4 本物という証明。
遅くなりました。今回長めです。微グロ要素ありです。
帝が家臣に持ってこさせたのは、動物が入っていそうな檻でした。家臣がそれを持って来たところで、かぐや姫は漸く意識を取り戻し、何をするつもりなのかと、帝を見ていました。それに気づいた帝は嬉しそうにかぐや姫に笑いかけます。
(この人……何考えてるのか分かり辛いのよね。)
帝はかぐや姫に準備が出来ました。といって、かごの中からネズミを取り出しました。
(ま、まさかこの人……!?)
「賢いかぐや姫ならわかるでしょうが、今からこのネズミにこの不老不死の薬を飲ませます。そして、この短刀でこのネズミの心の臓を刺すのです。これが本物の不老不死の薬ならば、刺してもネズミは死なないはずでしょう?」
そう言いながら、帝は先程かぐや姫に笑いかけたような優しい笑みを浮かべます。
(この人、本気でするつもりだわ……。)
かぐや姫は寒気を感じました。
(正直なところ、地球人のオスは滅亡すればいいって思うけれど、何も害のない生物を殺すのはあまり気が乗らないわね。)
そう考えて、かぐや姫はネズミを見ます。ネズミは帝の手の中で外に出ようともがき、自身の力だけでは無理だということを理解すると、かぐや姫をみます。かぐや姫はその目が、「助けて。」と必死に訴えかけてくるように見えました。
「やめて!」
「え?」
気付いた時には叫んでいました。
「えっと、、その……可哀そうではありませんか?」
「成程。かぐや姫はこのような小さな生き物にまで、憐れみを持たれるのですか。とてもお優しいんですね。そのような天使のような性格も私は好きですよ。」
「そういう訳では……。」
さらっと恥ずかしいセリフを言ってくる帝にかぐや姫は少し動揺しました。
「まぁ冗談なんですけどね。」
(いや、絶対本気だったでしょ……。この人やっぱり良くわかんないわ。)
「実はこの不老不死の薬、よくよく調べてみると治癒能力が非常に高いはずなんですよ。つまり、絶対に治せないような怪我や病気も治せてしまうんですよね。絶対治せない怪我、病気を治せてしまったら、それはもう幻の代物だと認めてくださいますよね?」
「勿論ですわ。本当にそんなことが出来るならですけどね?」
「それでは早速、病気の者を連れてきたので……」
「いえ、何か小細工されているかもしれませんし、それはこちらで準備させて頂いてもよろしいでしょうか? 帝様ならば、そんなことしないでしょうけれど。念には念を入れておきませんとね。」
「……」
「あ、それとも無理ですか? そうなりますと、例えどのような病気を治すことが出来たとしましてもそれが本物の不老不死の薬とは、私は思えないのですけれど。」
黙っている帝。
(勝ったああああああああああああああああああ! やっぱり不老不死の薬なんてある訳ないのよ! ……でも少し、無礼だったかしら。お爺さんとお婆さんに何も害が無いといいんだけど……。)
「……そうですよね。その方がかぐや姫も納得して約束を守ってくださいますよね。いいですよ。いつ頃かぐや姫はその人を手配できますか?」
(あれ? 今この人地球の言語を喋ったのよね? そのはずなのに何でこの人の言っている意味が解らないのかしら。)
「かぐや姫? 聞いていますか?」
おーいという感じにかぐや姫の目の前で手を振る帝。
「えっと……私が用意してもいいんですか?」
「はい。勿論いいですよ。これは本物の不老不死の薬ですからね!」
「……分かりました。それでは手配でき次第ご連絡いたします。」
「承知いたしました。かぐや姫が私の物となる日が待ち遠しいです。—-それではまた。」
そう言って帝は去っていきました。
かぐや姫……どうする!?
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