表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
148/186

クヌキの祠 40層 ~ 玄冥亀(ゲンメイキュウ)の頼み ~

「サンダー! サンダー! サンダー!」

暫しの攻防の末、最後にサンダーを3連発咬ますと、

漸く玄冥亀は魔素へと還った。


「はぁ。終わった。」

膝に手を当て中腰になりながら、ステータスを確認すると

HPが3000を切っていた。

毒状態のまま戦っていた影響が大きい。


「キュア!」

解毒すると、HPの減少が止まった。

部屋の中央が輝き、玄冥亀が再び姿を現した。


『合格!』

仮装大賞の司会者みたいに一言。

玄武の刻印を手に入れた。


『先刻、大蛇の結界へと申しておったが、

早よ助けてやってくれぬか。』

玄冥亀の声が、直接頭の中に響く。


「助ける?」

意味が分からず、首を傾げる。


『ここより南に元来の力を失いし大蛇、武帝蛇がおる。

そやつのパワーが年々弱り、あまり時間は残っておらぬ。

失われた力を見つけ出してくれぬか。』

「失われた力を見つけるって何かの物なの?

手がかりとかヒント教えてよ。」

『・・・・・・知らんっ!』

玄冥亀は少し考えた後、はっきりと言い切った。


「えっ?それでどうやって探すの?」

『すまぬ、、、余もここから出ることは出来ぬ故・・・』

玄冥亀は甲羅の中に頭を隠してしまった。


「はぁ・・・」

こりゃ、見つけるのは無理だろうと溜息吐き、

次の層へと進もうと数歩進み始めた。


「あ、そう言えば大蛇の宝珠って関係ある?」

ふと導きクエストの事を思い出し聞いてみた。


『ほう、それっぽい。して、それはいずこに?』

頭を出し、キラキラとした目で見てきた。


「・・・知らんっ!」

先程の玄冥亀を真似てみた。


『・・・・・・』

「・・・・・・」

お互いキョトンとして顔を見合わせる。


『ま、まずはその宝珠を探してもらえぬか。』

「ああ、とりまそうするよ。」

『うむ。では頼むぞ。』

玄冥亀が大きく頷くと、淡い光に包まれて消えてしまった。


まだ時間は早い。

奥にある41層へと続く階段へと進んだ。



今日も寄り道をしてからギルド前に行くと、

ララリリ姉妹が既に待っていた。


「首尾よく終わったのかしぁ?」

「お陰様で。」

「あらそう。」

素っ気ないララだけど、

会うなり一番に聞いてきたというのは

気にかけてくれていたという事だろう。


「あ、それでさ、刻印を得た後に、

失われた力を見つけてくれって言われなかった?」


「言われたかしぁ?」

全く記憶に無いのか、リリに聞いた。


「何の手掛かりも無しに無理難題を押し付けてキタかと。」

「ん~、記憶にないぁ。」

「もう十年以上前の事デスから。」

玄冥亀の頼みは無理難題として

気にも留められなかったようだ。

一瞬俺もそう思ったわけだし。


「大蛇の宝珠って聞いたことある?」

「それは以前パワルドが聞いてきたお宝のことかしぁ?」

「ん~・・・」

腕組みして頭をゆっくり左右に揺らす。

同じなのかもしれないし、違うかもしれない。


「分からん。」

「なんかフワッとした話ね。」

「いずれにしても、結界の中で何かを下げなければ

先へは進めまセンし、彼らが刻印を得るまで待ちまショウ。」

リリが見つめる先にはニャルマーと

急いで駆けてくるパワルドの姿があった。



【7月15日】

玄武の刻印を得て1週間、情報収集した。


スプリングハールはまだ刻印を得ておらず、

ステータスとして今後挑戦したいと言っていた。


ブレイバーズは刻印を得て、暫くは玄冥亀の言う

失われた力について調査したが、

結局分からず、話をするまですっかり忘れていた。


ギルマスのユピレスにも聞いたが、

自分がケービヨンに来てから大蛇の宝珠というのは

初めて聞いたとの事だった。


そしてニャルマーも丸菱デパートで探してくれ、

残念ながら売っていなかったと真顔で教えてくれた。

そりゃそうだろうと思いつつも、丁重にお礼を伝えた。


手詰まりを感じつつ、最近は召喚獣のレベリングしている。

午後7時半、クヌキの祠を後にして例の串焼き屋を目指す。


俺が刻印を得て以降、パワルドとニャルマーの強い希望で、

午後9時に集まるようになった。


買い食いしてのんびりと街ブラしてから

ギルド前へ戻るのが日課になりつつある。


通行人の邪魔にならないよう、所定の場所で食し、

見慣れた街並みを歩み始めたが、ふと気になる道があった。


「あれ、こんな所に道なんかあったっけ?」

串焼き屋から30メーター程しか離れていない場所の

左側の雑木林の中にぼんやりと光る小道がある。


普段はもう少し先を右に曲がるか真直ぐ進んでいる。

まだ時間はある。

小道を進み始めた。


2,3分歩っただろうか、何度かカーブし元の道はもう見えない。

だんだん気味が悪くなり、戻ろうかと思ったタイミングだった。


「お、漸く来たのです。さ、こちらに座るのです。」

道はまだ続いている。


通りから隠れるように茂みの中に1メータ四方のデスクが置かれ、

その奥に占い師の恰好をし黒いフードを被った女性がいた。


ただ、デスクの上には水晶ではなく、

ラップトップ型のパソコンが置かれ、

電源コードは地面にぶっ刺さっている。


真ん丸の大きな眼鏡を掛けた女性の対面には

椅子が置かれ、そこに座るよう手で促している。


っていうかこれ、絶対関わっちゃいけないやつだろ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ