第1話 転移
「はぁ……疲れたぁ」
俺は今やっていたVRMMOゲームがひと段落し背伸びをした。
「それにしてもこのゲームリアル過ぎないか?」
今俺こと佐藤晴人職業『大学生』はバーチャルリアリティの世界の中にいる。目の前には先程倒したキャラクターの真っ二つになった死体が転がっていた。
「全く……。 今や年代問わず世界的に有名だというのに……。 子供がやったらトラウマだぞ」
俺は不満を一人でつぶやく。 客観視して見ると怖い。 今俺がやっているゲーム『ブレイクバースト』は今や年代問わず世界的に大人気のVRMMOゲームだ。 最近俺もどっぷりこのゲームの沼にはまってしまっていた。 最近は回ってくるお金をほぼこのゲームに使っている。
「んー。 よし今日はもう無理だな! 寝よう」
俺がそういうとほぼ同時に「ピロン♪」とゲームからのお知らせメール的なやつが来た。
「タイミングわる! はいはいなんですかっと……ん? なにこれ美味しいの?」
あまりの衝撃に俺はそんな声を上げてしまった。
「いやいや新イベント『勇者vs.魔王君はどちらを応援する』て……え……これ前もあったやんけぇ」
「まじ卍。 最悪。 結構楽しみにしてたのになぁ」
俺は愚痴をもらしつつ新イベントの詳細を開く。
「うんうん。 なになに。 勇者か魔王どちらが勝つか予想して投票してもらうよ! 予想が当たったら豪華アイテムがと」
俺は一瞬考えてから言葉を繋げる。
「おいおいざけんなよ。 内容まるまる同じやないかい。 しかも豪華アイテムて普通に課金とかすれば手に入るし、せめて限定アイテムとかくれや」
俺はため息混じりに言葉を吐き捨てた。
「はいはい。 んー。 まぁ投票しといて損ないし、とりまビジュアル的にかわゆい魔王様に投票しようかな」
俺はそう考えをまとめた。
「よし魔王に投票、ポチッとな!」
俺は無事魔王に投票することができた。 が、しかし……。
「あれなんか部屋の空気悪くね?」
俺は違和感を感じた。
「とりまログアウトして部屋の空気入れ替えるか」
俺はそう考えログアウトを選択する。
「え……ログアウトできない」
俺はまた違和感を感じた。
「不具合かなぁ……。 ああめんど。 運営に連絡入れよ」
だが『問い合わせ』を押しても反応が無い。
「え……」
俺はまたまた違和感を感じた。
「あれ……そういえばこのゲームってにおいとか感じないはずじゃ……」
俺はまたまたまた違和感を感じ、考えれば考えるほど恐怖を感じていた。
「おいおい、まさか。 そんな…ここはなろう系ラノベの世界かよ……」
「だけど、このにおい。絶対この死体からだ」
俺はそう考えるとさらに恐怖を感じた。
「まさか……ゲームの世界に転移しちゃいました。 みたいなか?」