かじられ青リンゴの大逆襲10 ~ かじられ青リンゴを相手しながらのデカモン戦 ~
玄武黒北の爪を装備し、
殴る、殴る、殴る、蹴る、蹴る、蹴る。
13人全員が一丸となり攻撃を仕掛ける。
デカモンはエロ目になり、ニヤニヤしている。
そして、右から左、左から右へと
舐め回す様に得物を狙うがごとく周囲を見回す。
何度見ても気色悪い。
そして、例の動きが始まる。
何かを取って、手元に置いて押し出す様な動作。
右側と左側に向けてスピーディーに行い煽って来る。
次に仕掛けてきた種攻撃をバリアで弾く。
「パワルド、後ろから来るぞ。」
ディテクトの反応が近づいて来ている。
現れたかじられ青リンゴをパワルドと共に相手する。
ドスン!
デカモンはスニーザズのいた場所で尻もちを搗いている。
ここを目掛けて飛んで来たら、避けれたか自信がない。
ニャルマーとララリリ姉妹はデカモンに駆け寄っていく。
俺とパワルドだけ少し離れた状態になった。
「もう一つ反応が近づいてる。
パワルド、ここは頼む。」
「おう。」
更にデカモンから離れ、反応がある場所に近づく。
「ウインドカッター!」
まだ姿は見えないが、
テリトリに入ってきたので先制攻撃する。
近づいてくる速度が一気に上がった。
「ウインドカッター!」
目の合ったかじられ青リンゴにもう一発放つ。
ダメージを受けながらも突進してくる。
視線を逸らさず、どっしり構え迎え撃つ。
「玄武雷刻黒拳!」
かじられ青リンゴは鈍い音と共に飛ばされ、
木に背中を打ち付けるとその場で魔素へと還った。
【RESULT】が2つ表示された。
パワルドに託した分も倒し終わったようだ。
ディテクトの反応は更に離れた場所にあるが、
無視しても大丈夫だろう。
「あれ?早ぇな。」
デカモンとは反対側、ディテクトの反応がある方を
見ていると、助太刀にパワルドが駆けつけてくれた。
「まあね。この先にもう1体いるけど、
無視して大丈夫だろう。それより、早く戻ろ。」
「お、おう。そうだな。」
怪訝な顔をしているパワルドと共に、
デカモンの場所まで小走りする。
流石にほぼワンパンはやり過ぎたか。
現状、ニーザズの4人がかじられ青リンゴを相手している。
全員デカモンが視界に入るように立ち回っている。
そして、もう1体。
ニャルマーとリリがデカモンを背にして相手し、
その背を預かるようにララがデカモンと戦っている。
「飛んで来ぅわよ。」
デカモンは口をモゴモゴし始め、
ララが背後の2人に伝える。
ニャルマーとリリが左右に離れ、
デカモンが種を飛ばし始めた。
ララは種攻撃を躱し、
ニャルマーとリリは盾で受け流している。
ララが躱した種はかじられ青リンゴにヒットし、
2人が受け流した種の幾つかもヒットしている。
「器用な事してるな。」
「確かに凄いね。あ、そこ、もう一つ近づいて来るよ。」
ニャルマー達に近づく反応を示しパワルドに教える。
「アイツらだけじゃヤバいな。俺達でやろうぜ。」
「そうだね、なら急ごう。」
カーブを描く様に行き先を変更し、速度を上げた。
新たに出現したかじられ青リンゴをパワルドと相手する。
現状、デカモンと3体のかじられ青リンゴを
13人で対応している。
スニーザズの4人が1体、
ニャルマーとリリで1体、
デカモンとニャルマー達の相手している
かじられ青リンゴの倍くらい離れて、
俺とパワルドで新たに現れた3体目を相手している。
結果的にデカモンの相手をしているのは
ララとスプリングハールの5人だけになっている。
やむを得ないか。。。
ここまではデカモンの種は飛んでこないが、
2体同時に相手したくないので、
更に離れる様に誘導しつつ攻撃する。
程なくしてスニーザズ、そしてニャルマー達は
かじられ青リンゴを倒し、デカモン討伐へ復帰した。
俺たちも一気に片付け、復帰する。
13人全員での攻撃は長くは続かなかった。
スニーザズの近くに2体のかじられ青リンゴが現れた。
リッシュとウースイもその対応に加わり、
残った7人でのデカモン対応となった。
「グギャァァーーー!!!」
途中でユピレスも加勢してくれたが、
かじられ青リンゴがひっきりなしに現れ、
終わってみれば、4時半を回っていた。
「はぁ、やっと終わった、、、けど、どうする?」
「ん~ん・・・」
パワルドは唸りながら、外壁との中間あたりを
腕組みしながら見ている。
3時頃突如現れた光柱が今はない。
ちょいちょい気にして見ていたが、恐らく4時半に消えた。
すなわち、もうデカモンが現れているという事になる。
ただ、今ので精神的にも肉体的にも正直限界がきているのは、
ここにいるユピレス以外の13人は同じ気持ちだろう。
なかなか、外壁の方へ足が進まない。
「向こうは他のパーティに当たらせてるから大丈夫だ。
まさかここがこんな状況になってたとは。
よく持ちこたえてくれた。」
ユピレスは足取りが重い俺たちを労ってくれた。
彼自信もひっきりなしにやって来るかじられ青リンゴを倒しながら
デカモンを相手することになるとは思っていなかったようだ。
その甲斐あって現状周囲にはかじられ青リンゴはいない。
「ははは、じゃ、ちょっと休ませてもらおうか。」
「そうだな。」
だらしなく、2人でその場に座った。
「情けないぁね。」
ララは卑しいものでも見るかのように呆れていた。
一緒に来たリリとニャルマーはクスリと笑っている。
事実で何も言い返せず、パワルドと苦笑いするしかなかった。
「よし、体力が残っている者は俺と一緒に行くぞ。」
ユピレスの言葉に3人はギョッとして顔を見合わせている。
「あぁしも疲れたし、ちょっと休もうかしら。」
「お姉さまが休むなら私も。」
「じゃ、じゃあ、アタシも。。。」
3人がゆっくり腰を落ち着けると、ユピレスは
「あれ?」と拍子抜けした表情でその様子を見ている。
ララはギッとユピレスを睨み返した。
「ま、まぁ構わんが、そろそろ
俺はあっちに加勢しにいくよ。」
ユピレスは逃げるようにここと外壁の中間にいる
デカモンの下へと駆けていった。