岩山への下見 ~ モローさんとオゴセさんを加えた8人で行ってきます! ~
小説家になろうに多々ある中、アクセスして頂きありがとうございます。
自分でもこの小説の名前を知らない状態でアクセスできるか試してみたのですが、
なかなか見つかりませんでした。
本当に、見つけて読んでくれて感謝です!
毎週水曜日にアップできるよう頑張ります。
【9月2日】
翌朝、出発の準備を整えているとワザヤミーさん宅に、誰か訪ねてきた。
マヤカさんが出迎え、話をしているようだったが、次第にその話声が近づいてきた。
そしてノックをしながら、
「おはようございます。ちょっとよろしいでしょうか?」
と、俺たちの部屋を訪ねてきた。
「どうぞ。」と答えると、60歳くらいの男性二人を連れて、俺たちの部屋へ入ってきた。
その声を聞きつけて、ニャルマーたちもそのすぐ後に入ってきた。
「おはよう、俺はモローだ。よろしく。」
と握手を求められたので、「直人です。よろしくお願いします。」と握手をした。
他のメンバーとも握手をし終えると、もう一人の男性が
「俺はオゴセだ。俺たちも今回の件に参加するから、よろしくな。」
と、同様に握手を求めてきたので、全員握手をしながら自己紹介した。
丁度、挨拶が終わったころ、「よう、早かったな。」と言いながらワザヤミーさんが
俺たちの部屋へ来た。先ほどまで庭で運動をしていたらしく、少し汗をかいていた。
マヤカさんが呼びに行ってくれたようだ。
「で、昨日言ってた応援がこの5人なんだろ。」
オゴセさんは、その場に座りながら、ワザヤミーさんに確認をした。
「ああそうさ。もうそれぞれの紹介は終わったんだろ。」
ワザヤミーさんもその場に座りながら答えた。
それを見て俺たちもその場に座った。
皆が座ったのを見て、ワザヤミーさんが
「今回の飛竜の件は、この8人で対応する。よろしく頼む。」
と改めて宣言した。するとモローさんが、
「俺たち3人は弓を使えるが、おめぇさんたちは大丈夫なのか?」
と俺たちの方を見ながら、確認してきた。
「俺は魔法で対処する予定ですが、他のメンバーは弓で対処します。
魔法スキルは38なので、大丈夫かと思います。
他のメンバーの弓のレベルは、パワルドが29、シガンが36、ナナが34、
そしてニャルマーが26です。」
「まぁ、今回は追い払うだけだし、それ位のレベルで問題ないだろ。
俺たちも昔冒険者をやってたけど、弓術のレベルは30くらいだしな。」
俺がみんなのスキルの状況を答えると、オゴセさんは納得してくれた。
「まぁ一線を退いてから大分経つし、俺たちが足をひっぱらねぇようにしないとな。
それでまずは、近くで互いの弓術の腕を確認したいと思うんだがどうだ。
その後、現地で下見をしながら作戦を話し合って、明日決行としたいんだがそれでいいか?」
ワザヤミーさんが今後の予定を伝えると、俺達は皆頷いた。
「よし、じゃあ9時出発で行こう。俺も着替えたいしな。」
ワザヤミーさんは言いながら立ち上がり部屋を後にし、モローさんとオゴセさんも続いた。
ニャルマーたちも「それじゃ準備してくる」と部屋を出て行き、俺たちも準備しはじめた。
9時少し前に玄関の前に皆集合し、「よしそれじゃ行こうか。」とワザヤミーさんが先導し、近くの林へ入った。
林に入って5分くらい歩った所に岩肌がむき出しになっている崖の真下部分にたどり着いた。
ワザヤミーさんが古びたシャツを取り出し、その岩肌に広げながら引っ掛けた。
「悪いが的らしいものが用意できなくて。これを的代わりにしてくれ。」
皆の弓術スキルを確認するための的が急遽用意され、20メーター位下がったところで地面に線を引き、
ワザヤミーさんが弓を構え、5本連続して射た。
1本目はシャツの左肩部分に、2本目はシャツのど真ん中に、3本目は右下部分に、4本目は右肩部分に、
5本目はもし頭があればそこに見事に当たった。ただ、本人はシャツを狙ったと言っているが。
次に、モローさんとオゴセさんが挑戦し、5本中4本を的となっているシャツに当てた。
俺が試すよう勧められたが、魔法で対処するからと一旦パスさせてもらい、パワルドに譲った。
パワルドは5本ヒットさせ、その次に挑戦したシガンさんは5本を比較的中心にヒットさせた。
シガンさんはうちらのメンバーの中でも一番スキルレベルが高いだけの事はあり、さすがだった。
次にニャルマーが挑戦し3本当て、最後に挑戦したナナさんは4本当てた。
ニャルマーも2本外したとはいえ、2本とも僅かに外れた程度で、問題ないと判断された。
最後、俺がボロボロになったシャツを指差し「あのシャツはもう不要ですよね。」とワザヤミーさんに確認し
了承を得た上で、皆が弓を射ていた線の位置に立ち、ウインドカッターを唱えた。
意外に遠く感じたが、シャツは胸の辺りで横一直線に切られ、下半分が地面に落ちた。
さらにファイアボールを使い、残っていた上半分を焼き尽くした。
皆が感心しながら拍手で俺を出迎えてくれた。
「皆お疲れさん。実際はもっと的は大きいからこの位の実力があれば大丈夫だな。がははは。」
ワザヤミーさんは笑いながら俺の背中を叩いてきた。
それと同タイミングでモローさんとオゴセさんが的となっていたシャツと岩肌に当たってだめになった矢を回収し始めた。
シガンさんはゴミを回収しに行った二人に気付き、駆け寄って3人で的の周囲をきれいにしていた。
俺達5人も的の方へと歩いていき、モローさんの所に着いたときにはほとんどきれいになっていた。
「そんじゃ、皆の弓術レベルがわかったところで、下見に行くか。」
ワザヤミーさんは親指で山のほうを指差し、歩き始めた。
俺とワザヤミーさんが先頭で、その次にオゴセさんとパワルド、3列目にナナさんとニャルマー、
最後にモローさんとシガンさんというペアで話しながら向かった。
「飛竜はこの岩山の山頂付近にいる。といっても標高300メーター位だから、
大体20分位で着けどな。まぁ今日は下見だから、ゆっくり行こうや。」
「そうですね。でも今日も飛竜がいるかも知れませんよねぇ」
ゆっくりと言っても、飛竜が襲ってきたら悠長なことは言ってられないだろうと思い聞いてみた。
「多分1匹はいるだろうな。でも、近づきすぎなければ大丈夫だろう。あははは。」
と笑いながら答えてくれたが、俺は心の中で「居るんかい!」と突っ込みを入れていた。
「それはそうと、うちの息子の会社に出資して助けてくれたそうで。ありがとな。」
「いえいえ。俺は金は出しましたけど、ほとんどタークハギさんに丸投げなんで。」
「あの会社は元はマヤカの親父さんが作った会社で、ヤエンダ鉱業といったんだけどな。
息子たちが小さいときによく連れて行ってなぁ。それが縁で15歳位からあいつらあそこで働き始めたんだよ。
けどな、7,8年くらい前にヤエンダの親父が鉱山で事故にあって亡くなってな。
それを期に会社が傾き始めて、一旦を閉じざるを得なくなったんだけど、2人が頑張って復活させたんだよ。
まぁその後も、いろいろ苦労してるみたいだけどな。」
「そんな過去があったんですかぁ」
俺はタークハギさんたちの苦労を知り、改めて出来る限りの支援をしようと決めた。
その後もタークハギさんの子供の頃の話などを聞かせてもらいながら岩山を上り、
中腹に近くにつれて飛竜の鳴き声が聞こえ始めたが、それをスルーして山頂を目指した。
山頂に付近に着くと足元は岩なのでごつごつしているが、あまり傾斜はなく辺りと比べると安定している。
岩山なので、背の高い草もあまりなく、よく回りが見える。
「こっち側の30メーター位下った場所に巣があるはずだ。」
ワザヤミーさんが南側の斜面を指差しながら、巣のありかを教えてくれたが、
山頂からだと窪みで隠れてしまい目視は出来なかった。
「明日は二手に分かれて対処したいと考えている。
俺たち3人にレベルの高いシガンさんを加えた4人が窪みの上から対処して、
残った4人が東側から対処してくれ。
最終的には、飛竜は町とは反対の西の方へ追いやりたい。」
続けてワザヤミーさんは明日の作戦を話し始めた。
「もし、飛竜がお前たちを襲ってくるようなことがあったら、すぐに逃げろ。
俺たちが上から攻撃してこっち気を引かせるから。
逆にこっちに向かってきたら、、、ま、何とかなるだろう。。。な。
すぐにどっかへ飛んで行っちゃうだろうし。。。」
それを聞いたモローさんとオゴセさんはやれやれといった感じだった。
その後、下山時に明日俺達が待機する予定の場所へ立ち寄ってから村へ戻った。
次回、飛竜と対峙します。