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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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松山桃香との出会い

「すいません、どうやら道を間違えたようで。。。」

頭を掻きながら踵を返した。


「いえ、間違ってないのです、

カミナガ ナオヒトさん。」

一歩踏み出したが、その場で固まる。


この世界、すなわちゲーム内での名前は「なおと」に

しているし、そもそも苗字は使っていない。


「どうして?」

なぜ個人情報を知っているのだろうか?

睨むように女性を見る。


「まあまあ、取り敢えず座って、話はそれからなのです。」

しぶしぶ対面に座った。


「まずは自己紹介なのです。

松山 桃香、果物のモモの、かおるでトウカ、

桃香とうかちゃんて呼んでいただいて構わまないのです。」

「はぁ、、、で。」

テンションの高い自己紹介に対して、腑抜けた返事をし、

理由を問い掛ける。


「何か冷たいのです。」

「俺の事は知ってるんだろ。

ていうか、どうして知ってるんだよ。」

「それは桃香ちゃんにはアカシックレコードに

アクセスする権限があるからなのです!」

1を現す様に、びっしっと人差し指を立てて

立ち上がり顔をラップトップより前に出して強調してきた。


「何だそれ?」

ゆっくりと元の位置に座る桃香に問いかけた。


「あらゆる情報にアクセス出来るのです。

そして今日、あなたがここに来ることも把握していたのです。

(いずれ・・・・・・なるのです。)」

「え?」

最後が小声でボソボソとはっきりとは

聞き取れなかったので聞き返した。


「すなわちっ!あなたが探している物の

場所も知っているのです!」

再びびっしっと人差し指を立てて

座りながら顔だけ近づけてきた。


「それって、大蛇の宝珠の事?」

「そうっ! なのっ! ですっ!」

椅子から立ち上がり、3段階に分けて迫ってきた。


「じゃ、早く教えてよ。」

「タダと言う訳にはいかないのです。」

「んだ、金取んのかよ。」

「いえ、お金は結構なのです。

ただん~、そうですねぇ~、うん、

代わりにそのチョーカーをよこすのです。」

顎に指を当てながら俺の身なりをジロジロと物色すると、

その指を俺の首元へ向けてきた。


ハイルートで貰ったサブスチのチョーカー、

効果もさる事ながら、見た目も気に入ってずっと着けている。


「やらねぇよ。」

チョーカーを隠す様に首元に手を当てた。


「っふ、知ってたのです。」

一瞬鼻で笑いやがった。何かむかつく。


「なので、近くで見せてもらえればいいのです。」

大きくハードルを下げてきた。


「まぁ、見せるだけなら。」

妥協すると、右手を広げて出してきた。


「デスクが邪魔で見えないから渡せと。

ってかパクらんよね?」

「どうやって持ち去るのです?」

彼女の周りは袋小路の雑木林で、

唯一動ける正面にはデスクが置かれ、更に俺がいる。


万が一、雑木林に逃げるにしても、

このデスクとラップトップを置き去ることになってしまうか。

リスクは無いと判断し、首から外して渡した。


「ほうほう。あは。」

チョーカーを目の前に吊るす様に持ち、

クリスタルの中の人の模型を見て喜んでいる。


 キラッ

一瞬光った気がした。

「ん、何かした?」

「へ?」

何を言ってるんだという顔をして首を横に傾けた。


そして、また光ったように見えたが、

揺れてモニタの光が反射したみたいだ。


「いや、何でもない。そろそろ返しいてもらえる?」

返してもらったチョーカーのクリスタルの中を

確認し、再び身に着けた。


「んで、大蛇の宝珠はどこにあるの?」

「コマアールのダンジョン、23層にあるのです。」

意外とあっさり教えてくれた。


「なるほど、とんだ時間の無駄だったみたいだね。

あそこは20層までしか無いよ。」

椅子から立ち上がり、彼女に背を向け、

1歩、2歩と進み始めた。


「本当に存在しないのです?」

更に1歩2歩と惰性で進み、歩みを止めた。


21層は毒気が漂っていて立ち入るのが難しいだけで存在はしている。

いやむしろそのせいで、その先へ誰も立ち入ろうとはしていない。

ん、という事は・・・


「もしかして、」

振り返り、先程デスクが置かれている場所を見たが何もない。

さっきまで座っていた場所まで戻るが、

ただスペースが空いているだけ。


「ん?」

その真ん中に1輪の花があり、拾い上げた。


「マンシャゲの華・・・」

空を見上げ一言つぶやいた。


周囲を確認するが人の気配はない。

「どうなってるんだ・・・」


右手に持ったままのマンシャゲの花を指で

クルクルと回しながら来た道を戻った。


「ヒワディーア山。」

手元の花を見ながら呟き、振り返って細い道の入り口を眺める。


松山桃香、幻覚だったのだろうか。

不思議な感覚。


この時の俺はまだ知らない。

これから彼女と長い付き合いになる事を。


マンシャゲの花をアイテムボックスへ仕舞い

集合場所のギルドへ向かった。



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