春の精霊祭2日目 ~ 目標は1500! ~
「何変な声出してぅの?」
丸菱デパートの前を通り過ぎ、ランキングに釈然としないでいると、
右後ろにララ・リリ姉妹が居た。
「何で4人が投入数700で並んでんのかね?」
「あぁたに並んでみただけよ、私は。」
「私はお姉さまに並んだダケです。」
「だからって・・・」
「あぁた、まだ隠し持ってぅんでしょ?」
「え、あぁ、まぁ。。。」
ずばり聞かれると誤魔化すのは苦手だ。
「全て投入しなければならないという事ではナイので、
別に良いんじゃナイですか、それで。私もそうデスし。」
「確かに。にしても、今回は皆ハイスピードだね。」
「「フフフ、そうデスね。」」
悪巧みしているかのように不敵な笑みを浮かべる2人だった。
ギルド前に着くと、浮かない顔のニャルマーが待っていた。
「お待たせ。」
「あ、うん。」
元気のない返事だった。
「チーム内ランキングを気にしてぅのかしら。」
「だって、皆実際は700個以上入手してるんでしょ?」
ニャルマーの図星に3人で顔を見合わせた。
673個というのは、彼女の全数なのだろう。
「ニャルマーだって前回に比べれば凄いじゃんか。」
「そうデスよ。それに、まだまだ始まったばかりだし、
気にすることも無いデスって。」
「もしハクシロン達が何か言うようなら、
あぁしが相手になってやぅわ。」
「おう、皆すげぇな。
明日は1500とか、目指しちゃうかな。ははは。」
3人で励ましていると、場の空気を読まないパワルドが、
上機嫌で現れ、ニャルマーはまた気を落としてしまった。
ララは鬼の形相でパワルドを睨みつけるが、気付いてはいない。
「よし、んじゃ行こうか。」
リリと目配せしニャルマーの事を任せ、
パワルドの背中をポンと叩き隣に並んで歩き始めた。
午前中にブリーディングエリアを見つけて荒稼ぎしたようだ。
そりゃ、上機嫌にもなるか。
「ほらハクシロンも気にしてないし。」
後から馬車に乗り込んだララはニャルマーに
掲示板を見るように促し、俺とパワルドも直ぐに確認した。
----------------------------------------------------------------------
ハクシロン>予想以上ッス。ヽ(; ゜д゜)ノ
ニーチャ>4人が700って
----------------------------------------------------------------------
「なんで、俺に合わせちゃったのかなぁ?」
「別に切りが良い数字だし良いじゃねぇか。」
「んじゃ、さっき言ってたけど明日は本気で1500目指す気?」
「え、、まぁ今日のペースだったら行けるだろうけどな。」
「別に私も構わないわよ。」
「はぁ。」
一瞬後悔したという表情をしたパワルド、
余裕な顔をして腕組みしているララ、
そしてララ・リリ姉妹からアドバイスを受けたが自信のないニャルマーだった。
----------------------------------------------------------------------
なおと>こっちは明日1500を目指すみたい。
ニーチャ>(>▽<)b OK!!
----------------------------------------------------------------------
【3月15日】
クヌキの祠12層。
昨日と同じように進める。
モノトン達のレベルが上がるにつれて、余裕が出てきた。
レベル上げを急ぐのであれば次の層へ進んだ方が良いのだが、
今日は引き続き飴集めをここで行うことにした。
そして夕方、カマキリのモンスターであるマンチッスをテイムし、
ヤヨイと名付けた。鎌による強烈な一撃を放つアタッカーだ。
モノトンを下げて、ヤヨイを呼び出し
時間ギリギリまで飴集めを行った。
外に出ると少し先にパワルドの後姿が見えた。
「お疲れ~!」
小走りで追いつき、パワルドの背中を軽くポンとする。
「あ、兄貴かぁ。。。お疲れ~・・・」
「あれれ、元気ないね。」
「行けると思ったんだけどな、1500・・・」
「あらら?」
パワルドが投入した数を知ろうとランキングを見たが、
まだ投入前だった。
一方で、ハクシロンとニーチャ、そしてニャルマーは既に増えていて、
現状ハクシロンとニーチャが1500で、
ニャルマーが1397で暫定3位となっていた。
「まだ投入してないんだね。」
「フッ。」
不貞腐れた返事が返ってきた。
「まぁいいや。俺も入れとくか。」
800投入して1500にする。
同じ数の場合、先に投入した方が上位になるので、
暫定で3位になった。
そして、パワルドも投入を終えた。
パワルドは1452で、暫定4位になった。
「俺が言うのも何だけど、頑張ってるんじゃない。」
「そう言って貰えるのはありがてぇけど、
昨日実は762個稼げてたんだけどな。」
「ブリーディングエリアに当たったお陰って言ってたよね、昨日は。」
「それなんだよな。逆に言うとブリーディングエリアが無ければ
俺は700稼げねぇって事だよな。」
「なるほど確かに。でも、そんな落ち込む?」
「ニャルマーは今日、」
パワルドは途中で言い淀んでしまった。
ランキングを再び見た。
----------------------------------------------------------------------
1位 ハクシロン 1500個(+775)
2位 ニーチャ 1500個(+789)
3位 なおと 1500個(+800)
4位 パワルド 1452個(+752)
5位 ニャルマー 1397個(+724)
6位 ララ 700個(+0)
7位 リリ 700個(+0)
8位 キュカータ 0個(+0)
【チーム合計:8749個(1408位)】
----------------------------------------------------------------------
「昨日からの増分が724か。」
「ああ、何とかしねぇとな。んん、、、」
早晩最下位になってしまうという危機感が滲み出ている。
「何とかって、何か思い当たる方法でもあるの?」
腕組みをし唸りながら出した答えをパワルドは
吹っ切れたようにきっぱりと言い切った。
「ん~、分からん!!」
┐(´д`)┌ヤレヤレ