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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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マテカ空間8 ~ 2番目の村エクーの村長スィージュ、そして東の川原 ~

「火属性の攻撃を受ける場合を例にご説明しましょう。

鎧の上下とも火耐性だった場合、75%のダメージ軽減となります。

発生確率は1/49です。」

「100%軽減する訳じゃねぇなら微妙だな。」

口惜しそうにパワルドは嘆いた。


「ご期待に沿えず申し訳ございませんが。

軽減は掛け合わせなのです。」

「なるほど、掛け合わせなんだね。

という事とは、片方だけが一致しても

53%にはならないって事だね。」

「51.5%の軽減になります。

こちらの発生確率は12/49になります。」

「これも2/7ねぇんだな。」

2/7は14/49だから、確かにパワルドの言う通り確率は悪い。


「必要あれば、きちんと計算式をご説明しますが、、、」

これ以上数字を並べられると頭が痛くなりそうと思いながら

隣にいるパワルドを確認すると首を横に振っていた。


「いえ、結構です。」

小さな声でお断りさせてもらった。


「左様でしたか。大概お断りされてしまうんですよねぇ。。。」

説明したかったのだろうか、どことなく残念そうだ。


「取り敢えず、今日の交換は見送りさせてもらうよ。」

「慌てて交換する必要もありませんので、お気になさらず

十分お考えになられてから交換してくださいまし。」

どこの村で交換しても俺たちは同じものを入手できるし、

一方でマテカ結晶も各村々でうまく分配されるのだろう。

でなければ、シューニャの村が最も損になってしまうだろうし。


「それにしても、まだ帰ってこねぇけど、大丈夫なんかな?」

時刻を確認すると、5時半を過ぎている。


「昨日の件もあるし、今日は頑張ってるのかもね。」

結局、3人が帰ってきたのは既に暗くなった7時前だった。



話を聞くと上手く考えたもんだと感心した。

昨日の反省を活かし、昼過ぎに一度村へと帰ってきたらしい。

そうすることで、一度パスコードをリセットし、

0から再度スタートしたそうだ。

多少ロスはあるが、俺みたいに1000超えという

精神的労力を割かなくて済む。

なぜか同じ3桁でも、100台や200台と、500以上だと

後者の方が気持ち的にキツイんだよね。。。

明日以降、俺たちも是非とも参考にさせてもらおう。



【4月4日】

8時半前に、ワンヤオ達率いる5台の人力車が

村長のリンレイ宅前に停まった。

すぐさま準備を整え、最初の村シューニャを出発した。


木々に挟まれ整備の行き届いている平坦な道を

一路進み、9時過ぎには次の村エクーに到着した。


ワンヤオは村長のスィージュ宅まで案内してくれ、

出てきた村長と入れ替わりで、ここでお別れした。


「それでは~、中へ~ど~ぞ~。」

目の周りの模様がたれ目に見える村長は、

ゆったりとした口調と動きで部屋へと案内してくれた。


互いに自己紹介をした後、村長が村の概略と、

今回モンスターを討伐する平原に付いて説明してくれた。


東は大小様々な石が転がっていて、西は砂地の平原らしい。

当然の様にシューニャの時と同じに二手でやる事になり、

俺とパワルドは石の多い東の平原を担当することになった。


最後に次の村、ニイズドーの事を教えてくれた。

ここから北へ道形に30分程歩くと辿り着き、

更に進み突き当りが村長のバイドレッド宅になる。


規模は小さく、その先のサンガティーンとの間にある

集落といった感じらしい。

村長をはじめ、偏屈な人たちが住んでいて、

俺達みたいな外部から来た人を快く思っていない。


別に意地悪をするという訳でもなく、

ちゃんと寝床は提供してくれるそうだが。


もしアイテムの交換をするのであれば、

ここか更にその先のサンガティーンでとの事だった。

一通り話を聞き終え、俺とパワルドは東の平原へと向かった。



「参ったなこりゃ。動きにくくて堪んねぇな。」

川の上流にある川原の様に大小不揃いな石の上を歩く。


「あのポツリポツリと見えるのがそうだよね。」

2,3体が固まって、所々動いている何かが見える。


「近くから手当たり次第行くしかねぇよな。」

「まぁそうなんだけど、あれってパスコードはどうなるんだろ?」

「全部足しときゃいいんじゃねぇのか、多分。」

「まじで。。。」

計算も大変だし、加算される速度もシューニャの倍以上じゃん。


「ねぇ、ニャルマー達みたいに500位で一旦引き返さない?」

「え~、まぁ仕方ねぇか。」

泣きそうな顔に免じて、揶揄いながらも

受け入れてくれた。


いよいよモンスターと対峙する。

エンカウントしたのはニデアルとヨンナノ。

「ロク!」


足し合わせた結果を答えると同時に

パワルドはニデアルをサッカーボールの様に蹴り上げ、

近づいてきたヨンナノに回転しながら裏拳放った。


タイミングが合わず掠っただけで

ヨンナノは驚き後ろへ1歩後退した。

パワルドはすぐさまヨンナノのど真ん中に飛蹴を叩きこむ。


数メータの高さまで蹴り上げられたニデアルは、

地面に叩きつけられ魔素へと還り、

後方に飛ばされて尻もちを搗いたヨンナノも魔素へ還った。


「ほら、言った通りだったな。」

誇らし気の顔のパワルドに対し、

もはや苦笑いするしか無かった。

あぁ、やだなぁ・・・


2体、もしくは3体のグループを次々に撃破していく。

足元は悪く進み辛い中順調に進み、

昨日より早いペースでパスコードは400手前になっていた。

「なぁ兄貴、大丈夫か?」

知恵熱で頭から煙が出ているのを足を止めて気にかけてくれた。


「3桁で3体はやっぱ、キツイよ。」

ほぼ毎回繰り上がりは発生するし、

酷いときには3回繰り上がることもある。


「一旦戻ろう。」

「かたじけない。」

ここは甘えさせてもらう事にし、

村に戻るまでパワルドはできるだけモンスターのいない

ルートを通ってくれた。


「この辺でいいんじゃね?」

シュメーイは柵があって境界が明確だったが、

エクーには明確な基準がない。

ただ、足元は既に普通の土だ。


「そうだな。もしリセットされてなくても、

また戻れば良いしな。」

振り返り再度川原の様な場所を目指す。


「今度は俺が計算担当やるかな。」

「え、いいの?」

「お、おう。任せな。」

パワルドが足場が悪くて嫌になっていたことを知らない俺は、

有難く計算担当を引き受けてもらう事にした。


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