第2話 救世主
「というか……それじゃあ……目の前あるのって……本物の……」
俺はこれが現実だと気づくのと同時に目の前にある死体に恐怖を感じていた。
「あ……あ……」
俺は頭の中が恐怖でいっぱいになった。
「やっ……いや……いやだぁぁぁぁぁぁぁぁ」
俺は右手に握っていた鎌を落とし全力で走り出した。 特に行く当てもなく……。
「はぁ……はぁ……」
気がつけばそこは夜という闇にのまれた街だった。
「もういやだよぉ……。 お家帰りたい……」
俺の心は絶望に包まれていた。 だがその時……。
「おい! そこのお前! 何をしている」
俺の目の前に救世主……ではない何かが現れた。 現れたというかこっちに来た。
「少し話を聞こうじゃないかぁ……なぁ……」
「へ?」
俺はそのまま言われるがままについて行ってしまった。 とにかく脳がそれ以上のことを考えたくないと悲鳴をあげていたから……。
♢
それから30分ほど歩き着いた先は見慣れた場所『王都』だった。 もうすっかり夜はあけている。 少し歩いたおかげで気分はだいぶマシになった。 だが、 今はなぜか薄暗い個室で体臭キツそうなおじさんと2人きりだ!
「まったく……。 この国で夜に成人した男が出歩くなんて信じられねぇぜ……」
「ん? 何かまずかったの?」
意外なおじさんの言葉に俺はそう返した。
「まったく本当に知らないんだな……。 まぁどういう経緯でここに来たのかは聞かないでやるよ。 お前さんも結構大変だったみたいだからな」
「あ……うん、ありがとう」
今思い返すと恥ずかしい。 街の中心で泣き喚いていたなんて……。
「まぁ、これからは気をつけろよ。 今回は多めに見てやる」
「マジ……? テンキュー!」
その言葉を聞き安堵していた俺だが、その時……。
「隊長! 大変です! 先ほど警備に回っていらした『キャレス』でアギスが……殺されました……」
「なっ……!」
その言葉を聞いたおじさんは深刻な表情になり言葉を荒立てる。
「場所は……場所はどこだ!!」
「はい! それが……人目につかないあの路地裏だったようです……」
「あの路地裏だと……! それでは計画は失敗したということか!」
おじさんは驚きを隠せないと言ったような言葉を放つ。 体臭を放つように。
「はっ……はい……! そういうことになります」
駆け寄ってきた兵隊らしき奴はおじさんの体臭……ではなく焦ってた態度に押されぎみに答えた。
「ん? これどういう状況すか?」
俺は目の前の2人の言動、行動全てが謎だった。 おじさんの体臭のせいかも……。
「お前さんはここにいてくれ! 俺は行くがすぐに別のやつが来るだろう。 大人しく待っとけよ……」
俺はこくりと頷くがよっぽど俺が信用できないのか出て行く際、出入り口に空間遮断系魔法『オレース』を使いやがった。
対象を俺だけにしているのは後から来る兵士が出入り出来るようにの処置だろう。 とても俺では突破出来ない……。