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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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【新年特別企画】Special Story ~ The Episode of Yupiles ~

あけましておめでとうございます。

本年も引き続きご愛読よろしくお願いします。


今回は特別企画で、ケービヨンの南のギルドマスタの

ユピレスのお話です。

113話前後のストーリーになります。

【3月19日】

ギルドの仕事はスタッフのお陰で、

俺が関わらずとも日々滞りなく進んでいる。

主な俺の仕事は面倒な客のお相手だ。


そして、今日もまた一人、面倒な男が執務室に来ている。

「あぁ、そういや今ゴドロンパーティーってのが来てるよな。」

話が終わり一度ソファーから立ち上がろうとした

ギルド本部のリーインフは再度腰を落ち着けた。


「すいません。はっきりとは存じ上げないです。」

っていうか、全く聞いたことないし、

ケービヨンに出入りしているパーティーが

どんだけいると思ってるんだよ。

まぁ滅多にフロアに出ないってのもあるけど。


「獣人の女と組んでいる男2人の、

一人はがたいがいいので、もう一人は魔法使いの。」

「その方たちがどうかされたんですか?」

懸命に説明しているのを知らないと無下にはできない。

話の内容を聞いといて、後で受付に聞いてみるか。


「悪いんだけど、暫く留まるよう調整してくれるか。」

「何かご事情でも?」

「ん~、大した理由じゃ無いけど、内密にな。」

リーインフはテーブルの上に乱雑に置かれた書類を

何度か手に取って見ては元の位置に戻していた。


「はぁ、内密ですか。」

「ん、これなんか調度いいな。」

掲示板へ掲載予定だった依頼書を差し出してきた。


「マテカ空間ですか。」

難易度は低いが、2週間拘束されてしまう。


「彼らなら問題ない。俺が保証する。

って事で上手く話進めといてくれ。」

「話てみますが、引き受けるかどうかは

彼ら次第ですよ。」

「うんうん。」

完全に空返事で聞いちゃいねぇな・・・



【3月22日】

「あの鬼人族の2人と一緒にいるのがそうですよ。」

精算を終え出口に向かう彼らを受付が教えてくれた。


「あの2人が誰かと一緒にいるのは珍しいな。」

「最近5人で活動してるみたいです。」

「へぇ~。」

ギルドから出る5人を見ながら2度頷いた。


ゴドロンとかいうパーティーは知らんが、

あの2人が依頼を受けるのはアリだ。


いつも何かと理由を付けて断られてしまうからな。

5人で受けてもらえるよう段取るか。



【3月27日】

ミーティングから自室へ戻ろうと歩いていると、

丁度良かったと言わんばかりに報告書を渡してくる。


「後で確認しておくよ。」

「よろしくお願いします。」

一礼した事務スタッフの後ろに、ゴドロンパーティーの

リーダーがテーブルに腰掛け居眠りしているのが見えた。

あ、話するの抜けてた。


部屋からマテカ空間の依頼書を持参し、

彼の寝ている対面に座り、報告書に目を通し始めた。

大分お疲れのようだし、起こすのも何だからね。


暫くすると、彼のパーティーメンバーがやってきた。

鬼人族の2人とも仲が良さ気に話している。

程なくして俺の視線に気づく。


簡単に自己紹介をした後、マテカ空間の件を話した。

彼らは興味を持ってくれたし、

あとは鬼人族の2人も乗ってくれれば御の字なんだが。


つい視線が彼女たちの方へ行ってしまう。

何度か視線が合うと、彼女たちは俺の思いに気付いたのか、

一緒に行くことを申し出てくれた。


よく分からんパーティーより、

実力を知る彼女2人の方が信頼が置ける。


ホッとしたのも束の間、鬼人族の痛い視線が突き刺さる。

約束も取り付けたし、さっさとずらがらせてもらうかな。



【3月31日】

夕方になるとここ最近バタつく。


今日こそはあのパーティーに話をしなければならないのに、

急遽支社からお呼び出しだ。


支社ってのは、ケービヨンにある3つあるギルドのうちの1つで

ここ南のギルドから歩いて30分程で街の中央にあり、

本部の機能を有している。


ケービヨンの3人のギルマスと、

ギルド本部の3人で打合せが続く。

終わった時には、夜9時を回っていた。


「まいったなぁ~・・・」

「どうした暗い顔して。」

今しがた打合せで同席していたリーインフが声を掛けてきた。


「例のマテカ空間の件、彼らに詳細伝えてないんですよ。」

「でも、約束はしたんだろ。だったら大丈夫だろ。

それより、明日朝一でカリイニットへ戻るから同行してくれ。」

「あの~、人の話聞いてます?」

「お前の部下が何とかするだろ。」

「ならなかったら?」

「それはお前の教育が悪い。」

「はぁ・・・」

溜息を吐き、もうどうにでもなれと思った。



【4月7日】

カリイニットでの用件が済み、朝一で出発する。


「なぁ、ちょっと強引だったのは反省してるから、

そう何度も愚痴るなって。」

事あるごとに『鬼人族にどやされる』と嘆いていた。

リーインフはゴドロンパーティーの3人だけが

マテカ空間へ行っていると勘違いしていた。


カリイニットへ行く道中に鬼人族の2人も

同行していることを知り、その後は恐縮しきりだ。


「これで彼らの機嫌を取ったらどうだ。」

丸菱デパートの優待券を5つ渡してきた。

この人がくれるものは大概丸菱関連のものだ。

丸菱の回し者かよ。


「これで納得してくれますかね・・・」

「それはお前のコレ次第だろ。」

右手を口の近くに持ってきて、喋るジェスチャーをしている。


「もう、分かりましたよ。」

「悪いな。そうそう、俺が糸引いてる事はくれぐれも内密にな。」


お気楽なリーインフはここに残る。

戻るのは、俺だけ。

乗合場所まで1人で歩く。

ふと立ち止まり空を見上げ呟いた。


「はぁ、中間管理職って・・・」

次回は本編に戻り、1月11日リリース予定です。

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