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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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かじられ青リンゴの大逆襲3 ~ ビゲン、そしてレイド ~



「ウインドカッター!」

山彦効果が発動し、連続した風の刃が

かじられ青リンゴへとヒットする。


最も素早いニャルマーが斬撃を与えるのを確認し、

新たに反応が出た方角へ10メータ程、息を潜めて近寄る。


ウインドカッターを放つと、

かじられ青リンゴは一目散に俺へと迫ってきた。


ディフェンスダウンを使いながら装備を

マテカの爪へと変更する。


迎え撃とうと構えていると、

パワルドが横から飛蹴を放ちカットイン。


「サンキュー、パワルド~。」

礼を言いながら、蹴り飛ばされたかじられ青リンゴに駆け寄り、

右左と連続で拳で追撃する。


かじられ青リンゴの口が膨らみ

嫌な予感がして数歩バックステップで離れる。


案の定、小石大の種を無数に飛ばしてきた。

左腕に装備している盾で弾く。


種攻撃が止むと同時に、パワルドは拳と蹴で攻撃する。

そして、蹴り飛ばした事でできた間合いに入り、

同じように追撃を加える。


「「どりゃぁぁぁ!!」」

俺が左側から上段に、パワルドが右側から下段に

同時に蹴りが決まる。


数メータ飛んだかじられ青リンゴは魔素へと還った。

「「っしゃぁ!」」

二人、ハイタッチ。


「綺麗に決まったぁね。」

先に攻撃したかじられ青リンゴを倒したララが、

パチパチパチと拍手しながらリリ達と来た。


「まぁな。」

パワルドは誇らし気だけど、俺は見られていてこそばゆい。


「この近辺に反応は無いし、先へ進もう。」

テレを隠すように、奥へと進んだ。



夕方7時過ぎ。

辺りは薄暗くなり始めた。

本日の討伐を終了し、トータルポイントは1502となった。


昨日よりエンカウントは多く、

ポイントもより稼ぐことができて良かった。


【5月22日】

昨日と同様、8時過ぎには外壁の外へ出た。


「ちょっと増えてんな。」

パワルドは背を伸ばしストレッチしながら、

疎らに湧いているかじられ青リンゴを指摘した。


「まぁ、カサーナん時みたいに大群じゃないし

何とかなるでしょ。」

「あの硬さで、カサーナ並の大群だと無理よ。」

ニャルマーは当時の事を思い出し、げっそりしている。


「折角来て何も無いより、いいじゃない。」

「そうですよね、お姉さま。

さ、手あたり次第行きまショウか。」

ララリリ姉妹が近くのかじられ青リンゴに攻撃し、

パワルドとニャルマーもそれに加わる。


いつからかララリリ姉妹もポイントが気になりだし

攻撃が積極的になっていた。


ディテクトで検知せずともかじられ青リンゴを

見つけることは容易な状況、

念のため囲まれないよう使っている。


「お、もう1体いる。」

4人が相手しているのとは別の方に、

ディフェンスダウンを使う。


マテカの爪を装備して、パワーアップをかける。

「さて、今日も始めますか。」

一気に間合いを詰め、攻撃した。



【5月23日】

「今日はどれくらい増えてるかな。」

外へ出る扉に手をかけたパワルドは

ポイント稼ぎにワクワクしている。

まぁ、流れ的に増えているとは思うけど。


「・・・」

外に出た俺たちは茫然と周囲を眺めていた。


「ビゲン?」

「ねぇニャル、半減、いや激減っていった方が

正しくないかしぁ?」

「今見えているアレ以外に、

アッチにもう1体・・・だけだね。」

ディテクトの範囲内に2体しかいない。

ララの激減という言葉の方がしっくりくる。


「なぁ、あの紫色っぽい光は何だ?」

馬車道の遥か先で木の高さの倍はある光の柱をパワルドが指す。

「嫌な予感がシマス。」

「さっさとアレ倒して行ってみぁしょ。」

見えているかじられ青リンゴを倒し、

馬車道を小走りで進む。


10分弱で辿り着いた紫の光を放つ場所は、

草木の無い開けた広場だった。

その真ん中に大きな魔法陣が描かれており、

周囲を紫色のオーラが空高く覆っていて、

時折、ビり、ビリビリ、と電気が流れるような音を立てている。


魔法陣の中は数十体のかじられ青リンゴが

中心を見る様に整然としている。


「な、何なんなぉコレ?」

「ヤバイ、それしか言葉にならねぇな。」

「ねぇ、コレコレ!」

周囲を眺めていたニャルマーが俺達を手招きする。


そこには紫のオーラの中程にタイマーが存在し、

カウントダウンしている。


「3時間32分、という事は12時丁度デスね。」

リリはステータスで時間を確認した。


「レイド・・・」

「何だよ兄貴、レイドって?」

「話は後で。直ぐにギルドへ報告しに行こう。」

魔法陣の中にかじられ青リンゴは30体はいた。

ということは、最低でも30体分以上の強さだろう。

俺達だけでは到底かなわない。

できるだけ応援を呼びたい。

越川に戻り、馬車でケービヨンのギルドへ向かう。


ギルドの中では、スタッフがバタついている。

ギルマスのユピレスは誰かと話をしていたが、

俺たちに気付くと駆け寄ってきた。


「西側はどうだ?」

「紫色の魔法陣があって、その報告に。」

「西側もか・・・で、何個ある?」

「1つだけだよね。」

「ああ、そうだな。何なんだアレ?」

皆が疑問に思っていたことをパワルドが質問した。


「時間が来ると、巨大なかじられ青リンゴが出現する。

我々はそれを、【かじられ青リンゴ-DEKA-】と呼んでいる。

昨日、北側で出現して苦戦した報告が上がっていている。」

「さっき、西側もって言ってたけど他の所でも?」

他でも出ているなら応援は期待できない。

不安に思い尋ねた。


「北側に3つ、南側に1つ。ちなみに正午か?」

「ひょっとして他も。」

ユピレスは天を眺めて溜息を吐いてから返答した。

「ふぅ。残念だが、イエスだ。

悪いが西側は今のメンバーで対処してくれ。

南側の余裕は北側にしか回せん。

北側にはウチのスタッフも送り込むがそれでも・・・」

「厳しい、って事ですね。」

首を振るユピレスの言葉に続けた。


「昨日の夜もしくは今朝、ギルドに立寄ったパーティには

情報をシェアしてある。君らを頼りにしてる。」

一つ頷き、俺たちを鼓舞するとユピレスは

奥のスタッフと打ち合わせに行ってしまった。


現状西側を任されている他のパーティと共に、やるしかない。

急ぎ紫の魔法陣がある場所まで戻る。


既に他のパーティーも魔法陣の周囲に集まっているが、

緊張のためか、口数は皆少ない。


「先ほどまでギルドへ報告に行ってたんだろう。

で、どうだった。」

スプリングハールのリッシュが心配そうな面持ちで

メンバーを引き連れてきた。

それ以外のパーティもそれとなく

近づいてきて耳ダンボにしている。


ララたちの所有する馬車がケービヨンに向かうのを見て、

皆、俺たちが報告に行っていると認識していたようだ。


「他の所でも同じのが出てるみたいだね。

残念だけど、俺達だけでなんとかするしか。」

「そうか。」

リッシュは空を仰ぎ見るが、それ以外何も言わなかった。

他のパーティもある程度予想していたようで、

誰も言葉を発さず、全ての顔が明るいとは程遠い表情で散会する。


それぞれ装備を整え、アイテムを確認しながら

時間が流れる。




残り30秒。

パーティ全員にバフを掛けていく。




残り10秒。

魔法陣の中のかじられ青リンゴが煙の様に魔素へと還り、

その煙が魔法陣の中心へと集まってゆく。




残り1秒。

眩い光が周囲を包む。


そして、、、

「ギャァァァァ!!!」

かじられ青リンゴ-DEKA-の雄叫びが響き渡り、

その巨体が姿を現した。

3話連続、冒頭が「ウインドカッター!」でした。

気付きました?

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