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最強の剣を求めて~Another Story~  作者: 遠浅 なみ
第4章 ケービヨン地方
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マテカ空間2 ~ 車力の親分ワンヤオ、見分けの付かないリャンツー、サンセイム、 スーヨン ~

「親分どうしましょう?」

他の3人が先ほどの男の所に集まった。


「そりゃ、ほら、アレだよアレ・・・」

「あの、お取込み中すいません。」

場を取り繕おうとしていた親分と呼ばれる男に声をかけた。


「おお、使者様。遠路はるばる

お越しいただきありがとうございやす。

アッシはこの先のシューニャって村で

コレ引いてるワンヤオってもんですぁ。

んで、まぁ、そのぉ。。。」

「コチラとアレですよね。」

俺たちの人数と台数をそれぞれぐるっと囲むように指さした。


「ええ、ちょっとした手違いが有ったみてぇで。」

ワンヤオは申し訳なさそうに後頭部を右手で抑えていた。


「そんなぉ、誰かが走れはいぃんじゃない。」

「だったら、ここは公正なるジャンケン大会だろう、な。」

ララが助け舟を出し、パワルドの提案に乗ることにした。


「「ジャンケンポン!」」

パーを出したが、バラバラで引き分けた。

「「あいこでしょ!」」

グーを出したが、またもバラバラで引き分けた。

「「あいこでしょ!」」

まだ引き分けるかと思っていたが、

意外にも俺とララがチョキで1抜けした。


「んじゃ、今度は3人だな。」

パワルドは指先を組み合わせて手をグルグル回し気合を入れた。

「「ジャンケンポン!」」

3人バラバラで引き分け。

「「あいこでしょ!」」

「ヤッター!!」

一人パーで勝ち抜けたニャルマーは、飛び跳ねて喜んだ。


「フーッ!」「はぁ。」

パワルドは大きく息を吐き再度気合を入れ、

対するリリからは溜息が漏れる。


「ヨシ。じゃ、いくぞ。ジャンケンポン!」

パワルドの掛け声で行われたジャンケンは、

互いにチョキで引き分けた。


そしてパワルドはタイムを取り、

心を落ち着かせるために息をゆっくり吐きながら

小さく1周回り、リリはその姿をじっと冷静に見ている。


「んじゃ、もう一度。ジャンケンポン!ッシャー!」

グーで勝ったパワルドはそのままガッツポーズになった。


「仕方ないデスね。公正なる勝負でしたし。」

リリはジャンケンのために一時的に左手で持っていた

ファイルを右手に持ち替えた。


「俺が代わるよ。」

あの分厚いのを読んでもらっているのに、

更に1人だけ走ってもらうのは申し訳なく思い

代わることを申し出た。


「え、そんなよろしいんでショウか?」

リリは躊躇っていた。

「ほら、そのファイルを読み進めてほしいしさ。」

「ねぇ、リリちゃんは除外すべきだったんじゃないの?

歩きながらもずっと読んでくれてたのよ。」

ニャルマーは言い出しっぺのパワルドに抗議した。


「ブービーは、あぁたよね。」

「ん~、まぁ、そうだな。あ、そうだ、兄貴。

ちょっと体も鈍ってきたし、

ここは俺に走らせてくれねぇかな。」


女性陣から針の筵のパワルドは

引きつった笑みで申し出てきた。


ララとニャルマーは行かせろと言わんばかりに

顎を動かしている。

ここで俺が走っては、彼の立場が無いだろう。


「んじゃ頼むね。」

「おう。で、あっちの方角で良いんだよな?」

俺に返事をしたパワルドは、ワンヤオへ行き先を確認した。


「ええ、そうでやすが、ほんと申し訳ねぇ。」

「気にするなって。じっとしているより

こっちの方が性に合ってるな。

んじゃ、また後でな。」

パワルドは指二本で敬礼の様なポーズを取ると走り始め、

さっきまでガッツポーズして喜んでいた

その後姿を気の毒に見送った。


「んじゃ、兄貴さんはアッシので。」

自己紹介していないことに気付き、

簡単に互いのメンバーを紹介した。


ワンヤオが紹介してくれたリャンツー、サンセイム、

スーヨンの3人は見た目が同じで、

今は立っている位置で分かるけど、多分見分けが付かない。。。


そして、それぞれペアを組んで最初の村

シューニャへ向けてスタートした。


ワンヤオは始めは走るように加速し、

早く漕いだ自転車位まで速度を上げると

後はピョンピョンと跳ねるように惰性走行を併用しながら進んだ。


10分位で先行して走っていたパワルドを追い越し、

更に15分くらいすると微妙に上り坂になり、速度が落ち始めた。

ワンヤオはピョンピョンと跳ねながら進むのをやめ、

草の上から顔だけ出して人力車を引いた。


小高い丘を登り切ると、今度は緩やかな下り坂になり、

自然と加速されてピョンピョンと跳ねるように進んだ。


そして、目の前には鬱蒼と茂る森が現れ、

シューニャ村と思われる集落も発見できた。


丘を下り初めて10分弱で村の入口に到達し、

降ろしてくれた。

「お疲れさまでした。早いですね。」

リャンツーが下り始めた丘を見ているワンヤオに声をかけた。

「平地はどってことねぇんですけど、

やっぱソコはキツイんすぁ。」

高さは100メータ程で、勾配は緩やかだが、

背丈が倍はある俺達を載せていると

より力が必要になるのだろう。


「大変ですね。」

「これで飯食ってるんでね。

まぁ、あいつらにとっても良い修行になりますぁ。」

突き放すような言い方とは裏腹に、

どこか心配そうにリャンツーを見ていた。


「さて、アッシはパワルド様を迎えに行ってきまやすかね。」

再び梶棒を持つと、ワンヤオは丘の上へと人力車を走らせた。

ワンヤオが丘の上まで辿り着いた時には、

ニャルマーを載せたリャンツーが到着し、

ララを載せたサンセイムは中腹を下っていた。


少しするとリリを載せたスーヨンの姿が見え、

そのスーヨンが中腹まで下ると、

パワルドを載せたワンヤオが現れた。

大分近くまで走ってきていたのだろう。

後で労ってやろうと思った。


「そいじゃ、使者様はアッシに付いて来てくだせぇ。」

村の入口でリャンツー達と分かれ、

奥の一際大きい家へと案内された。


「ここはこの村の長をしているリンレイの家ですぁ。

ちょっと待っててくだせぇ。」

ワンヤオはカラカラと音を立てる引き戸を開けた。

「村長、いるか~。」

「は~い。上がってきて来ておくんなまし。」

奥からは上品な女性の声が聞こえた。

「そいじゃ、使者様こちらへどうぞ。」

勝手を知っているのか、ワンヤオはそそくさと家の中に入っていく。


後について中に入ったのはいいが、天井が低い。

彼らの身長を考えれば、この高さは妥当なんだけど、

直立すると頭1個分はみ出でしまいそうで屈みながら進む。


案内された部屋には灰色の絨毯が敷かれ、

中央に木製の座卓が置かれてた。


そして、先ほど聞こえた声の女性、リンレイが出迎えてくれた。

5人目のリリが現れると、リンレイは目を丸くして驚いていた。


中国語の数字

(0:リン、1:イー、ヤオ、2:アル、リャン、3:サン、4:スー)

リンレイ:リン0(レイ)

ワンヤオ:1(One)-ヤオ

リャンツー:リャン2(two)

サンセイム:サンは日本語と同じ サン(same)

スーヨン:スー4(ヨン)

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