
意を決して扉を押し開ける。
錆びた扉を開けた時の軋む音が周囲に響いた。
中に入ると奥に一段高くなっている祭壇があった。
そこに寝ていたモンスターが先程の音で目を覚まし、
今にも襲い掛からんとばかりに睨み付けてきた。