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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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マテカ空間5 ~ 本日の取れ高は・・・ ~

「あ~、あれね。パスコードを頭から

計算したかったからなんだけど、意味分かる?」

「頭っから?」


「パワルドは一の位から計算してたよね?」

「そりゃ、繰り上がりがあるかも知れないからな。」


「確かにそうなんだよね。書いて計算してる分には、

一の位から計算しながら書けば良いけど、

今回の場合だと、一の位、十の位、百の位って計算してから、

百の位、十の位、一の位って言わなきゃいけないんだよね。」

「ちょっと面倒だけど、これが普通じゃねぇかな。」


「だから、俺は十の位と一の位で分けて計算してたんだよ。」

「んん?具体的にはどういう事なんだ?」

パワルドは俺の計算方法に興味深げで、歩きながら説明を続けた。


「んっと~、まず一の位を足したら

繰り上がるかどうかは直ぐに分かるよね。」

どう説明したら良いか悩み、順序だてて話すことにした。


「そりゃ問題ねぇな。」

「んじゃ、繰り上がらなかったら十の位までは前と同じ数字を言って、

一の位だけ足せば良いよね。」

「繰り上がらなかったら俺だって余裕だけどな。」


「そう、問題は繰り上がる時なんだよね。

その時に、十の位と一の位で分けて考えるんだよ。

最後の574のパスコードを例にとると、

570と4といった感じにね。

んで、570の方に10を加えて580までは言っちゃって、

最後に一の位から補数を引けばOKって感じなんだけど。」

「ほすう?」


「足して10になる数ね。」

「何か逆に面倒臭そうに思うけどな。」


「まぁ慣れだよ。」

昔習っていた算盤を思い出し、空中に574と弾く。

そして、一の位の珠を2つ下げ、

十の位の球を1つ上げるように指を動かした。



「意外と早かったな。」

「あと20分ちょっとあるね。

けど俺のメンタルいっぱいいっぱいだったし、

丁度良かったよ。」

「そぉかぁ~。」

物足りなそうにしているパワルドを尻目に、

柵の杭にもたれかかった。


パワルドは軽くジャンプしたりストレッチして

空手の型の様に幾つもの技を繰り出し時間を潰していた。


暫くその光景を眺めていたが、

退屈だったので見様見真似で体を動かしてみた。


「んん、全然なってねぇな。

ここはさ、こういう風にやってみな。」

パワルドは手本を見せつつ、熱血指導が始まってしまった。

ほんの軽い気持ちで真似しただけなのに。。。


5時近くになり、3人の姿が見えると漸く解放されたのだが、

今日だけでなく時間ができると、

時折レクチャーしてくれるようになったのであった。

ま、勉強になるし、マーイーカ。


出入口を元に戻し、帰路につく。

「ねぇ二手になるのであれば、

北の森と南の森で分れてみない?」

「確かにそれの方が効率的だな。」

ニャルマーの提案に俺の横を歩くパワルドが賛同する。


「だったら、あぁし達が南の森でいいわよ。

人数が少ないあぁた達がこっちの方が良いでしょ。」

パワルドとアイコンタクトし、

「んじゃ、それで頼むよ。」

と、南の森の出入口の鍵を後ろを歩くララに渡した。

そのまま直ぐに鍵はリリの手に無言で渡る。


「あれ、もう読み終えたの?」

鍵をアイテムボックスに仕舞ったリリに尋ねる。


「ええ、大方は。」

「役立ちそうな情報はあった?」


「ん~、微妙デスね。

ほとんどリンレイ村長が仰っていた事デスので。

まぁ歴史的な読み物として思えば面白いデスよ。」

「歴史的って?」


「随分と前に、マテカ空間の事を放置していた時期があって

私たちの世界の各地でゼロジャナイなど大量発生したソウです。」

「それじゃ、ここでも大変だっただろうに。」


「そうでも無いミタイですね。

結界のお陰で村への被害は皆無だったと載ってマスね。」

「ってことはマテカ空間で溢れたのが、転移したってことかもな。」

「確かに、辻褄が合うよね。」


「さてさて、それはドウでしょう。

折角ですし、読んでみたらイカがです?」

リリは態々アイテムボックスからあの分厚いファイルを取出し、

是非読んでみてと差し出してきた。


「あ、ああ、ありがと。」

読む気は全くないのだが、無下にはできず受け取った。


「先読む?」

「え、いいのか。んじゃ、遠慮なく先読ませてもらうな。」

パワルドは嬉しそうにファイルを受け取った。


魔素学の本の時もそうだったけど、

俺と違って活字に抵抗ないんだったっけ。



「村長、ただいま戻りました。」

「おかえりなさいまし~。」

奥から返事が返ってきたので、あてがわれた部屋へと進む。

先ほど打合せした部屋が俺とパワルドで、隣が女性3人だ。


「森の方はいかがでしたか。」

落ち着いていると、部屋に村長が訪ねてきた。


「パスコードも分かったし、俺達だけでも100匹は倒したよね。」

「ああ、ざっくしそんなもんだな。」


「俺たちだけでも?」

「2、3で分かれたんですよ。」

「なるほど、そうだったんですね。で、」

村長は商売人のように手揉みをしながら、

何かを期待するかの如く俺たちの顔色を伺っている。

って、何かあったっけ?


「俺は69個ドロップしたな。」

パワルドがマテカ結晶の数を言うと、

村長はウンウンと頷きながら俺に視線を送る。

それを期待してたのか。

貴重な資源と言っていたのを思い出した。


「俺は67個だけど、どうする?」

俺たちは基本的に別々の財布で各々が資産管理している

個人事業主みたいなもんだ。

今ここで精算しても大した物にはならない。

意見を求め、パワルドを見る。


が、答えたのは村長だった。

「今すぐ引き取りたいという訳ではありませんよ。

どの程度の取れ高か把握しておきただけでして。」

手を横に振りながら慌てて否定した。


「取れ高ねぇ。。。」

趣旨は理解できるけど、言い回しが・・・


次回、ちょっと凄いことに!

キュイン、キュインしちゃいます。

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