かじられ青リンゴの大逆襲6 ~ デカモン2戦目 ~
「どぉしてギルマスのあぁたがこんな所にいるのかしぁ?」
ララとギルマスのユピレスは犬猿の仲という訳ではないが、
睨み付け刺々しく問いただした。
「はぁ、相変わらず手厳しい。
折角、応援に来てやったのによ。」
「えっ、応援?」
ニャルマーはわざとらしく額に手を当て
庇の様にして先を眺めた。
「残念だが探しても他はいないよ、嬢ちゃん。俺一人だ。
生憎、人員に余剰は無い。ま、猫の手程度には役に立つだろ。」
「元はブイブイ言わせる凄腕冒険者だったのに、謙遜しちゃって。」
ブイブイって、リッシュは面白い言葉を使うなぁ。
「昔のことは言うんじゃねぇ。
それより、いつだアレは?」
ユピレスは恥ずかしがりながら話題を変え、
紫のオーラを指す。
だが、俺とニャルマーは紫のオーラではなく、
茂みの方を見ている。
ディテクトの反応が近づき、
気付いたのは他に耳の良いニャルマーだけ。
木が邪魔。もう少し移動してくれれば。
「昨日と同じ正午だったな。」
俺たちの様子を気にかけたパワルドが返答し、攻撃態勢を取る。
空気が一瞬張り詰める。
「ウインドカッター!」
風の刃がかじられ青リンゴにヒットする。
そして風の刃の後を追うように、
ニャルマーを筆頭に4人で一斉に攻撃を開始する。
別のかじられ青リンゴが近づいてきた。
ブレイバーズの4人も気付き、
フィアスタ、セカンディーノ、フォースンと攻撃を開始した。
「しかし、雑魚相手にしながらメガモンてもの
楽しそうだねぇ、ククク。」
残ったサーディーはシルクハットを少し持ち上げ、
所定の位置に戻すと、嫌味たらしくあざけり笑った。
「何とかなる。俺は今、確信した。」
ユピレスはパワルド達の戦いを見ながら
希望を見出し大っく頷いた。
かじられ青リンゴを倒したパワルド達が戻り、
遅れてブレイバーズの3人も戻ってきた。
「んで、どんな策なんだ?」
先ほどまで嘲笑うような顔つきをしていたサーディーが
声を落として真面目にユピレスに尋ねた。
「デカモン相手はこのメンバーを主力で行く。」
「ククク、俺たちゃ構わねぇぜ、それでも。」
「それだと他のパーティから文句出ねぇかな?」
他のパーティは雑魚狩りになってしまう。
パワルドはそれを気にかけていた。
「1位と4位、2,3位と5位のいるパーティ以上に
やれるってのがいるなら変えてやる。」
ブレイバーズとララリリ姉妹は元から一目置かれている。
一方でランキングにも入っていないパワルドは
一抹の不安を抱いていた。
「それに、周囲のを倒してもポイントは付されるし、
ある程度雑魚狩りが進めば、デカモンに回していく。
不満は出ないだろう。」
ユピレスはパワルドに向けて補足した。
「苦情、イチャモンはギルマスさんに任せて、
デカモンに集中しようぜ。」
リッシュは言い終わると同時に、
背後に現れたかじられ青リンゴに切りかかった。
「時間まで減らせるだけ減らしておこう。」
茂みの中にいる別のかじられ青リンゴに
ウインドカッターを放った。
開始時間まで可能な限り、かじられ青リンゴを倒した。
ギルマスのユピレスは、他のパーティーに話を通し、
メガモンの周囲に布陣した。
タイマーは残り30秒。
槍を装備したユピレスをセンターに、
右側にブレイバーズ、左側に俺たちがいる。
昨日と同じように、バフを掛け始める。
サーディーも同じようにバフを掛け始めた。
残り10秒。
魔法陣の中のかじられ青リンゴが煙の様に魔素へと還り、
その煙が魔法陣の中心へと集まってゆく。
ここにいる10人、誰も言葉を発しない。
静寂の中、周囲の戦闘音がかすかに聞こえる。
残り1秒。
眩い光が周囲を包む。
そして、、、
「ギャァァァァ!!!」
昨日と同じように奇声を上げてデカモンは姿を現した。
サーディー以外の9人が一斉に攻撃する。
長期戦を見越したサーディーはMP回復薬を飲んでいる。
玄武黒北の爪を装備して、ダメージを稼ぐ。
デカモンは口をモゴモゴし始めた。
一旦距離を取り、バリアを使う。
「ブブブブブブ、、、、」
左方向から右方向へデカモンは種を放ち、
内3つが半透明のバリアに当たる。
ブレイバーズはユピレスの近くに集まり、
フォースンが先頭に立ち盾を構えている。
デカモンは中央付近まで種を飛ばすと、
そこから左方向へと種を飛ばし始めた。
なるほど、サーディーが検証したいと言っていたのはこれか。
昨日は、広範囲にわたり種を飛ばしていたが、
今回は途中で止めた。
つまり、人がいる範囲にしか飛ばしてこない。
「、、、、ブブブブブブ」
そして、中央から左方向へ種を飛ばしてきた。
「してやられたか。」
種攻撃をバリアで受けながら
既に攻撃に取り掛かろうとしているブレイバーズを見た。
デカモンが現れる前、サーディに左側を譲られたのは、
そういう事だったのか。
「ギヒヒヒヒィ~」
デカモンは不気味に笑うと、2度ジャンプした。
そして、ゆっくりと左側に傾く。
昨日と同じように、弧を描く様に転がってきた。
パターンは把握している。問題ない。
そしてここから、チャンスタイム!
目を回しているデカモンに一斉攻撃。
殴る、殴る、殴る。蹴る、蹴る、蹴る。
今回は調子に乗って玄武雷刻黒拳を使うことはしない。
デカモンが起き上がり、口をモゴモゴし始めた。
「ブブブブブブブブブブブブブブブブブブ」
「え゛え゛え゛え゛~って、ヤバイヤバイ!」
俺達5人のエリアにずっと種を飛ばしてきた。
バリアがやばいそうなので、
より硬くなるようにイメージして力を込める。
当たるたびに、MPが持っていかれる。
んでもって、ブレイバーズは居ない。
あ、居たけど、ほぼ真後ろにいる。
ユピレスは1人ポツンと先ほどの位置で盾を構えていた。
でも、俺達のエリアだけしか攻撃されなかった。。。
種攻撃が終わり、全員にヒールをかける。
ディフェンスアップをかけてなかったら
きつかったかも。
「間隔開けたほうがいいぁね。」
「確かに。じゃこっちは俺な。」
パワルドはユピレスの近くに離れる。
「んじゃ、アタシも。」
ニャルマーはパワルドの方へ向かう。
「あぁし達はあっちにしぁしょ。」
「はい。おねぇ様。」
ララリリ姉妹は左方向へと離れた。
「ギヒヒヒヒィ~」
また、転がり攻撃からのチャンスタイムか。
本来、次回リリースは3月28日ですが、
4月1日(時刻未定)にリリースします。
タークハギ社とAプリルフル企画社が
何か企てているとの噂が。。。